中尾隆聖
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幼少期から家庭の都合で祖父母に育てられる[12]。祖母が「芸能界に向いているんじゃないか」と言われ、祖父母の勧めで、3歳のころに児童劇団劇団ひまわり」に入団[20][12][15][21]。5歳でラジオドラマフクちゃん』のキヨちゃん役でデビュー[20][15][16]。その後、プレイヤーズ・センターを経て[9]1957年より東京俳優生活協同組合に所属[2][7]。同期には、池田秀一、小柳徹、太田博之志垣太郎などがいる[7]。中学生で祖父母が経営していたアパートで一人暮らしを始める[12]

幼い頃から子役の仕事で得てきたお金を祖父母に預けて貯金してもらい、高校進学時に「このお金で大学に行くのもいいし、好きなことに使ってもいい」と貯金通帳を手渡され、その貯金を元手に店を経営して生計を立て、並行して好きな芝居を続けることを考えていた[16][21]。しかし店を始める資金が足らず、役者の仕事のかたわらバーテンダー、弾き語りのアルバイトを始める[16]。北区立滝野川第七小学校(現:北区立田端小学校[注 2]早稲田実業学校を卒業[2]後、アルバイトで知り合った人物から「いい物件があるんだけど、店をやってみない?」と声をかけられ、「手持ちがあまりない」と言っていたところ「足りない分はなんとかしてあげるよ」とお金を借り、新宿二丁目スナックを5年間で借金を返し、さらに2年で閉店するまで経営をしながら、役者の仕事を続けた[16][12]

25歳で結婚し、2つ3つ掛け持ちでもすれば家族を養えると思い、仕事と並行してアルバイトの弾き語りをしていた[12][23]。役者の仕事は中尾にとって夢であり、役者自体で生活費を稼ごうとは考えていなかった[23]

ある日、妻から「いつまでも弾き語りなんてできないし、アルバイトを辞めれば」と言われ、「アルバイトを辞めたら生活していけない」と答えていたが、妻は「貧乏だっていいじゃない」と言ってもらい、弾き語りの仕事は辞めて、住んでいた場所もマンションから六畳一間に引越す[12][23]。しかしその頃には店も閉店し、「自分の生き方は間違ってたかな」と思い始めていた[12]。同時期に現・81プロデュースの社長の南沢道義に声を掛けられたものの、「声優の事務所?芝居やりたいから」と断っていた[12]。何回か南沢と会っていくうちに、子供の頃から役者をしていたが、「事務所に誘われたのって初めてだな」と思い、南沢からは「いろいろやりたいことはあるかもしれないが、まずは、食っていこうよ」という一言が2015年時点でも忘れず、その時に抱えていた悩みなどもすべて話し、南沢を信頼して、拾ってもらおうと思ったという[12][23]。その選択が2015年時点でも「役者の仕事が続けていられるのだ」と思っているという[23]。その後は役者の仕事に対する意識が変わり、仕事が増えていき、役者だけで食べていけるようになった[12][23]

声優業としては、吹き替えは『わが家はいっぱい』[15]テレビアニメでは1965年の『宇宙パトロールホッパ』の主人公・ジュン役がデビュー作となる[1][16]。声優の中でも草分け的存在になるが、声優業と並行して1970年代半ばまで数々のテレビドラマに出演しており、フリー[23]ぷろだくしょんバオバブ[9][24]を経て81プロデュースに所属するまでは自身を「声優」と呼ばれることに反発していたという[25]

当初は本名で活動していたが、妻の勧めで姓名判断芸名を「中尾隆聖」に改名[6]

ドラマティック・カンパニーでの舞台に多数出演。また同公演での演出も多数担当し、ミュージカルを中心とした舞台活動を行なっている。2015年時点では声の仕事が中心だが、「役者でいる限りは並行して舞台にも出演していきたい」と語っていたが[26]、同劇団は中尾の高齢を理由にメンバーとも相談した結果、2022年をもって解散した[27]。その他にもラジオ番組パーソナリティのほかレコードも数多くリリース。
受賞歴

2016年 - 第25回
日本映画批評家大賞・アニメ部門最優秀声優賞(『ドラゴンボールZ 復活の「F」』)[28]

2017年 - 第11回声優アワード富山敬[29]

2017年1月9日、テレビ朝日にて放映された『人気声優200人が本気で選んだ!声優総選挙!3時間SP』で第8位に選ばれる[30]

人物
エピソード

シャープで甲高い独特の声質の持ち主で、「一度聞けばその声は忘れられない」と評される[31]。様々な作品で悪役を演じており、ラスボスというと声をかけてくれるようにもなったという[23]。その一方でマスコットキャラクターを演じる機会も多くあり、演技力の幅は広い[31]。また、中尾自身は自分にとっての役作りになる、欠点の多い人間を演じるのが好きであると話している[32]

演じる時に気をつけているのは、キャラクターがどんな呼吸をするかということである[26]。洋画の吹き替えでは、ブレス合わせで画面の中の役者が息を吐いている時に息を吸っていたところ、いつまでも演技が合わず、画面の役者を見て息を合わせ、呼吸がはまると、演技が生きてくるという[26]。アニメ作品ではブレス合わせが難しいが、どんなキャラクターでも呼吸をしており、ゆっくり大きく息をする人物と、その逆で早く細かく息をする人物では、喋り方も変わってくるため、それもキャラ作りのひとつという[26]。キャラクターの見た目から、知っているものにイメージを置き換え、呼吸や喋り方を想像するということも実践しているという[26]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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