世界都市
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証券取引所、銀行、保険会社などが集積し、高度に発達した金融センターを形成している(世界を代表する金融センターとしてロンドン、ニューヨーク、シンガポール、香港、東京が挙げられる[10])。

労働人口における高学歴者の割合が高く、企業や市場にサービスを提供する専門サービス業や知的産業が発展している。

学術研究やビジネス、文化人など各分野における著名人が拠点を置いており、実績ある人材が集積している。

政治的特徴ホワイトハウス

中央政府など行政機関が所在し、グローバルな政治的影響力がある(主要国の首都であるワシントンD.C.、北京、東京、ロンドン、パリ、ベルリン、ローマ、モスクワなどが代表的である)。

大使館や領事館が所在しており、外交の舞台となり得る。

主要なシンクタンクがある(ニューヨークの外交問題評議会、ロンドンの王立国際問題研究所、北京の中国社会科学院など)。

国際機関や地域統合体の本部が所在する(たとえば、ニューヨークには国連本部があり、ブリュッセルには欧州連合の主要機関が置かれている)。

行政区画の人口が通常数百万人規模の大都市であり、さらに都市圏の中枢として機能している場合が多い。

都市が世界的な影響力を持つことから、通常世界政治ではあまり注目されない地方首長も各国から注目される場合が多い(たとえば、ニューヨーク市長東京都知事ロンドン市長といった上位世界都市の選挙の場合は、世界的なニュースとなる)。

文化的特徴大英博物館

都市の世界的な認知度が高い(たとえば、パリは「フランスのパリ」と国名を補足しなくてもそれが何かが自明であり、エッフェル塔凱旋門など有名なランドマークがある)。

外国人の訪問者数が多い(2016年の統計によると、世界でもっとも外国人の訪問者数が多いのはバンコクであり、2位はロンドンである[11])。

世界的に有名な学府や文化施設を擁する(ロンドンのロンドン大学大英博物館、ニューヨークのコロンビア大学やメトロポリタン美術館など)。

世界的に有名で世界情勢に多大な影響力をもつ通信社やマスメディアが本拠を置く(ニューヨークのAP通信ニューヨーク・タイムズ、ロンドンのロイター通信BBC、パリのフランス通信など)。

チャイナタウンなど、都市の内部に複数の移民コミュニティーや異文化圏が存在することが多い。また、国際都市として大規模なビジネスを引きつけることから、その土地本来の文化とは別に異邦人文化も形成される傾向もある。

アートシーンをリードするさまざまな媒体や受け皿となる施設がある(ニューヨークのブロードウェイ(演劇・ミュージカル)、リンカーンセンター(オペラ、バレエ、音楽)、ソーホー(美術館)、七番街(ファッション)、マディソン街(広告)など)。

幅広いスポーツコミュニティが存在し、メジャースポーツチームが本拠を置く(ニューヨークのヤンキースメッツ(プロ野球チーム)、東京のジャイアンツ(プロ野球チーム)、ロンドンのチェルシーアーセナル(プロサッカーチーム)など)。また、オリンピックワールドカップなどの国際スポーツイベントを開催可能な、あるいは過去に開催した実績のある施設が存在する。

社会基盤の特徴ドバイ国際空港

公共交通機関や高速道路網が整備され、多種多様な交通手段をもつ。

複数の航空会社がハブ空港としている大規模な国際空港がある(2015年において国際線の利用者数が世界でもっとも多い空港はドバイ国際空港である[12])。

多国籍企業の運営には不可欠な、先端技術を用いた高速通信の都市基盤設備が整備されている(光ファイバーケーブル網、セリュラーネットワーク、インターネットアクセスなど)。

住居コストが高い(2016年の調査報告によると、シンガポールが世界でもっとも生活コストのかかる都市である[13])。

コミュニティの崩壊、ホームレスの増大、交通渋滞、外国人労働者の大量流入などの社会問題も抱える傾向にある[14](たとえば、ドバイの人口の83%は外国出身者で占められている[15])。

富豪、富裕層が多く、社会格差が大きい(2016年時点で、個人資産10億ドル以上の富裕層がもっとも多い都市はニューヨークであり、2位は香港である[16])。

対照的な概念詳細は「メガシティ」を参照

世界都市と対照的な都市概念として、主に人口に基づいた都市規模の大きさを示すメガシティ(巨大都市)がある。国連の統計によると、2018年現在で世界最大の都市は東京である[17]東京都市圏は、世界で唯一人口3,500万人を超えている大都市圏であり[18]、経済規模も世界最大である[8]ニューヨークも人口2,000万人前後を抱える世界有数の都市圏を形成しており、東京とともに世界都市とメガシティの両性を強く兼ね備えた都市である。一方、同じく代表的な世界都市に挙げられるロンドンやパリは、都市圏人口において名古屋市とほぼ同水準であるなど[18]、世界トップクラスのメガシティとは言いがたい。サスキア・サッセンが「多くの世界都市はメガシティではない」と述べているように、たとえばチューリッヒジュネーヴは都市圏人口が100万人にも満たない非メガシティであるが、世界都市としては高い評価を得ている[19]
1970-1990年代

1970年代から1980年代の世界都市形成は、次第に金融主導型のそれに傾斜し、金融マネーのグローバリズムの所産という性格が、多分に強くなったと考えられる[20]。衛星通信やコンピュータ通信の飛躍的発展によって、世界の金融センターを結ぶ24時間取引や多国籍産業のグローバル・マネージメントが可能になったことも要因だと考えられる[21]。こうして国際情報を集積し、ボーダレス・マネーを動かして世界経済をコントロールする国際金融センターが現れ、世界的な都市ヒエラルキーの頂点に立った[21]。1990年ごろには、ロンドン・ニューヨーク・東京が「三大世界都市」と呼ばれ、グローバル経済と世界都市システムの頂点に姿を現していた[22]。ロンドンやニューヨークは国際金融と世界的な経済センターとしての位置を強化し、高次ビジネス・サービスに経済の重点を移したのである[23]。世界経済はますます金融に傾斜し、世界的な金融市場の拡大は国際金融と関連したビジネス・サービスの収益性を高めた[23]。ロンドンやニューヨークは、これらの国際的な金融、ビジネス・サービスと文化、人の移動、ものの輸送、デザイン、通信などの中心として生まれ変わることで「世界都市」と呼ばれるようになったのである[23]。一方、東京はロンドンやニューヨークとは経済構造が異なり、大都市圏としてみてみると金融やサービスはいうに及ばず、ハイテク、卸売業から都市型工業にいたるまで集積したフルセット型の産業構造であり、いわばオールマイティーな経済機能をもつ都市として世界都市形成を行った[24]。2001年に大ロンドン庁が公表した報告書「ロンドン・プラン」においても、ロンドン・ニューヨーク・東京の3都市を「本物の世界都市」と定義しており、世界都市としての三強時代が続いていた[25]
トップクラスの世界都市
ニューヨーク「ニューヨーク」も参照

ロンドンとともに世界最高峰に位置づけられる都市[26][19][27][28]


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