中上健次
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^ 出版社気付でサドを翻訳紹介していた澁澤龍彦にファンレターを送ったことがあるという[19]
^ 最初期の中上健次は大江健三郎のエピゴーネンであることはよく指摘される[20][21]。中上自身も「僕は昔 、大江さんの書き方にとても影響を受けた。あの人のすごい言語感覚が俺の言語感覚みたいのに反応して、それを使いたくてしようがなくなる」と述べている[22]
^ 「俺が喧嘩する相手は 、ほとんどこっちがやきもちを焼いている人間なんだよ 」[22]の言葉の通り、先行する優れた小説家、大江健三郎は作家として一人前になった中上の攻撃の対象となった。大江の海外文学理論を援用するブッキッシュな小説作法や、反核戦後民主主義擁護のような理想主義的な言動を批判的に見た[23][24]。もちろん同時に尊敬もあり雑誌「ダカーポ」で連載した文芸時評などにおいて大江の『人生の親戚』や『夢の師匠』の出来の素晴らしさに瞠目したことを語り[25][26]「他の人と横並びに読んでみると 、大江さんはダントツなんだよ」という賛辞を率直に述べたりもしている[22]。両者は一度、文芸誌『新潮』において主に海外の文学や理論を巡って意見を交わす直接対談をしている(「多様化する現代文学」『中上健次全発言II -1978?1980』所収)。晩年はフランクフルト日本ブックフェアのシンポジウム(1990)、共に選考委員を務めた三島賞の選考会など公的な場所で同席することも多かった。
^ 中上の母親のちさとは、幼い息子にせがまれて口承の昔話をした人だったが[29][30]、ひらがなとカタカナしか読めなかった。(中上は後年こう述べている。「おふくろなんか文盲だし、周りもみんな教育受けてないのと同じみたいなものです。じゃ何があるかというと、語りの世界ですよね、文字を読み書きするというよりは。おふくろはもともと婆さん子だったから、物語をどっさり知っていて、僕にも話して聞かせてくれる。そういう語りの言葉がいっぱいある。」)[31]近所にたまたま頭がおかしくなった本好きがいたことから、ちさと(千里)は、字を読んでいるとノイローゼになって果ては自殺にいたる、と思い込んでおり、中上が本を読んでいるとそれを奪い取った[18]。中上には医者の息子の裕福な親友がおり、読みたい書物や聴きたいクラシックのレコードをリストアップして買ってもらって、親友の部屋でそれらに触れた[32][33]
^ 文学に目覚めた中上は、新宮高校の文芸部の機関紙「車輪」に小説『赤い儀式』や詩を発表している。『赤い儀式』はエッセイ集『破壊せよ、とアイラーは言った』に収録された[34]
^ 中上の実家はこの頃には土建の仕事が成功して裕福になっており(中上自身の言によると「土方の親方の家ですから 。成金の家ですね 」)[31]、大卒の初任給が1965年当時平均2万3千円の時代に、高澤秀次著『評伝中上健次』によると月3万円の仕送りを受けていたという[40]。一方、(『エレクトラ : 中上健次の生涯』)によると仕送りの額は月に5万円から6万円で、それを7日間から10日間で使い果たすと姉に無心し5万円から6万円の仕送りを受けていたともいう[41]。1966年には亜細亜大学に合格したと嘘をついて親から入学金と授業料をせしめていた[42]。また亜細亜大学の学費とは別個に、アテネ・フランセの入学手続きに必要な金を送らせたこともある[43]
^ ジャズビレッジでは牧田吉明鈴木翁二などの知己を得た[44][45]
^ ビレッジバンガードではビートたけし永山則夫とすれちがっている[46]。自分と似た境遇の永山則夫の起こした連続射殺事件にショックを受けた若き中上は「ぼくはなぜ書くのか? なぜ実際の犯罪でなく 、書くことの犯罪(中略)であるのか? なぜピストルでなく万年筆なのか?」との問題意識から「犯罪者永山則夫からの報告」という長編エッセイを書いている。(『鳥のように獣のように』所収)。
^ 当時のジャズ狂いのフーテン生活をこう綴っている。「西武線沼袋に住んだ頃は、いつも歩いて新宿まで出た。職なしのチンピラ風の、彼らや、オイラが、スケアな奴を尻目に、たとえばコルトレーンを、テイラーを、ある時はデビス(注:ママ)を、スキャットしながら町を行く。金を持っている時、駄菓子屋で、パンを買った。コロッケを買った。それを食いながら、歩いた。マリワナエフェドリンハイミナールドローランソーマニールナロン、くすりは手に入る限り、なんでもやった。
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