両生類
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逆に無尾目では孵化時点から機能はせずとも肺があり、幼生期(時期は足が生え始める前から変態直前まで色々)からこれが発達して肺呼吸をする方が多くの科に見られ[注釈 7]、例外的にヒキガエルの仲間やナガレガエルの仲間は変態完了まで肺が機能せず肺呼吸をしない[12]。また更なる例外として前述のオガエルは成体でも肺が退化している[13]

有尾目の一部の種では、変態をしないで幼生の形態のままの成体になる幼形成熟ネオテニー)が知られる。また変態が途中で終了する種も存在する。例えばアメリカ合衆国に分布するヘルベンダー(アメリカオオサンショウウオ)は鰓孔が最後まで消えないためそういった考え方も出来る。逆に変態を終えた姿で生まれる種も多い。

絶滅の危惧

カエルツボカビ症による両生類の絶滅が危惧されている。致死率は90%にも上る。

飼育上の注意点として、麻布大学の宇根有美准教授(獣医病理学)は、「飼っている両生類に異変があれば、すぐに獣医師などに相談してほしい。水の管理が最も重要で、水槽の水を排水溝や野外に流さないでほしい」としている。
分類

下位分類体系の一例を以下に示す。

迷歯亜綱 †Labyrinthodontia - 絶滅した分類群

イクチオステガ目 †Ichthyostegalia

分椎目 †Temnospondyli

炭竜目 †Anthracosauria


空椎亜綱 †Lepospondyli - 絶滅した分類群

欠脚目 †Aistopoda

ネクトリド目 †Nectridea

細竜目 †Microsauria

リソロフィス目 †Lysorophia


平滑両生亜綱 Lissamphibia - 現生の両生類

無尾目 Anura - カエルのなかま

有尾目 Caudata / Urodela - サンショウウオイモリなどのなかま

無足目(アシナシイモリ目) Gymnophiona


系統関係現在確認された中で史上最大の両生類とされている古生代ペルム紀後期のプリオノスクス

四肢動物デボン紀後期の約3億6000万年前に肉鰭綱から進化した。ハイギョ類とシーラカンス類のどちらに近いかは未だ決着がついていない。デボン紀後期になり、両生類が初めて陸上に適応した脊椎動物として現れた[14]

肺呼吸獲得については「板皮類の肺が食道の変化で先に完成し、それが現生魚類の浮袋に変化した。」という肺先行説と、「硬骨魚類の浮袋が先に完成し、それが肺に変化した。」という浮袋先行説があり、無尾目の胚の発生で最初から肺への動脈に鰓弓動脈の一部が伸びて呼吸器として使う前提の形になっている事は肺先行説に有利な証拠とされている[15]

最初期の四肢動物であるアカントステガイクチオステガは曲がりくねった大河川に住んでいたと思われるが、やや時代が下ったチュレルペトンのように海生と思われる種もいた。この時期の四肢動物は、まだ少なくとも一部はに覆われた魚類のような皮膚と、6本以上の指を持つ水を掻くのに適した四肢を持つ、ほとんどを水中ですごす動物であったらしい。

石炭紀になるとペデルペスのように陸上生活に適応した四肢を獲得し、二次的に水中に戻った種も含め多様な種が生まれた。石炭紀後期にはすでに有羊膜類が枝分かれして行き、これら迷歯亜綱に分類される動物たちは徐々に水中生活にウエイトを戻していく。これら古いタイプの両生類は、中生代になっても三畳紀には世界中の淡水系に数mにも及ぶ巨大な種が繁栄していたが、三畳紀末の大絶滅以降急激に衰えて、一部地域に遺存種を残すのみとなり、白亜紀前期に絶滅した。

現生両生類である平滑両生亜綱に属する無尾目・有尾目・無足目の起源と関係は未だはっきりとわからないが、すでに約2億9000万年前のペルム紀前期に無尾目・有尾目・迷歯亜綱分椎目の特徴をモザイク状に有するゲロバトラクスが存在した。

三畳紀のマダガスカルには現生のカエルにある程度近い姿のトリアドバトラクスが生息し、ジュラ紀になると今と外見上は変わらないカエルが世界中に分布を広げていた。

現在発見されている有尾目とされる最古の種は三畳紀後期のキルギスタンに生息していたトリアスルスTriassurus sixtelaeである[16]。ジュラ紀中期にはキルギスタンから Kokartus、イギリスからネオテニー的な水生種 Marmorerpeton の化石が発見されている。これらはもっと後の種の解剖学的特徴のいくつかを持たなかったが、ジュラ紀後期には現在のトラフサンショウウオに似たカラウルスオオサンショウウオ科チュネルペトンが生息していた。

無足目はジュラ紀初期のまだ四肢が残っているエオカエキリアの化石が見つかっている。また三畳紀の分椎目キンレステゴピスはエオカエキリアといくつかの特徴を共有しており、類縁関係があるのではないかという説がある[17]。現在の両生類は基本的に淡水域を生活の場としているのにもかかわらず地球上の陸地に広く分布していることなどから、遅くともパンゲア大陸が完全に分裂したとされている白亜紀までに、現生のは全て誕生していたはずだが、詳しいことはわかっていない。
脚注[脚注の使い方]
注釈^ メキシコジムグリガエルなど乾燥地帯に生息する種類もいるが、これも湿った地中に住むもので繁殖も雨季の水たまりを利用するなど、結局は水に依存している。
^ なお鰓呼吸をする幼体でも心臓の構造はそのままであり、1心房1心室の普通の魚類(魚類でも肺魚類は2心房1心室で心房中隔の構造は有尾類に近い構造をしている)とは異なる。
^ アンモニアは尿素より有毒なので溜めておけず、薄い状態で排出する必要がある(=同じ量の窒素分を捨てるのに大量の水がいる)。
^ 単位及び普通のカエルの属名が不詳なのは原文ママ。
^ 魚類でも肺魚類やポリプテルス類の幼魚は例外的に外鰓を持つ
^ このグループも幼生期には肺の原器があるので二次的に肺が退化したと推測されている。
^ アカガエル科のウシガエルRana catesbeiana、リオグランデヒョウガエルRana barlandieri、ミナミヒョウガエルRana sphenocephala、スキッパーガエルEuphlyctis cyanophlyctis。アマガエル科のコーラスガエルPseudacris triseriata、ピパ科のアフリカツメガエルXenopus laevis、コンゴツメガエルHymenochirus boettgeri。スキアシガエル科のプレーンスキアシガエルScaphiopus bombifrons。の8種類は2002年時点で田中邦明が文献で幼体時の肺呼吸の報告を確認済み。

出典^ 長谷川政美、『系統樹をさかのぼって見えてくる進化の歴史』p126、2014年10月25日、ベレ出版、ISBN 978-4-86064-410-9
^ 『新撰理科書 2上 訂2版』 - 国立国会図書館デジタルコレクション
^ 『新撰普通動物学 訂正増補3版』 - 国立国会図書館デジタルコレクション
^ 代表・内田亨「脊椎動物とはどんなものか」、『原色現代科学大事典 5-動物II』、株式会社学習研究社、昭和43年、P7図4。
^ 荒木忠雄「4-生命の保持」『原色現代科学大事典 7-生命』吉川秀男・西沢一俊代表、株式会社学習研究社、昭和44年、P385図3「両生類のらせん弁」
^【質問】両生類の幼生の血液循環のしくみについて日本動物学会一般向けページ、「動物学会 Q&A ?高等学校の先生方へ?」2014.2.23掲載。
^ 松井正文、『両生類の進化』p3、東京大学出版会、1996年
^ a b 内山実, 今野紀文, 兵藤晋、「尿素を利用する体液調節:その比較生物学, 比較内分泌学」 2009年 35巻 134号 p.175-189, doi:10.5983/nl2008jsce.35.175, 日本比較内分泌学会
^ 荒木忠雄「4-生命の保持」『原色現代科学大事典 7-生命』吉川秀男・西沢一俊代表、株式会社学習研究社、昭和44年、P397表1「後生動物の窒素排出物の組成」
^ 『原色現代科学大事典 5動物II』、宮地伝三郎(責任編集者)、株式会社学習研究社、昭和43年(1968年)、p.163・181。


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