世界都市
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一方、同じく代表的な世界都市に挙げられるロンドンやパリは、都市圏人口において名古屋市とほぼ同水準であるなど[18]、世界トップクラスのメガシティとは言いがたい。サスキア・サッセンが「多くの世界都市はメガシティではない」と述べているように、たとえばチューリッヒジュネーヴは都市圏人口が100万人にも満たない非メガシティであるが、世界都市としては高い評価を得ている[19]
1970-1990年代

1970年代から1980年代の世界都市形成は、次第に金融主導型のそれに傾斜し、金融マネーのグローバリズムの所産という性格が、多分に強くなったと考えられる[20]。衛星通信やコンピュータ通信の飛躍的発展によって、世界の金融センターを結ぶ24時間取引や多国籍産業のグローバル・マネージメントが可能になったことも要因だと考えられる[21]。こうして国際情報を集積し、ボーダレス・マネーを動かして世界経済をコントロールする国際金融センターが現れ、世界的な都市ヒエラルキーの頂点に立った[21]。1990年ごろには、ロンドン・ニューヨーク・東京が「三大世界都市」と呼ばれ、グローバル経済と世界都市システムの頂点に姿を現していた[22]。ロンドンやニューヨークは国際金融と世界的な経済センターとしての位置を強化し、高次ビジネス・サービスに経済の重点を移したのである[23]。世界経済はますます金融に傾斜し、世界的な金融市場の拡大は国際金融と関連したビジネス・サービスの収益性を高めた[23]。ロンドンやニューヨークは、これらの国際的な金融、ビジネス・サービスと文化、人の移動、ものの輸送、デザイン、通信などの中心として生まれ変わることで「世界都市」と呼ばれるようになったのである[23]。一方、東京はロンドンやニューヨークとは経済構造が異なり、大都市圏としてみてみると金融やサービスはいうに及ばず、ハイテク、卸売業から都市型工業にいたるまで集積したフルセット型の産業構造であり、いわばオールマイティーな経済機能をもつ都市として世界都市形成を行った[24]。2001年に大ロンドン庁が公表した報告書「ロンドン・プラン」においても、ロンドン・ニューヨーク・東京の3都市を「本物の世界都市」と定義しており、世界都市としての三強時代が続いていた[25]
トップクラスの世界都市
ニューヨーク「ニューヨーク」も参照

ロンドンとともに世界最高峰に位置づけられる都市[26][19][27][28]超大国アメリカ合衆国ならびに世界における経済・金融・文化・交通・メディア・娯楽・観光などの中心的な都市の一つである。ニューヨーク証券取引所は世界最大の証券取引所であり、世界経済に大きな影響力を持つ。中心街のマンハッタン国際連合の本部が所在するなど、数々の国際機関も集積しており首都ではないながらも絶大な政治的影響力がある。世界大手の通信社AP通信ニューヨーク・タイムズウォール・ストリート・ジャーナル、さらにアメリカ三大テレビ局の本社もあり、メディアに関してもグローバルな影響力を有する。メトロポリタン美術館など文化施設も多く、世界遺産自由の女神像はニューヨークならびに自由民主主義の象徴である。2016年の調査では、個人資産が10億ドル以上の大富豪が世界でもっとも多い都市である[16]
ロンドン「ロンドン」も参照

ニューヨークとともに世界最高峰に位置づけられる都市[19][27][28][26]。世界における金融・文化・交通・教育・メディア・娯楽・観光などの中心的都市の一つである。世界最高の金融センターとされ[10]外国為替市場の取引額はイギリスが世界一であり[29]、その中心は首都ロンドンである。世界でもっとも外国人の訪れる都市の一つであり、ロンドン・ヒースロー空港は世界最大級のハブ空港である。ロンドンで2番目に大きいロンドン・ガトウィック空港も国際線の年間利用者数でニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港を上回る[12]。外国出身者の人口は2011年時点で約300万人であり[30]、多種多様な民族が混在して暮らしている。ロンドン塔ウェストミンスター宮殿など数々の世界遺産を有し、大英博物館など著名な文化施設も多い。特に文化的な交流の面で強く、王立国際問題研究所は世界的なシンクタンクであり、メディア大手のタイムズBBC英語が事実上の世界共通語であることからも国際的な影響力を有する。2016年の調査では、個人資産が3,000万ドル以上の超富裕層が世界でもっとも重要とする都市である[31]。一方で、2020年にイギリスがEUを離脱したことにより、世界都市としての地位の低下も懸念されている[32]
東京「東京」も参照

アジアを代表する世界都市の一つ[33]。経済的な評価は相対的に低下傾向にあるものの[34][28]、政治や文化を含めた総合的な評価はアジアで最高位に位置づけられる[19][27][35]日本の政治や経済の本部機能が一極集積しており、ニューヨークを上回る世界最大の経済規模の都市圏を形成している[8]。アメリカの大手旅行誌に2年連続で「世界でもっとも魅力のある都市」に選出されるなど、観光面でも高い評価を得ている[36]。また、世界主要60都市の中で「もっとも安全な都市」との評価も受けている[37]。また東京は、北京に次いで大企業の本社が多い都市とされる[38]。東京は1980年代末から長らくニューヨーク、ロンドンと共に「三大金融センター」と位置付けられてきたが[39]、2023年の評価では世界20位にまで順位を落としている[40]。また、日本の森記念財団は、「女性の社会進出の不足」「少ない外国人居住者数」「歴史・伝統への接触機会の限界」に加え、航空機の国際線の便数や五つ星ホテルの客室数で見劣りする点が東京の課題との分析を示している[41]
パリ「パリ」も参照

ロンドンと共に欧州地域を代表する世界都市。国連安保理常任理事国G7に加盟している国の首都であり、経済・芸術・文化・交通・メディア・娯楽・観光の中心地である。OECDユネスコなど国際機関の本部が多数集積しており、フランス通信社BNPパリバなどはグローバルな影響力を有する。A.T.カーニーの調査では情報交換の分野において世界最高の評価を受けている[19]パリ=シャルル・ド・ゴール空港は世界屈指のハブ空港であり、地下鉄のメトロなど交通・アクセス部門も充実している。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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