世界貿易機関
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最終段階の日程は、その後決定される[43]

2020年10月8日、9月24日から10月6日まで行われていた事務局長選出の第二段階の選考結果が公表され、ナイジェリアのンゴジ・オコンジョ=イウェアラ、韓国の兪明希の2人が最終段階の選考に進出した[44]。これにより、WTO史上初めての女性事務局長が誕生することが確実となった[44]。最終段階の選考は、10月19日に始まり、10月27日まで行われる[44]

2020年10月28日、最終段階の選考でオコンジョ=イウェアラが加盟国のコンセンサスが得られるもっとも高い候補者であると発表された[45]。これに対して米国が異議を唱えており[46]、11月9日の一般理事会で決着しない場合は、事務局長不在が長期化する可能性が指摘された[47]。WTOの事務局長選考規定[48]のパラ20は、コンセンサス方式による決定を行うことができない場合には、その時に決定される手続による最後の解決手段として投票に訴えることができるとしているものの、採決を行った場合の混乱を考慮すると採決を行うことが支持されない可能性もあり、米国大統領選後に決着を持ち越すと見られた[49]

結局、2020年11月6日、11月9日に予定していた最終決定のための一般理事会を延期する旨が発表された[50]。延期理由については「公衆衛生や時事問題を含む理由(reasons including the health situation and current events)[51]」とされている。報道では「新型コロナウイルス感染再拡大のほか、加盟国間の意見調整が難航していることも影響した可能性がある」(毎日新聞)[52]とも報じられている。

2021年1月20日にジョー・バイデンアメリカ合衆国大統領に就任し、2月5日に、兪明希が立候補を取下げ[53]、またアメリカ合衆国通商代表部がオコンジョ=イウェアラを強く支持することを表明[54]したことで流れは決定的となった[55]。2月15日に一般理事会はオコンジョ=イウェアラを次期事務総長に選出し、半年間にも及ぶ空席にようやく終止符が打たれることとなった[53][56]。2021年3月1日に就任し、任期は、2025年8月31日までとなっている[53]
WTO設立協定

世界貿易機関の設立について定めた国際条約は、正式名称を世界貿易機関を設立するマラケシュ協定といい、通常WTO設立協定またはWTO協定と呼ばれている。WTO設立協定は本体および附属書に含まれる各種協定からなる。

附属書は1から4まである。うち附属書1?3はWTO設立協定と一括受諾の対象とされており、WTO加盟国となるためには附属書1?3の全ても受諾しなければならない。附属書4は一括受諾の対象ではなく、受諾国間でのみ効力を有する。

附属書1

附属書1A 物品の貿易に関する多角的協定

(A) 1994年の関税及び貿易に関する一般協定(1994年のGATT)

1947年の関税及び貿易に関する一般協定

1947年の関税及び貿易に関する一般協定の下で効力を生じた法的文書

解釈了解

1994年の関税及び貿易に関する一般協定のマラケシュ議定書

譲許表


(B) 農業に関する協定

(C) 衛生植物検疫措置の適用に関する協定(通称 SPS協定)

(D) 繊維及び繊維製品(衣類を含む。)に関する協定(通称繊維協定、2004年末に終了)

(E) 貿易の技術的障害に関する協定(通称TBT協定)

(F) 貿易に関連する投資措置に関する協定(通称TRIMs協定)

(G) 1994年の関税及び貿易に関する一般協定第6条の実施に関する協定(通称アンチダンピング協定)

(H) 1994年の関税及び貿易に関する一般協定第7条の実施に関する協定(通称関税評価協定)

(I) 船積み前検査に関する協定

(J) 原産地規則に関する協定

(K) 輸入許可手続に関する協定

(L) 補助金及び相殺措置に関する協定

(M) 漁業補助金に関する協定(未発効)

(N) セーフガードに関する協定

(O) 貿易の円滑化に関する協定


附属書1B サービスの貿易に関する一般協定(略称GATS)

附属書1C 知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(通称TRIPS協定)


附属書2 紛争解決に係る規則及び手続に関する了解(通称紛争解決了解)

附属書3 貿易政策審査制度

附属書4 複数国間貿易協定

(A) 民間航空機貿易に関する協定

(B) 政府調達に関する協定


過去に附属書4の協定だったもの。失効にともないWTO協定第10条9に基づく一般理事会[注 11]の1997年12月10日決定[57]により附属書4から削除された。

(C) 国際酪農品協定(1997年末に終了)

(D) 国際牛肉協定(1997年末に終了)


WTO協定の改正
改正手続

WTO協定の改正については、協定第10条に規定されている。
改正案をすべての加盟国が受諾したときに発効するもの(第2項)。a. WTO協定第9条、第10条b. 1994年のガットの第1条及び第2条c. サービス貿易一般協定第2条1d. 貿易関連知的所有権協定第4条

改正案を加盟国の3分の2が受諾した時に当該改正を受諾した加盟国について効力を生じ、その後は、その他の各加盟国について、それぞれによる受諾の時に効力を生ずるもの(第3項、第5項)a. WTO協定(本体)又は附属書1A及び附属書1Cの多角的貿易協定の改正(1及び4に規定する規定の改正を除く。)であって、加盟国の権利及び義務を変更する性質のものb. サービス貿易一般協定の第一部から第三部までの規定及び同協定の各附属書

改正案を加盟国の3分の2が受諾した時にすべての加盟国について効力を生ずるもの(第4項、第5項)a. WTO協定(本体)又は附属書1A及び附属書1Cの多角的貿易協定の改正(1及び4に規定する規定の改正を除く。)であって、加盟国の権利及び義務を変更しない性質のものb. サービス貿易一般協定の第四部から第六部までの規定及び同協定の各附属書
[注 12]

閣僚会議が採択のみで、その後の正式な受諾の手続を要しない(第6項)TRIPS協定の改正であって同協定第71条2の要件を満たすもの

閣僚会議が承認した時にすべての加盟国について効力を生ずるもの(第8項)附属書第2及び第3

附属書第4の複数国間貿易協定の改正については、当該協定の定めるところによる(第10項)

改正状況

WTO発足以来、閣僚会議で採択[注 13]された協定の改正は次の4つであり、漁業補助金協定以外はいずれも発効している。
TRIPS協定の改正

開発途上国における公衆の健康の問題に対処するため、特許権者以外の者が感染症に関する医薬品を生産し、これら諸国に輸出することを可能とするよう、加盟国がこのような生産等を認めるための条件を緩和する規定(第31条の2)を追加する。

2005年12月6日に一般理事会で採択。

2017年1月23日に、受諾が改正発効に必要な全加盟国の3分の2を超え、同日改正が発効した
[58][59]

受諾国 - 110か国+EU(WTO加盟国中、未受諾31か国。2023年4月5日現在)[60](注) EUによるTRIPS協定改正の受諾は、EU及びその加盟国を拘束する。


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