当時の安倍晋三首相は、原告団と面会し、柳澤伯夫厚生労働大臣(当時)に新たな支援策の検討を指示、厚生労働省は基礎年金満額支給と生活保護に代わる特別給付金制度を提案した。
これに対して、生活保護世帯を対象とする給付金が生活保護と同一水準支給とされるため、 原告団は「衣を変えた生活保護に過ぎない」などと反発、全国原告代表団副代表の宇都宮孝良は、「厚労省の案はとうてい受け入れられず、生活保護とは独立した補償制度が必要」と中国語で訴えた[28]。2007年5月残留孤児ら500人は厚労省の特別給付金制度案に抗議し座り込みを行った。厚労省の有識者会議も同日開かれ、委員からは、「生活に制約のある生活保護の形態では抵抗が大きい。できるだけ自由に使える形で検討すべきではないか」などの意見が出た[28]。 2007年11月28日、与野党合意の議員立法により「改正中国残留邦人支援法」が成立。(2007年12月5日公布、2008年1月1日施行(一部を除く))この法律で、中国残留邦人の生活の安定のため、@老齢基礎年金等の満額支給(約66,000円(2007年現在の水準))や、A公的年金制度によっても生活の安定を図ることができない場合には生活支援給付(約80,000円。この他に、医療や介護等、必要に応じて無償で支給。)等を定めた。またこれに伴い、予算措置として、B中国残留邦人が地域社会の中で暮らせるよう、身近な地域での日本語教室や地域との交流事業等も適宜実施されている。 2007年12月、永住帰国者約2200人が行ってきた日本政府への損害賠償請求の集団訴訟は、上記の法成立を受けて、各々訴訟を取り下げた。法成立後も訴訟を継続した2訴訟については、2009年2月、最高裁判所が上告を棄却、すべての訴訟が終了した。 近年、中国残留孤児の2世、3世が、マフィア化するケースもみられる。中国残留孤児が中心となった中国人マフィアが、東京で同胞の中国人が経営する店にみかじめ料を要求するケースが増えている。中国残留孤児の2世、3世は日本国籍や一般永住者であるため、被害者は報復を恐れ警察に通報しない傾向があるという[29]。 みかじめ料を断った人間を暴行したり、無関係の通行人を暴行殺害するなど、中国残留孤児マフィアの勢力は拡大・凶悪化している。拳銃を所持して暴力団とも抗争し、中国残留孤児マフィアの1つ、怒羅権は2002年9月に歌舞伎町で住吉会幹部を射殺している。 東京では、過去に福建省や上海出身の中国人マフィアが活動していたが、警察の努力により次々と逮捕・強制送還され、マフィア組織は縮小・壊滅していた。しかし、中国残留孤児マフィアは逮捕されても強制送還できないケースが多く、勢力を拡大している。現在では、大陸の中国マフィアを日本に手引きしたり、不良日本人や中国人留学生を手下として使う場合もある。 外務省職員が中国残留孤児二世の男性(民間人。国籍は日本)に中華人民共和国での諜報活動を依頼し、中華人民共和国当局に逮捕されるという事件が発生している。また、2005年の衆議院総選挙に於いて、選挙権を有しているのに日本語を解せず選挙権を行使できないのは人権侵害であるとして、中国語での公示を求める訴えを起こした。
改正中国残留邦人等支援法による給付制度
2世・3世のマフィア化「怒羅権」も参照
その他の問題
関連作品
小説
大地の子(山崎豊子)
不夜城(馳星周、1996年) - 佐藤夏美と呉富春が残留孤児二世。
カルテット(大沢在昌) - 登場人物の一人が中国残留孤児三世。
闇に香る嘘(下村敦史、2014年)
ノンフィクション
中田慶雄『瑞雪ー大陸にかける橋』青年出版社、1993年。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 978-4881000731。 - 著者自身が満蒙開拓青少年義勇軍に参加し後、残留孤児となる。
井田真木子『小蓮(シャオリェン)の恋人―新日本人としての残留孤児二世』文藝春秋〈文春文庫〉、1995年。ISBN 978-4167554026。 - 第15回講談社ノンフィクション賞受賞
井田真木子『プロレス少女伝説』文藝春秋、1993年。ISBN 978-4167554019。 - 第22回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。作中、天田麗文が登場する。
城戸久枝『あの戦争から遠く離れて 私につながる歴史をたどる旅』情報センター出版局、2007年。ISBN 978-4795847422。 - 第39回大宅壮一ノンフィクション賞受賞、第30回講談社ノンフィクション賞受賞。
和田登『望郷の鐘 中国残留孤児の父・山本慈昭』 (2013年)
エッセイ
山崎豊子『作家の使命 私の戦後―山崎豊子自作を語る 作品論』新潮社〈新潮文庫〉、2011年12月。ISBN 978-4101104492。
写真集
新正卓『中国残留日本孤児肖像写真集 私は誰ですか』「私は誰ですか」刊行委員会、1990年7月。
漫画
ハロー張りネズミ(弘兼憲史) 第2巻・ファイル15・「黄昏大陸」
美味しんぼ(原作:雁屋哲、作画:花咲アキラ) - 第9巻 - 第4話/黒い刺身(カワハギの肝)
TSUYOSHI 誰も勝てない、アイツには
まさきまき『蒼い記憶』草土文化〈シリーズ戦争 (1)〉、1991年8月。ISBN 978-4794504166。
映画
乳泉村の子(1991年、中国)
『蒼い記憶 満蒙開拓と少年たち』監督:出崎哲(1993年、日本)
不夜城 (1998年、李志毅
DEAD OR ALIVE 犯罪者(1999年、日本)
『花の夢ーある中国残留婦人ー』監督:東志津(2007年)[30] - あいち国際女性映画祭2007・愛知県興行協会賞[31]
『山本慈昭 望郷の鐘 満蒙開拓団の落日』 (2014年、山田火砂子監督)
テレビドラマ
母の悲劇(1982年、読売テレビ)
超新星フラッシュマン(1986?1987年、テレビ朝日) - 主人公たちの「宇宙にさらわれた子供たちが、20年後に地球に帰ってくる」という設定は中国残留孤児をモチーフにしている[32]。
離別広島的日子(1993年、中国連続ドラマ) - 主人公の竹田繁子は中国に残留した日本人少女。
大地の子(1995年、NHK)
遥かなる絆(2009年、NHK) - 上記、城戸久枝『あの戦争から遠く離れて 私につながる歴史をたどる旅』が原作。