こうした「崩壊本」が出版され続ける背景として、中国人に対する優越感にもかかわらず、現実の中国の台頭を認めたくないという日本人の願望が指摘されている[10][11][12]。また、中国崩壊本は一定の需要があることから、出版業界では「中国崩壊マーケット」とも言えるものが形成されており[3]、中国研究者の富坂聰も複数の出版社から『中国が今すぐ崩壊するという本を書いてくれ』と頼まれたことがあったという[13]。
野嶋剛、川島博之も「“中国崩壊”は日本人の願望に過ぎず、あり得ない」と分析している。
また、野嶋剛は中国崩壊論は特に日本のみに多く見られるもので、米国や台湾では中国脅威論はあっても中国崩壊論はあまり見られないと述べている[14]。 米国、台湾、オーストラリア、インドなどでも中国に批判的な書籍は多数存在するが、特に日本の書籍の特徴として中国脅威論だけでなく、中国崩壊論が多いことがあげられる。しかしながら、日本以外にも下記のような中国崩壊論の書籍が存在する。 海外での中国崩壊論は、2001年に発売されたゴードン・チャン 2018年には王世榕 劉仲敬は、中国はやがて崩壊し無秩序な状態に陥るとしてそれを「大洪水」とよんでいる。 アメリカ合衆国でも同様の傾向が見られ、中国が経済的に成長してきた2001年の段階で、アメリカ国内でも中国崩壊本が出版されるようになった。アメリカ国防総省顧問のマイケル・ピルズベリーは、中国は環境汚染などにより体制崩壊するという情報を意図的に流し、「偽情報は中国の得意分野で、共産党の統一戦線工作部が担っている。中国は不安定になるどころか強くなっている。崩壊すると我々が考えている間に、急成長したのだ」と述べた[16][17][18][19]。偽情報で油断させることが中国政府の策略であった可能性も指摘されている。韜光養晦の爪を隠す戦略は事実上リーマンショック後に放棄したことが指摘されている[20]。 中国脅威論の書籍としてはオーストラリアではサイレント・インベージョン、カナダではパンダの爪が有名である。 台湾では香港と台湾での禁書など中国民主活動家や中国の内政面を書いた書籍が多く、米国では中国の軍事的な脅威などを分析した書籍が多い。インドでもカンティ・バジパイの「India Versus China : Why they are Not Friends」など中国脅威論の本は存在する。一方、日本では韓国崩壊論を唱える本(西村幸祐、三橋貴明など)と共に、中国崩壊本が多いという特異性がある。
海外での中国崩壊論
米国
台湾
その他
中国脅威論との関係
関連項目
中国脅威論
ヘイト本
脚注^ 【検証】第三次ブームに沸く「中国崩壊本」。なぜ不毛な議論が続くのか
^ 総括・中国バブルはなぜ崩壊しなかったのか?
^ a b 中国崩壊が実現しないのはなぜ?
^ 大予言中国崩壊のシナリオ 文雄 黄はまの出版 Google Book
^ 高口康太 (2017年10月27日). “ ⇒中国崩壊本の崩壊カウントダウン”. Newsweek日本版. 2021年4月22日閲覧。
^ 野嶋剛 (2017年9月17日). “【第0話】「中国崩壊論」の崩壊 : 「中国崩壊論」の崩壊。外れ続ける「5つの予想」”. NewsPicks. 2021年4月22日閲覧。
^ 安田淳『台湾をめぐる安全保障 (慶應義塾大学東アジア研究所 現代中国研究シリーズ)』慶應義塾大学出版会、2016年3月23日、21頁。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 476642316X。
^ 中国がいつまでたっても崩壊しない7つの理由 富坂聰 株式会社ビジネス社 2017年
^ ⇒石平「中国『崩壊』とは言ってない。予言したこともない」ニューズウィーク日本版 2017年10月17日
^ 「中国崩壊」論は、単なる願望にすぎない それでも中国経済は日本の脅威になる 東洋経済ONLINE 2015/11/07
^ 「中国崩壊論」の嘘とホントニューズウィーク日本版 2017年11月22日
^ 「中国崩壊論」は全部ウソ!人は事実より、信じたいことを信じる弱い生き物 東洋経済ONLINE 2013/07/31
^ ある中国研究者の憂い西日本新聞 2018年9月30日
^ 新中国論: 台湾・香港と習近平体制 平凡社新書 著者 野嶋 剛 中国は「フランケンシュタイン」かP189
^ 王世榕專訪?《2031中國崩潰》的寫實與理性批判 By 施家恩, 台灣英文新聞?記者(2018/02/02 20:07)20210619閲覧
^ “トランプ政権、対中強硬のワケは マイケル・ピルズベリー米国防総省顧問に聞く:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 2021年4月22日閲覧。
^ 【中国崩壊論#1】ゴードン・チャン『やがて中国の崩壊が始まる』
^ 中国崩壊論が欺いた米国 機密文書と「最も危険な問題」|accessdate=2021-04-31|language=ja
^ 【中国崩壊論#1】ゴードン・チャン『やがて中国の崩壊が始まる』梶井彩子(2020/02/08 22:14)
^ 最も重大な外交課題となった中国 政策シンクタンクPHP総研 主任研究員 前田宏子 20210430閲覧