世界都市と対照的な都市概念として、主に人口に基づいた都市規模の大きさを示すメガシティ(巨大都市)がある。国連の統計によると、2018年現在で世界最大の都市は東京である[17]。東京都市圏は、世界で唯一人口3,500万人を超えている大都市圏であり[18]、経済規模も世界最大である[8]。ニューヨークも人口2,000万人前後を抱える世界有数の都市圏を形成しており、東京とともに世界都市とメガシティの両性を強く兼ね備えた都市である。一方、同じく代表的な世界都市に挙げられるロンドンやパリは、都市圏人口において名古屋市とほぼ同水準であるなど[18]、世界トップクラスのメガシティとは言いがたい。サスキア・サッセンが「多くの世界都市はメガシティではない」と述べているように、たとえばチューリッヒやジュネーヴは都市圏人口が100万人にも満たない非メガシティであるが、世界都市としては高い評価を得ている[19]。 1970年代から1980年代の世界都市形成は、次第に金融主導型のそれに傾斜し、金融マネーのグローバリズムの所産という性格が、多分に強くなったと考えられる[20]。衛星通信やコンピュータ通信の飛躍的発展によって、世界の金融センターを結ぶ24時間取引や多国籍産業のグローバル・マネージメントが可能になったことも要因だと考えられる[21]。こうして国際情報を集積し、ボーダレス・マネーを動かして世界経済をコントロールする国際金融センターが現れ、世界的な都市ヒエラルキーの頂点に立った[21]。1990年ごろには、ロンドン・ニューヨーク・東京が「三大世界都市」と呼ばれ、グローバル経済と世界都市システムの頂点に姿を現していた[22]。ロンドンやニューヨークは国際金融と世界的な経済センターとしての位置を強化し、高次ビジネス・サービスに経済の重点を移したのである[23]。世界経済はますます金融に傾斜し、世界的な金融市場の拡大は国際金融と関連したビジネス・サービスの収益性を高めた[23]。ロンドンやニューヨークは、これらの国際的な金融、ビジネス・サービスと文化、人の移動、ものの輸送、デザイン、通信などの中心として生まれ変わることで「世界都市」と呼ばれるようになったのである[23]。一方、東京はロンドンやニューヨークとは経済構造が異なり、大都市圏としてみてみると金融やサービスはいうに及ばず、ハイテク、卸売業から都市型工業にいたるまで集積したフルセット型の産業構造であり、いわばオールマイティーな経済機能をもつ都市として世界都市形成を行った[24]。2001年に大ロンドン庁が公表した報告書「ロンドン・プラン」においても、ロンドン・ニューヨーク・東京の3都市を「本物の世界都市」と定義しており、世界都市としての三強時代が続いていた[25]。 ロンドンとともに世界最高峰に位置づけられる都市[26][19][27][28]。
1970-1990年代
トップクラスの世界都市
ニューヨーク「ニューヨーク」も参照