以下の方言は独立した大方言区とすべきとの議論がある。オーストラリア人文アカデミーと中国社会科学院がまとめた『中国言語地図集』はこの立場で編纂されている。
晋語 - 七大方言では北方語に属する。
徽語 - 七大方言では呉語に属する。
平話(広西平話) - 七大方言では粤語に属する。
⇒Ethnologue は、漢語を14に分類している (SIL International, 2004)。キルギスのドンガン語は、キリル文字を用いて表記し、ロシア語やキルギス語などからの借用語が多く、使用国も異なるため、独立言語とし、平話を除いた九方言にドンガン語を加えたものである。この場合、?語は?北語・?東語・?南語・?中語・?仙語の五つの言語に分けられる。
その他、分類が定まっていない小方言群がある。
音韻[ソースを編集]
中国語は声調言語である。音節の音の高低の違いが子音や母音と同じように意味を区別している。これを声調(トーン、tone)という[32]。例えば、「普通話」には {ma} という形態素は軽声も含めて19個もある(松岡、2001)。しかし陰平声、陽平声、上声、去声の四つの声調[32] と軽声があるので、実際には5種の異なる形態素に分けられる。
例
陰平声(第一声) - 媽(m?; お母さん)- 高く平ら。
陽平声(第二声) - 麻(ma; 麻)- 上がり調子。
上声(第三声) - 馬(m?; 馬)- 低く抑える。
去声(第四声) - 罵(ma; 罵る)- 急激に下がる。
軽声 - ?(ma; 疑問の語気助詞)- 抑揚はなく、高さは前の声調により変わる。
表記[ソースを編集]
中国語の共通文字体系である漢字の歴史は古い。漢字は中国独自の文字で、ラテン文字などのアルファベットと異なり、音節文字であり表意文字である。漢字は大量かつ複雑な容姿をした部品を用い、かつ不規則な読み方をし、異体字や類義の字も多いため、習得に長期間を要し、経済的にも効率が悪いといった趣旨の否定的な評価から、文字の簡略化やラテン文字への移行を求める動きが民国期以降盛んとなり、簡体字や?音表記の開発へとつながっていった[33]。実際に朝鮮民主主義人民共和国やベトナムでは漢字を廃止した[34]。
上記の動きに伴い、中国大陸の中華人民共和国では1956年に、字画が少なく読みや構成にも統一性を高めた簡体字が正式採用された[35]。簡体字は、中国全土で使用されることが中央政府によって義務化され、シンガポールも中国語(華語)の表記に採用した。これに対して、中華民国(台湾)、香港、マカオでは、基本的に簡体字以前の字体を維持した繁体字(正体字)が使われている[36]。
中国語には簡体字と繁体字があり、これら2つは同じ漢字でも表記が異なる。繁体字・簡体字は、それぞれの文化圏での政治的・技術史的な経緯から、コンピュータ処理においては全く互換性のない別の文字コード・文字セット体系(簡体字圏=GB 2312、繁体字圏=Big5)が使用されてきた。簡体字には複数の繁体字を1字にまとめて整理した形をとったものがある(多対一)ことから、逆に簡体字から繁体字に変換する場合(一対多の使い分けが必要)、「??(頭髪)」を「頭發」、「干杯(乾杯)」を「幹杯」とする類の誤変換が中国大陸のウェブサイトの繁体字版ページなどによく見られる。
中国語のローマ字表記には19世紀以来Wade-Giles方式が伝統的に使われてきて、今でも台湾の道路標識、英字新聞に出る個人名称などに使われている[37]。次いで中華民国期の1913年には注音符号と呼ばれる発音記号が開発され、広く普及した。中華民国政府が統治する台湾では、今でも注音符号を用いて漢字の読みを示すのが一般的である[38]。中華人民共和国は1956年に漢語?音方案という新しいローマ字表記法を制定した[39]。この?音は、1977年に国連の第3回地名標準化会議で中国の地名のローマ字表記法として、1982年にはISOで中国語のローマ字表記法として採用された。また、?音は、外国人(特に欧米人)による中国語学習や小学生の漢字学習の助けにもなっている。2009年には台湾でも漢語?音も採用している。
文法[ソースを編集]
語形変化(活用)が生じず、語順が意味を解釈する際の重要な決め手となる孤立語である[40]。孤立的な特徴をもつ言語としては他にベトナム語などがある。基本語順はSVO型である[41]。しかし、現代北方語や文語では「把」や「將」、「以」による目的格表示などがあり、SOV型の文を作ることができ、かつ膠着語に近づいている。
例
標準語の文法:我去???看?。/ 我去圖書館看書。W? qu tush?gu?n kan sh?. (図書館へ行って本を読む。)
現代語では、日本語のように動詞の前後や文末に助詞・助動詞が来る。例えば了は動詞につくとアスペクト(完了)を表し、文末につくとモダリティを表す。
中国語には時制を表す文法カテゴリーが存在しない。一方でアスペクトは存在し、動詞に「了」(完了)「?/過」(経験)「着/著」(進行)をつけることによって表される。
昨天我去了?影院。/ 昨天我去了電影院。(昨日、映画館へ行った。)
また、 格による語形変化がないのが孤立語の特徴である。したがって、中国語でも名詞や形容詞に格の変化は生じない。格は語順によって示される。
例1人称単数の人称代名詞「我」 (w?)
我去?中国。/ 我去過中國。(主格;私は中国に行ったことがある。)
上海語:我到中国去?个。/ 我到中國去過個。ngo to Tsoncue chicoughe.
我???我学?。/ 我媽媽讓我學習。(目的格;母は私に勉強させる。)
上海語:我个???我学?。/ 我個媽媽讓我學習。ngoghe mama gnian ngo ghozi.
英語が同じ語順: My mom made me study.
語彙[ソースを編集]
中国語は基本的に単音節言語であるが、現代語は複音節の語彙が増えている[42]。中国語の表記に使う漢字は一音節に一文字が用いられる。
例
家(ji?; 家)
走(z?u; 歩く)
大(da; 大きい)
例外的に借用語など、単音節では意味を持たない語がある。
例
玻璃(b?li; ガラス)
本来の中国語の語は単音節であるため、たとえ声調で区別をしても、必然的に全く同音の多義語や同音異義語が多くなる。このため、特に北方語において、「目」→「眼睛」、「耳」→「耳?」、「鼻」→「鼻子」などのように複音節化して意味を明確にしている(橋本、1981)。
また、同じような意味の単音節の形態素を並べて、2音節の単語(日本語で言う熟語)を形成することがある。例えば、動詞「学/學」(学ぶ)は?音で (xue) と表記されるが、この同音異義語は5通り(学、穴、?、?、?)以上あり、「学ぶ」という意味をはっきりさせるために2音節の語にして「学?/學習」 (xuexi) とすることもできる。
脚注[ソースを編集][脚注の使い方]
注釈[ソースを編集]^ 日本語における本土方言(内地語)と、琉球方言(琉球語)の関係に似ている。