中台首脳会談
[Wikipedia|▼Menu]
馬英九が普段の重要公務で胸元につける青天白日満地紅旗(中華民国の国旗)をあしらったバッジは外していた[5]

中台首脳は固く手を握り、カメラに笑顔を向ける。握手した両首脳の背景には五星紅旗[注 2]青天白日満地紅旗もなく、「中国」を代表する政府はどちらかという長年の政治的対立を棚上げすることで首脳会談の実現にこぎ着けた双方の腐心を象徴するものとなった[5]
会談の様子

会談は冒頭のみ一部メディアに公開された。中国国営の中国中央テレビは会談の冒頭を中継したが、流したのは習近平の発言だけだった[5]。会談の中で習近平は、「両岸の同胞は多くの困難と長い隔離の時代を経験したが、いかなる力も我々を引き裂くことはできない」と民族的な連帯を強調した[5]。これに対し、馬英九は「66年の時を越えた握手で我々がつかんだのは両岸の過去と未来であり、中華民族復興の希望だ」と応じた[5]。今回の会談では、中国語で最高指導者の意味を持つ「党総書記」「総統(大統領)」という肩書きを使わない代わりに、「先生」(中国語で「さん」のこと)と呼び合い[9]、夕食会の費用も折半するなど「対等」の形式にこだわるものだった[5][9]

会談後の記者会見では、中国側からは習近平は姿を見せず、国務院台湾事務弁公室(党中央台湾工作弁公室)の張志軍主任のみが一人で対応した[5]。これは台湾側で対中国政策を統括する機関である行政院大陸委員会の幹部らを従えた馬英九が自らも受け答えしたのと対象をなすものであった[5]

この会談中に馬英九が一度だけ、台湾の正式名称である「中華民国」に言及し、会場の空気が張り詰めたが、習近平は顔色一つ変えずに聞き流した場面があった[10]。習近平が馬英九に訂正を求めれば会談は決裂する可能性があった。これには伏線があり、会談にさかのぼる10月下旬に始まった事務レベルでの交渉で、台湾側が『馬英九が「中華民国」に言及しなければ政権が持たない』と主張した[10]。これに中国側が反発し、交渉は頓挫しかけた[10]。しかし、習近平は「相手を困らせるために会談するわけでない」と指示を出し、交渉の流れが会談実現に傾いたという[10]
関連項目

蒋毛重慶会談

北平和談(中国語版)

辜汪会談(中国語版)

連胡会談(中国語版)

脚注[脚注の使い方]
注釈^ 今回の会談では、「党総書記」「総統」などの肩書きを使わない代わりに、「領導人」(中国語で「指導者」のこと)と呼び合った。
^ 中華人民共和国の国旗。

出典^ 田中靖人 「中台「一つの中国」の原則確認 独立派を牽制、会談「定例化」は見送りか」 産経新聞2015年11月7日付、2015年12月30日閲覧.
^ 「 ⇒「一つの中国」の原則を確認 中台首脳会談」 日本経済新聞2015年11月7日付、2015年12月30日閲覧.
^“中台、「一つの中国」確認 ホットライン開設で合意”. 日本経済新聞. (2015年11月7日). ⇒http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM07H45_X01C15A1MM8000/ 2016年7月4日閲覧。 
^ 朝日新聞(2015年11月8日)朝刊第1面「中台「一つの中国」再確認 分断後初の首脳会談」
^ a b c d e f g h i j k l m 朝日新聞(2015年11月8日)朝刊第2面「中台、同床異夢の握手 対立棚上げ「国旗」なし」
^ a b c d e f g h 朝日新聞(2015年11月7日)朝刊第13面「今日中台首脳会談 シンガポールで習氏「連帯」強調」


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:25 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef