ばいきんまんの独特なだみ声は、元々は遊び半分から作り出した声であり、喉への負担が大きい。『アンパンマン』放送開始当初の中尾は『にこにこぷん』でぽろり、終了後の『ドレミファ・どーなっつ!』でれっしーも演じていた。このために「視聴者が重なる子供向け番組で、同じ声で一方が主役で一方が悪役だと、子どもに混乱や悪影響を与えるのでは」と考え、声質が重ならないようだみ声を作ったという話を語ったこともある[31][34][37]。オーディションでは「普通の声で演じても面白くない」「他の作品と差別化しよう」と考え、さらに潰した声で臨んでいた[38]。
中尾は「(『アンパンマン』の放送が)スタート直後は、まさかこんな長寿番組になるとは思わなかった」と回顧している。ところがばいきんまんの声は非常に好評となり、加えて番組が放送35年を超えるロングランとなったため、その発声の維持に苦戦することになった。初期は「これじゃ声出なくなるよな」と思う程声を潰して演じていたため、実際に『アンパンマン』の収録後は声が出なくなり、「(アンパンマンの収録と)同日に他の仕事は受けられなかった」「次の日には違うキャラクターの声をやらなければいけないので、とてもしんどかった」とのこと[34][37]。特に、舞台公演期間とアフレコが重なった時の労力は半端ではないという。ばいきんまんの台詞が多い回では滝のように汗を流しながら演じることもあり[31]、その姿を見ていた共演の山寺宏一は「あの姿見たらマジにならずにはいられないと触発される」と語っている。『アンパンマン』放送30周年を記念した戸田恵子(アンパンマン役)との対談では「ここまで続くのならもっと楽な声にしておくんだった(笑)[31]」「(今は慣れたが、当時は)『何でこんな大変な声を作ってしまったんだろう』と毎回のように思っていた」と振り返っている[38]。『アンパンマン』放送35周年のインタビューでは、「ばいきんまんの声が地声に近くなって、声を出すのはどんどん楽になっていきました」とも語っている[37]。
ドキンちゃん役であった鶴ひろみが2017年に死去した時には「30年間の相方」と語り、2018年に行われた「鶴ひろみを送る会」では、中尾は鶴に「ドキンちゃん、バイバイキーン」とメッセージを送った[39]。 『ドラゴンボール』にてタンバリン役で出演した後、続編『ドラゴンボールZ』ではフリーザを担当。これは中尾の経歴の中でも、はまり役として紹介されることの多いキャラクターの1つである。中尾はフリーザを見た時、「時代劇の公家」をイメージしたと語る[12][26][31]。また、『ドラゴンボールZ』出演を長男に話した際は非常に喜ばれたが、フリーザ役については「ああ、悪い奴だね…」と言われた[32]。後年の中尾のインタビューでは、タンバリン役については、「すぐ死んじゃうよ」と展開をばらされるなど[40]長男の反応は悪かったが、「フリーザ役をやるよ」と言ったときは尊敬のまなざしに変わったと語っている[41][42][40]。フリーザを嫌いなキャラクターとして挙げている孫悟空役の野沢雅子は「フリーザの悪役ぶりがいいだけに頭に来る」とコメントしている[43] 一方、「大人になりきれない部分が残っていてカワイイところがある」と好意に評しており、2018年のインタビューでは「フリーザは妙な子供っぽさがあるから好き」とも語っている[44]。 タンバリンとフリーザはクリリンを殺害しており、役柄上クリリンを「2回も殺した」ため、「他のキャラクターをやるならクリリンがやりたい」と答えたこともある[45]。クリリン役の田中真弓は他の番組で中尾と共演する際にも「中尾が来ると殺される」と言って逃げ出すという[41][42]。 劇場版ではフリーザの兄クウラも担当。中尾は「フリーザの延長線上にいるキャラクター」と解釈し、かなり自由にやらせてもらったという[32]。 2009年より放送された再編集版『ドラゴンボール改』においてもフリーザとを再び担当し、フロストも担当する。リハーサルを見て自分が現れる以前に「面白い」と思ったと話している[46]。 2017年8月13日に丸井渋谷で開催されたドラマティックカンパニー25周年記念イベントに山本正剛をゲストに招き、中尾自身が山本のネタである「ベッピンさんベッピンさん1人飛ばしてドドリアさん」を披露した。山本は光栄だとコメントしており、中尾は山本フリーザを間近で見ると説得力があるとコメントしている[要出典][47]。 太字はメインキャラクター。
フリーザ役
出演
テレビアニメ
1965年
宇宙パトロールホッパ(ジュン[48])
狼少年ケン
1968年
アニマル1(東一郎)
わんぱく探偵団(マメたん)
大魔王シャザーン(チャック)
1969年
アタックNo.1(男子生徒)
1970年
赤き血のイレブン(滝隼人〈2代目〉)
1971年
ふしぎなメルモ(若者、近石昭吾)
1973年
ゼロテスター(1973年 - 1974年、荒石ゴウ[49])
1974年
エースをねらえ!
空手バカ一代〈高津[50]〉
1975年
わんぱく大昔クムクム(ローマン)
1976年
母をたずねて三千里(ミゲル)
1978年
闘将ダイモス(ヒムレー)
まんが日本絵巻(那須大八郎)
ルパン三世(第2作)
1979年
アニメーション紀行 マルコ・ポーロの冒険(唐玉潜、オランウータン使い)
1980年
あしたのジョー2(1980年 - 1981年、カーロス・リベラ[51])
怪物くん(テレビ朝日版)(コスモキラー)
1981年
おはよう!スパンク(塚原誠也)
鉄腕アトム(第2作)(サム)
百獣王ゴライオン(1981年 - 1982年、銀貴、銀亮)
1982年
科学救助隊テクノボイジャー(サミー・エドキンス・ジュニア[52])