中立
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第二次世界大戦に際しては、ナチス・ドイツが中立国オランダ・ルクセンブルク・ノルウェー・ベルギー・デンマークを攻撃するなど、中立は以前よりもさらに無視されやすくなった。また、連合国側でもイギリス・ソ連が中立国であったイランパフラヴィー朝)に侵攻し、連合国への参加を強制した上で占領地に傀儡政権を樹立する事態が発生している。1945年8月にソビエト連邦による日ソ中立条約の破棄も中立侵害の典型である(中立条約参照のこと)。また中立国であってもスペインポルトガル・スイス・スウェーデンが交戦国に便宜を図る中立義務違反を犯していたことも明らかになっている。「第二次世界大戦の参戦国#主な中立国」も参照
国際政治上の中立

第二次世界大戦後、侵略者に対する加盟国の軍事行動を定めた国際連合憲章が制定され、国際法的な中立の矛盾は拡大した。さらに、国際社会がヨーロッパ国家体系とは質的に違った地球大のものになり、軍事的・政治的・経済的な相互依存の関係も飛躍的に強まった。大国を巻き込まない地域的戦争も多発しているが、それは主として第三世界で発生し、多くがゲリラ戦的様相を伴うため、伝統的中立の理念は通用しにくくなった。他方、大国を二分した東西対決がもし戦争に至れば、それは核戦争となることが予想され、第三国が戦争を避けて存在しうる余地は少ない。1955年にはオーストリアの憲法規程による中立宣言が国際的な承認を得たが、国際法的な中立の可能性は低下し、それに代わって国際政治的な中立が大きく浮かび上がってきた。前者の中立が戦争に巻き込まれないで自国の地位を維持しようという消極的・自己保存的なものであるのに対して、後者のそれは国際的な対立と緊張を緩和し、戦争の可能性を防止しようとする積極的・能動的なものである。前者が地位であるとすれば、後者は政策である。第二次世界大戦後に交戦権の放棄憲法で謳った日本においては、日米安全保障条約からの離脱を主張する政治勢力が、前者の意味で非同盟中立ないし非武装中立というスローガンを掲げることもあった。しかしながら、中立政策を実際に採用している国々は、中立という言葉に含まれる消極的・受動的な印象を避けるため、ほとんどがその政策を非同盟と呼んでいる。
中立条約

中立条約(ちゅうりつじょうやく)は、条約締結相手国が第三国との紛争に巻き込まれた時に中立遵守を約束する条約である。ただし、紛争発生時に限ってのみ適用される事や中立条約の規定及び国際法上における中立義務に違反しない範疇における第三国支援は可能である(常時適用及び遵守の対象とされ、一切の第三国支援が禁じられるのが一般的とされる不可侵条約よりも効果は低いとみなされている)。

1941年に締結された日ソ中立条約は、締結国双方が互いの同盟国と交戦(ドイツ対ソ連、日本対アメリカ)したために効果が極めて限定的で、ドイツ降伏の1945年4月にはソ連側より終了通告が出されて4ヵ月後には終了期限を待たずにソ連の対日宣戦が行われた。
中立(国際関係)の関連項目

中立主義

永世中立国

武装中立

非武装中立

中立法

戦時国際法#海戦法規

内戦 - 内政不干渉の原則

局外中立命令違反罪

孤立主義

利益代表国

交換船

生物学

生物学においては、進化論における中立説がある。また共生のうち、双方が利益を得ず、害も被らない関係を中立 (neutrarlism)と呼ぶ場合もある。
機械

変速機や逆転器など、機械動力伝達系において、入力側である原動機の運転を継続したままクラッチで動力を絶ち、出力側が停止している状態。「正転」・「逆転」のないトランスファーでは、単に動力「断」(OFF)の状態を指す。

また、その時の操作レバースイッチの位置(状態)を指すこともある。いずれも中立やニュートラル(略称:ニュートラ)と呼ばれ、インジケーター(表示)には「中」や「N」のほか、「切」や「断」が使われる場合もある。
出典^ a b ジョゼフ・グッド 川崎智子訳 アリソン・ルイス(編)「地獄で一番熱い場所 現代の図書館専門職における中立性という危機」『図書館と中立性』 京都図書館情報学研究会 2013年 ISBN 9784820413080 pp.133-135
^ a b 杉井六郎「局外中立」『国史大辞典 4』吉川弘文館、1984年 ISBN 978-4-642-00504-3 P384.

関連項目.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ウィクショナリーに関連の辞書項目があります。


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