中華人民共和国の大量破壊兵器
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中国は1964年に ロプノール周辺において最初の核実験596を実施してアジア初の核保有国となり[9]、初の水爆実験は1967年に確認された第六実験であった。核実験は包括的核実験禁止条約 (CTBT) に中国が署名した1996年まで続けられた。また、中国は1984年に生物兵器禁止条約 (BWC) を批准、加盟し、1997年に化学兵器禁止条約 (CWC) を批准した。
化学兵器

中国は1993年1月13日に化学兵器禁止条約に署名した。化学兵器禁止条約は1997年4月25日に批准された[10]化学兵器禁止機関 (OPCW)に提出された公式宣言において、中国政府は過去に少量の化学兵器を保有していたが、条約の批准以前に化学兵器を破棄したことを申告している。また、中国は、マスタードガスルイサイトの2種類の化学物質が生産可能な化学製品製造施設は2か所だけであったと申告している[11]

中国は冷戦時代の1970年代においてアルバニアに対し化学兵器を供給し、少量の備蓄を行なっていたことが判明している[12]
生物兵器

中国は今のところ生物兵器禁止条約に参加調印しており、中国政府当局は中国は攻撃的兵器として戦闘においてこれを使用することはないと明言している。しかしながら、中国は1980年代において生物兵器開発計画が行なわれていたことが報告されている[13]

ソ連の生物兵器開発機関バイオプレパラトの元指揮官の一人であるカナジャン・アリベコフは、中国は1980年代後半に生物兵器工場の1か所で重大な事故を引き起こしていたと述べている。またアリベコフは、偵察衛星により、中国の核弾頭試験場近くに生物兵器研究施設及び製造工場の存在を確認していたと断言した。ソ連は中国のある2つの地域で別々に発生した出血熱の流行はこれらの研究施設において研究されていた生物兵器の漏洩が原因ではないかと考えている[14]

1997年1月、アメリカ合衆国国務長官マデレーン・オルブライトはロバート・E・ベネット上院議員(共和党ユタ州)にあてた文書中で、イラン及び他の国へ中国が生物兵器を輸出している疑いがあると述べた[15]。オルブライトは彼女と合衆国政府がイランの生物兵器開発計画への支援を防止するための包括的輸出管理を中国に対し要請していたにもかかわらず、軍民の両方に利用可能な物資が中国企業からイラン政府へ売却されたという懸念すべき報告を受けていたことを言明した。2002年1月16日、合衆国は従来からの主張に基づき中国の3企業に対し化学兵器及び生物兵器の製造に使用される材料をイランに供給したとして制裁措置を課した。これに対し、2002年後半に中国は軍民両用に利用可能な生物学的技術について「生物両用品及び関連設備・技術輸出管理条例」を施行した[16]
核兵器
核兵器の数

中国の核戦力の正確な数量と構成を明らかにするのは極秘事項となっているため極めて困難である。いくつかの機密解除された合衆国政府の報告書で過去の推定を知ることができる。1984年の合衆国国防情報局の防衛推定資料 (Defense Estimative Brief) では、中国の核弾頭備蓄量は150から160個と推定している[17]。1993年のアメリカ国家安全保障会議の報告では、中国の核抑止力については核搭載弾道ミサイルは60から70基と信じられていた[18]。合衆国国防情報局の「数十年の将来:1999 ? 2020」の報告では1999年の核兵器の備蓄量は140から157と推定していた[19]。2004年には合衆国国防総省は中国が約20基の大陸間弾道ミサイルが合衆国本土を標的にできると評価した[20]。2006年には、合衆国国防情報局はアメリカ合衆国上院軍事委員会に対し「中国は現在100個以上の核弾頭を保有している」との推定を提出した[21]中国の核爆弾第1号の模型

1964年10月16日、中国の最初の核実験が新疆ウイグル自治区にあるロプノール周辺の核実験場で行なわれた。中国の最後の核実験は1996年7月29日に行なわれた。キャンベラのオーストラリア地質調査協会 (Australian Geological Survey Organization) によって1996年の核実験の規模が1-5キロトンであったことが明らかにされた。これまでに、中国は22回の地下核実験を含む合計45回の核実験を行なった[22]

中国は1980年代から核弾頭の小型化という重要な技術改良を進めた。中国が秘かに合衆国の誘導弾道ミサイルに関する技術ばかりでなくW88核弾頭の設計を獲得したことがコックス報告書により明らかにされ、非難されている。しかしながら、中国の科学者はこれらの分野については独自に研究を進めたもので、諜報活動によるものではないと主張している。

けれども、中国の保有する核兵器の総数は明らかではなく、2005年現在の推定値で低くは80から高く見積もったもので2,000個までのものとなっている。2004年に中国は「核兵器保有国の内で、中国の核兵器保有量は最少である」と言明したが、これはイギリスの保有する核兵器数200個より少ないことを事実上暗示したものであった[23]。いくつかの非公式な情報源によれば中国は400個前後の核弾頭を保有していると推定される。ジョージタウン大学のフィリップ・カーバー教授らの研究グループは、米連邦議会の公聴会において中国の核弾頭保有数は3000発であると公表した[6][7][8]。米大手紙ウォールストリートジャーナルもこの説に共感を示し、「【寄稿】「核超大国」中国を軍縮に巻き込め 核軍備規模が小さいのなら、なぜ核のトンネル「地下の万里の長城」が必要なのか」というタイトルで、中国には3000マイル(約4800キロ)に渡る驚異的距離を持つ複雑な核武装トンネルがあり、かつ近年、中国の核インフラが急増している現状では、中国の保有する核弾頭が、米ロと比べて大幅に少ないとする従来説は疑わしいとする記事を載せた[24]

けれども、合衆国情報機関の核戦力の推定値は多くの非政府組織の推定値よりも小さいものとなっている[25]。2020年のアメリカ国防総省の報告書では中国の核弾頭保有数を200発強と推定している[3]

米シンクタンクの全米科学者連盟(FAS)の2021年の報告(CNNが報道)によれば、中国西部に建設中の三施設のミサイルサイロだけで計300基はあり、かつそこへの将来的な長距離核ミサイルの配備が疑われている[26]。なお、FASは、その4か月前の2021年7月に発表した報告では、新疆ウイグル自治区東部ハミ近くに110基のミサイルサイロを中国が建設中であり、2021年段階での中国の核弾頭保有数を350発と推定している。一方、別のシンクタンクは、甘粛省の玉門市付近に120基のミサイルサイロを建設中としている。ウォールストリートジャーナルが、これらを報じた[1]

米国防総省が2020年9月に公表した報告書によると、中国はICBM搭載用を含め、核弾頭の保有量を倍増する計画を策定している[27]。また、米国防総省は2021年11月3日、中国の持つ核兵器数は急速に拡大しており、2027年には最大で700発の核弾頭を保有し、2030年までには少なくとも1000発の核弾頭を持つであろうと年次中国軍事力報告書で発表した。合わせて、中国は少なくとも3つのミサイル基地を新たに建設中であり、そこにある数百もの新たなミサイルサイロにそれら新しい核弾頭を累積的に収納するだろうと付け加えた[28]
核兵器に関する政策

中国は自身が1992年に批准した核拡散防止条約において核兵器保有を認められた5か国の内の1つである。中国は核保有国の内唯一非核保有国に対し核兵器不使用の保障を行なった国である。: 中国はいつ、いかなる状況下にあっても非核保有国あるいは非核地帯に対し核兵器を使用しないし、核兵器をもって脅迫をしないことを約束するとした ⇒[4]。中国が公式に表明している核兵器に対する政策は、敵国の標的に対し核報復攻撃を行なう能力を保有した抑止力であり、常に「先制不使用」を維持していることである。


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