世襲政治家
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2010年参院選では「世襲候補に無原則な公認または推薦はしない」ことを公約に盛り込んだ[11]。引退する若林正俊の後継者として公募を経て長男の若林健太が、立候補を表明していた青木幹雄が選挙直前に病気が発覚して不出馬を表明した際には島根県連が緊急に長男の青木一彦がそれぞれ公認候補とされ、2人とも当選を果たした。2011年1月、自民党は衆院選のマニフェストを修正し、各都道府県連が行う公募のプロセスを経ることを条件に世襲制限を撤回する方針を固めた[12]。結果として津島が自民党において世襲制限により公認が見送られた唯一の例となった。

第46回総選挙の後継者選定において公募をおこなった際に大物政治家が引退することによる世襲候補(群馬4区の福田康夫の長男である福田達夫、広島4区の中川秀直の次男である中川俊直、北海道12区の武部勤の長男である武部新、奈良4区の田野瀬良太郎の次男である田野瀬太道、香川3区の大野功統の長男である大野敬太郎)がメディアから批判された。応募者が1人だけだった群馬4区を除いた4選挙区では応募した候補者は複数いたが、広島県連・北海道連・香川県連は3選挙区で世襲を候補とすることを決定した。執行部は世襲批判をかわすために公認候補に関する党員投票を求めたが4道県連が反発した。最終的に世襲1人に絞っていなかった奈良県連では奈良4区の田野瀬の次男と他1人を党員投票を行ったが、4道県連では党員投票が行われないまま世襲を候補とすることを決定し、奈良県連でも党員投票で田野瀬が圧勝したことから世襲である田野瀬を候補とすることが決定した。自民党執行部は「公募で新人候補を約100人決め、世襲は1割弱」としているが、「世襲にお墨付きを与えるだけの『なんちゃって公募』だ。自民党の古い体質は変わっていないと思われ、最悪だ」(若手議員)、「出来レース」(党関係者)との声もある[13][14]。同選挙では前回落選していた津島も自民党に公認され当選した。
インド

初代インド首相ジャワハルラール・ネルーの娘インディラ・ガンディーと孫ラジーヴはともに首相に就任しており、イタリア出身のラジーヴの妻ソニアまでインド国民会議党首に就任している。インディラの次男サンジャイも政治家で、その妻メーナカーは環境大臣を歴任した。ジャワハルラールの父モティラル・ネルーも有名な国民会議派の政治家であり、ラジーヴとソニアの子ラーフルとサンジャイとメーナカーの子ヴァルンも下院議員である(ただし、ラーフルはインド国民会議・ヴァルンはインド人民党所属)。

この状況は「ネルー・ガーンディー王朝」ともいわれている[注 6]
バングラデシュ

ムジブル・ラフマンの娘のシェイク・ハシナは首相になった。
スリランカ

ドン・スティーヴン・セーナーナーヤカの息子のダッドリー・シェルトン・セーナーナーヤカは首相になった。
シリア

第4代大統領ハーフィズ・アル=アサドは30年に渡る独裁体制を構築し、2000年の死後、息子のバッシャール・アル=アサドが大統領職に就任した。
シンガポール

シンガポール首相リー・シェンロンの父親は建国当時の首相リー・クアンユーである。
カンボジア

フン・センの息子のフン・マネットは首相になった。
大韓民国

朴槿恵大統領の父親は朴正煕である。また、国会議員などにも鄭一亨・鄭大哲・鄭皓駿の三世代、趙炳玉・趙尹衡・趙舜衡の親子、金大中金弘一・金弘業・金弘傑の親子、南平祐・南景弼の親子、鄭石謨・鄭鎮碩の親子、劉守鎬・劉承?の親子、李重載・李鍾九の親子、柳致松柳一鎬の親子、張聖万・張済元の親子、金鎮載・金世淵の親子、金尚栄・金星坤の親子、金相賢・金映豪の親子、盧承煥・盧雄来の親子、金哲金ハンギルの親子、鄭雲甲鄭宇沢の親子らがいた[15]
中華人民共和国「太子党」も参照

中国共産党の高級幹部子弟は太子党と呼ばれ、政治を担う党幹部に多くが進出している。有名な例では、胡錦濤の後継者として総書記に就任した習近平全人代常務副委員長を務めた習仲勲の息子であるほか、元国務院総理李鵬周恩来の養子である。横山宏章「中国を駄目にした英雄たち」(講談社)などによれば、文化大革命当時には「親が革命家なら子供も赤い。親が反革命なら子供も黒い」という理論が盛んに喧伝された。
中華民国

2016年の立法選挙では、365人の候補者のうち63人が政治家一族出身であり、40人は元政治家の子供だった。台湾の22の市と郡の中で、政治的背景を持つ政治家の割合は24.6%だという。総統を務めた?経国の父は同じく総統を務めた?介石であり、?経国の孫の?万安台北市長を務めている。
朝鮮民主主義人民共和国

北朝鮮では最高権力金日成金正日金正恩と世襲されている。社会主義国では珍しく君主制絶対王政のように首脳部の世襲が行われており、また首脳部の家族が政治的要職についていることから「金王朝」と揶揄される。社会主義国で最高権力が世襲されていた国家としては北朝鮮以外にはキューバがあるが、キューバはフィデル・カストロの実弟であるラウル・カストロがカストロ家以外からミゲル・ディアス=カネルを後継者に指名したため、カストロ王朝は金王朝と異なり2代で終止符を打った。北朝鮮ではこの他に「出身成分」と呼ばれる血統による人民支配が行われている。「白頭血統」も参照
アゼルバイジャン

ソ連構成国から独立したアゼルバイジャンでは独立時の大統領ヘイダル・アリエフの息子イルハム・アリエフが後を継ぐ事実上の世襲が行われている。
トルクメニスタン

第2代大統領グルバングル・ベルディムハメドフは2022年に若者への権力委譲を理由に辞任し、同年の大統領選挙によって、息子のセルダル・ベルディムハメドフが大統領職に就任した。
フィリピン

2010年に大統領となったベニグノ・アキノ3世上院議員は、父がベニグノ・アキノ・ジュニア元上院議員、母がコラソン・アキノ元大統領である。


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