竜、特にそれぞれの足に5つの爪がある竜は、中国の多くの王朝において皇帝の象徴だった。清では皇帝の竜は黄色または金で、明代では赤色だった[21]。
帝位は竜の玉座と呼ばれていた。後期の清では、国旗に竜が採用された。竜は、北京の紫禁城などの皇宮や王墓の段差で彫刻となっている。
三皇五帝と呼ばれる古代の帝王のうち、黄帝と伏羲は龍体を持つと言われる。また、龍は瑞獣であり、その顕現は天子の徳と関係付けられて考えられた。
いくつかの中国の伝説では、皇帝は竜の形をした母斑を持って生まれたという。例えば、竜のあざを持って生まれ、ついには現王朝を倒して新王朝を建てる農民の物語が伝わる。別の伝説では、敵から隠れていた王子が、竜のあざで王子であると証明される。
一方、皇后は多くの場合、鳳凰と同定されている。
竜は帝王の象徴とされるため、帝王にまつわるものには「竜」がつくことが多い。「竜影」(帝王の姿)、「竜顔」(帝王の顔)、「袞竜(こんりょう)」(帝王の衣服。「袞竜の袖にすがる」といえば帝王に助けを求めるという意味になる)、「竜袍(りゅうほう、ロンパオ)」(清朝の皇帝の着る黄色の緞子の着物)。 水や天候を支配する竜王の礼拝は多くの地域で続いており、旧正月のお祝いなど中国の文化・伝統に深く根付いている。 「雲は龍に従い風は虎に従う」という中国の故事にちなみ、雨乞いとしての龍舞や防災祈願としての虎舞がアジア各地に伝承されている。 竜や竜のような描写は、中国全土の新石器時代の遺跡で広く発見されている。竜の最も初期の描写が興隆窪文化の遺跡で発見された。西安で仰韶文化の遺跡では、竜をモチーフとする粘土の鉢が作られている。良渚文化も竜のような様式が作られている。現在の内モンゴルにある紅山文化の遺跡では、Pig dragon そのような初期の形式は、Pig dragon 中国文学や神話では多くの有名な竜が語られる。言語学者マイケル・カーは、中国の古典に記されている100もの古代の竜の名前を元に分析している[24]。
現在の信仰
竜の描写死後、天国へ行けるよう竜の置物は墓に供えられた。[22](The Walters Art Museum)
新石器時代の描写
古典的な描写
例
青竜〔セイリュウ、セイリョウ〕 - 四神の一つ。
黄竜〔コウリュウ、オウリュウ〕
蛟竜〔コウリュウ〕
?竜
南宋時代の博物誌『爾雅翼』では竜の姿を「三停九似」、つまり首?腕の付け根?腰?尾の各部分の長さが等しく、角は鹿、頭は駝、眼は兎、胴体は蛇、腹は蜃、背中の鱗は魚、爪は鷹、掌は虎、耳は牛にそれぞれ似るという[25][注釈 4]。
竜生九子詳細は「竜生九子」を参照
明代のいくつかの書物では、竜生九子という竜の子供について記されている。 明の初代皇帝は元の規則 元史・志・卷三十一・?服一を踏襲し、皇帝の象徴である竜は5つの足の指(または爪)を、帝国の慣習としての貴族や高級官吏へ向けられた竜は4つの爪を持つと定めた。 3つ爪の竜は下級官吏や一般大衆に愛用された。(様々な明朝の唐物で広く見られる)。しかし、帝室に密接に関連した選ばれた皇族だけが、様々な象徴的な色彩を大抵は持つ竜を利用できた。皇帝を除いたいかなる人物でも、完全に金色な5つ爪の竜を利用するのは死罪であった。 適切な爪の数や色を利用しなかった場合、罪人の一族もろとも処刑するに値する反逆罪とされた。[注釈 5]。 「5つの足の指」の規則は、1336年、元の時代に施行されたのが最初である。麒麟、鸞鳳(鸞鳥と鳳凰)、白兎、霊芝、足の指5つ角2つの竜、八龍、九龍、萬壽
竜の爪
こうした規制にもかかわらず、龍文は一般庶民にも人気があった。明末清初には密かに焼かれた民間窯製の5つ爪龍文が出回っており、乾隆帝は龍文の独占を諦める詔を出した[27]。
中国北京北海公園(旧皇帝御園)の九龍壁にある皇帝の象徴の五爪の竜
唐(8世紀)時代に製造された3本指の竜を裏面に描いた青銅鏡(米国フリーア美術館蔵)
朝鮮国の李成桂の官服に描かれた五爪の竜
伝統文化
9の数 九竜図(1244年、宋朝、陳容画)
9の数は中国で天の数とされ、中国の竜は頻繁に9の数に関連づけられる。例えば、中国の竜は通常、9つの特徴から説明され、117(9×13)枚の鱗(陽が81(9×9)、陰が36(9×4))を持つとされる。
このことが、竜が9つの形態を持ち、竜生九子をもうけた理由でもある。九龍壁は異なる9つの竜が描写された精神的な壁であり、中国の宮殿や庭園に置かれている。
9は皇帝の数とされていたため、最高位の官吏のみが9つの竜のあしらわれた上着を着たが、そのローブを丈長の外套で完全に覆った。低級の官吏は8つか5つの竜のあしらわれた上着を着て、再び丈長の外套で覆った。ただ、皇帝自身も9つの竜の描かれた上着のうち、1匹は見えないように隠されていた。
中国には「九龍」と呼ばれる場所が数多くあり、最も有名なのは香港の九龍である。ベトナムではメコン川の一部がC?u Long(クーロン)として知られ、これも同じ意味である。
十二支詳細は「辰」を参照
竜を意味する辰は、十二支における12種類の動物の一つである。
12の動物のうち、唯一伝説上の生き物である。後漢の王充『論衡』言毒篇に「辰為龍、巳為蛇。辰、巳之位在東南」とあるのが、確かめられる最も古い記述である。なぜ辰だけが伝説上の動物になったのかは未だに議論の的であり定説がない。竜は実在の生物をモチーフとし、のちに伝説化したという説がある。
青竜詳細は「青竜」を参照
青龍(せいりゅう)は、天の四方の方角を司る霊獣のひとつである。東の青竜のほか、南の朱雀(すざく)、西の白虎(びゃっこ)・北の玄武(げんぶ)がいる。
ドラゴンボート「ドラゴンボート」を参照