中島丈博
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1989年、NHKドラマ『恋愛模様』『海照らし』『幸福な市民』[5]で第8回向田邦子賞を受賞。
1990年以降

1992年、前任者の脚本がうまく行かず、突然依頼を受けたNHK 金曜時代劇腕におぼえあり』がヒットし、1年間に異例とも言える3シリーズ・35話が制作され、放送終了7年後の2000年にも同じ中島脚本、村上弘明主演で舞台化、2003年にはDVD発売もされた。この番組がNHKの時代劇にもたらした影響は大きく、以降も同局の『木曜時代劇』枠において数々の同じ藤沢周平原作の番組が制作される。

1992年、自らの製作・監督・脚本でゲイのカップルと若い女性の交流を描いた映画『おこげ』を発表する。

1993年、大河ドラマ『炎立つ』の原作者・高橋克彦の原作執筆の遅さから、高橋やNHKと対立。撮影スケジュールも大幅にずれ、出演者の一人である北大路欣也が降板するなどのトラブルに発展。そして全35話のうち、第三部の21話以降は中島の主導でストーリー・人物が構成されることになった。高橋・NHK側はペナルティとして200万円を中島に支払った[3]

1997年、連続ドラマ『失楽園』が平均視聴率20.7%、最終回27.3%の大ヒットを記録。

1999年、大河ドラマ『元禄繚乱』の打ち上げの席で、大石内蔵助役で主演の中村勘九郎の演技を「目が死んでいる」と非難。勘九郎とつかみ合いになる。徳川綱吉役で出演していた萩原健一は、収録現場で勘九郎が脚本のセリフを自己流に言い換えていたので、中島の怒りを買ったのではないかと推測している[6]

2000年に『祭りの準備』の主人公タテオの小学生時代を描いた初の書き下ろし小説『野蛮な詩』を発表。2001年から2006年まで月刊誌『シナリオ』(シナリオ作家協会)に幼少期から50代までを綴った自伝『祭りは終らない』(全50回)を連載。

1995年からは主な執筆の場を東海テレビ昼ドラ(フジテレビ系)に移す。「究極のフィクション」と自身が語るドロドロ愛憎劇を独特の感性で描く手法は『真夏の薔薇』から注目されるようになり、後に『真珠夫人』『牡丹と薔薇』『偽りの花園』など2013年の『天国の恋』まで11作を執筆。『真珠夫人』『牡丹と薔薇』『偽りの花園』『さくら心中』『赤い糸の女』はDVD発売され、特に『真珠夫人』は2002年度の新語・流行語大賞受賞、総集編がゴールデンタイムで放送されるなどの大きな反響があり、その次に執筆した『牡丹と薔薇』は昼ドラにもかかわらず最高視聴率13.8%、ゴールデンで放送されたスペシャルは視聴率18.8%を記録し大ヒット。この昼ドラ枠はファミリードラマを編成することも多かったが、『真珠夫人』『牡丹と薔薇』、中島の弟子の田部俊行が執筆した『冬の輪舞』(2005年)がヒットしたことによって「東海テレビの昼ドラと言えばドロドロ愛憎劇」という印象が強くなったため、2004年後半 - 2009年前半までの5年間はドロドロ愛憎劇しか編成しなかった。

2003年に『中島丈博シナリオ選集 第一期』全三巻が刊行された。大河ドラマや昼ドラを収録し作家の全体像が把握できる第二期も刊行予定である。

2006年、ドラマ『愛の流刑地』の脚本を執筆していたが降板。2007年に月刊誌『シナリオ』でその顛末を記し、井坂聡監督らを痛烈に批判した[7]。井坂は同誌に反論を寄せ、中島はそれに再反論した[7]。脚本家・映画監督の新藤兼人は双方の発言を検分して、「中島くんが怒るのも無理ないね」と、井坂の主張には問題があるとしている[7]

2010年2月、自伝『シナリオ無頼』(中公新書)を発表。
作風など

激しい情念を表現する傾向がある。大河ドラマ『草燃える』では、身分を問わずほぼすべての登場人物が弱さや醜さを抱えており、中島は「テレビのブラウン管から歴史を引っ張り出す。現代の茶の間で見てる人たちの身近に歴史というもの、そこにいる人間を引っ張り出してみせる。」とプロデューサーに話したという[8]

『真珠夫人』以降の昼ドラマでは、主婦の怒りと狂気を表現するために珍料理(フジテレビ私のバカせまい史』においては「愛憎グルメ」と紹介)を毎回登場させ、夫に食べさせる場面を挿入している。「たわしコロッケ」「財布ステーキ」「草履カツレツ」「五寸釘入り玄米パン」「携帯ケーキ」「愛の歴史ケーキ」がお茶の間に衝撃を与える[9]

1991年に自身のシナリオのベスト3を質問され、『祭りの準備』『草燃える』『青春戯画集』を挙げる[10]2004年の時点でのベスト3では『青春戯画集』が外され、『あ、春』が加えられた[11]

2003年に『真珠夫人』のヒットを記念して自身のキャリアを振り返るインタビューが行われ、上記以外で自身が気に入っている作品に『おれの義姉さん』『火の路』『寺島町奇譚』『しあわせのどん底』『極楽家族』『七人の刑事・市民の海』『楽園の日々』『さらばきらめきの日々』『魂の夏』『海峡』『野のきよら山のきよらに光さす』『春の波涛』『独身送別会』『水なき雲』『幸福な市民』『恐怖の二十四時間』『真夏の薔薇』『失楽園』『春燈』『五瓣の椿』『楽園に逃れて』『真珠夫人』の25本を挙げ、一番気に入っている作品に『わが美わしの友』(1975年、NHK)を挙げた[3]


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