中尾隆聖
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その後は役者の仕事に対する意識が変わり、仕事が増えていき、役者だけで食べていけるようになった[12][23]

声優業としては、吹き替えは『わが家はいっぱい』[15]テレビアニメでは1965年の『宇宙パトロールホッパ』の主人公・ジュン役がデビュー作となる[1][16]。声優の中でも草分け的存在になるが、声優業と並行して1970年代半ばまで数々のテレビドラマに出演しており、フリー[23]ぷろだくしょんバオバブ[9][24]を経て81プロデュースに所属するまでは自身を「声優」と呼ばれることに反発していたという[25]

当初は本名で活動していたが、妻の勧めで姓名判断芸名を「中尾隆聖」に改名[6]

ドラマティック・カンパニーでの舞台に多数出演。また同公演での演出も多数担当し、ミュージカルを中心とした舞台活動を行なっている。2015年時点では声の仕事が中心だが、「役者でいる限りは並行して舞台にも出演していきたい」と語っていたが[26]、同劇団は中尾の高齢を理由にメンバーとも相談した結果、2022年をもって解散した[27]。その他にもラジオ番組パーソナリティのほかレコードも数多くリリース。
受賞歴

2016年 - 第25回
日本映画批評家大賞・アニメ部門最優秀声優賞(『ドラゴンボールZ 復活の「F」』)[28]

2017年 - 第11回声優アワード富山敬[29]

2017年1月9日、テレビ朝日にて放映された『人気声優200人が本気で選んだ!声優総選挙!3時間SP』で第8位に選ばれる[30]

人物
エピソード

シャープで甲高い独特の声質の持ち主で、「一度聞けばその声は忘れられない」と評される[31]。様々な作品で悪役を演じており、ラスボスというと声をかけてくれるようにもなったという[23]。その一方でマスコットキャラクターを演じる機会も多くあり、演技力の幅は広い[31]。また、中尾自身は自分にとっての役作りになる、欠点の多い人間を演じるのが好きであると話している[32]

演じる時に気をつけているのは、キャラクターがどんな呼吸をするかということである[26]。洋画の吹き替えでは、ブレス合わせで画面の中の役者が息を吐いている時に息を吸っていたところ、いつまでも演技が合わず、画面の役者を見て息を合わせ、呼吸がはまると、演技が生きてくるという[26]。アニメ作品ではブレス合わせが難しいが、どんなキャラクターでも呼吸をしており、ゆっくり大きく息をする人物と、その逆で早く細かく息をする人物では、喋り方も変わってくるため、それもキャラ作りのひとつという[26]。キャラクターの見た目から、知っているものにイメージを置き換え、呼吸や喋り方を想像するということも実践しているという[26]

趣味は乗馬スキースケートダイビング[2]ギター作曲[11]

役者仲間からは本名を元にした「トモちゃん」の愛称で呼ばれている[6]

中学時代はバスケット部、高校時代はアイスホッケー部に所属していた[22]

1980年代初期に神谷明内田直哉福沢良一(福沢良)らとユニット「フォーインワン」を組んでいた。

子役時代を経て、声優としての仕事が安定するようになるまでの間、中尾は俳優として鳴かず飛ばずの時期が長く続き、マスコミの仕事の激減をはじめ、精神的にかなり堪えた時期が続いたという。その間、舞台出演が多くなり、野沢那智劇団などへの客演の機会を数多く経験し、役者としての自信を取り戻していったという。「声優として今も仕事を続けていられるのは野沢さんのおかげ」と中尾は回想している。
ばいきんまん役

日本テレビ系アニメ『それいけ!アンパンマン』でのばいきんまんが喜びを表す時に使う「ハ?ヒフ?ヘホ?!」やアンパンマンを皮肉る時に発する「出たな、お邪魔虫!」などの台詞は中尾のアドリブという噂があったが、これは実際に台本に書かれた台詞で、本人が著書で否定している[33][34]

ばいきんまんの絵を初めて見たとき、『トッポ・ジージョ』のトッポ・ジージョや『にこにこぷん』のぽろり・カジリアッチIII世などのねずみのキャラクターを演じていたため、「また、ねずみかと思った」と感想を述べている。

ばいきんまん役のオーディションは他のレギュラーキャラクターの倍の時間と回数をかけて行われたものの、該当者が一向に見つからず、遂には原作者のやなせたかしが自らがばいきんまん役を熱望するほどだったという[35][34]。関連書籍では中尾の起用について「曰く付き」と称されるほどだった[36]

ばいきんまんの独特なだみ声は、元々は遊び半分から作り出した声であり、喉への負担が大きい。『アンパンマン』放送開始当初の中尾は『にこにこぷん』でぽろり、終了後の『ドレミファ・どーなっつ!』でれっしーも演じていた。このために「視聴者が重なる子供向け番組で、同じ声で一方が主役で一方が悪役だと、子どもに混乱や悪影響を与えるのでは」と考え、声質が重ならないようだみ声を作ったという話を語ったこともある[31][34][37]オーディションでは「普通の声で演じても面白くない」「他の作品と差別化しよう」と考え、さらに潰した声で臨んでいた[38]

中尾は「(『アンパンマン』の放送が)スタート直後は、まさかこんな長寿番組になるとは思わなかった」と回顧している。ところがばいきんまんの声は非常に好評となり、加えて番組が放送35年を超えるロングランとなったため、その発声の維持に苦戦することになった。初期は「これじゃ声出なくなるよな」と思う程声を潰して演じていたため、実際に『アンパンマン』の収録後は声が出なくなり、「(アンパンマンの収録と)同日に他の仕事は受けられなかった」「次の日には違うキャラクターの声をやらなければいけないので、とてもしんどかった」とのこと[34][37]。特に、舞台公演期間とアフレコが重なった時の労力は半端ではないという。ばいきんまんの台詞が多い回では滝のように汗を流しながら演じることもあり[31]、その姿を見ていた共演の山寺宏一は「あの姿見たらマジにならずにはいられないと触発される」と語っている。『アンパンマン』放送30周年を記念した戸田恵子(アンパンマン役)との対談では「ここまで続くのならもっと楽な声にしておくんだった(笑)[31]」「(今は慣れたが、当時は)『何でこんな大変な声を作ってしまったんだろう』と毎回のように思っていた」と振り返っている[38]。『アンパンマン』放送35周年のインタビューでは、「ばいきんまんの声が地声に近くなって、声を出すのはどんどん楽になっていきました」とも語っている[37]


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