以下、特に特記すべき場合以外、各協定における設置規定のみ掲げる。これらの委員会の構成は、次のとおりである。
構成員の規定が協定にないもの農業に関する委員会、衛生植物検疫措置に関する委員会
各加盟国の代表で構成貿易の技術的障害に関する委員会、ダンピング防止措置に関する委員会、関税評価に関する委員会、原産地規則に関する委員会、輸入許可に関する委員会、補助金及び相殺措置に関する委員会、漁業補助金に関する委員会
すべての加盟国に開放されているもの貿易に関連する投資措置に関する委員会、セーフガードに関する委員会、貿易円滑化に関する協定
各加盟国は、代表を出す権利を有すると規定されているもの関税評価に関する技術委員会、原産地規則に関する技術委員会
特別な構成繊維・繊維製品監視機関は、議長1名と10名の構成員で構成される。構成員は、物品の貿易に関する理事会によって指名される加盟国によって、任命され、個人の資格で任務を遂行する。
農業に関する委員会(Committee on Agriculture)農業に関する協定第17条。
衛生植物検疫措置に関する委員会(Committee on Sanitary and Phytosanitary Measures)衛生植物検疫措置の適用に関する協定第12条1。
繊維・繊維製品監視機関(「TMB」)(Textiles Monitoring Body (“TMB”))繊維及び繊維製品(衣類を含む。)に関する協定第8条1。繊維及び繊維製品(衣類を含む。)に関する協定が2005年1月1日に終了したことに伴い廃止。
貿易の技術的障害に関する委員会(Committee on Technical Barriers to Trade)貿易の技術的障害に関する協定第13条。
貿易に関連する投資措置に関する委員会(Committee on Trade-Related Investment Measures)貿易に関連する投資措置に関する協定第17条。
ダンピング防止措置に関する委員会(Committee on Anti-Dumping Practices)千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定第六条の実施に関する協定(アンチダンピング協定)第16条。
関税評価に関する委員会(Committee on Trade-Related Investment Measures)千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定第七条の実施に関する協定(関税評価協定)第18条1。
関税評価に関する技術委員会(Technical Committee on Customs Valuation)[注 5]千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定第七条の実施に関する協定(関税評価協定)第18条2。[注 6]
船積み前検査に関する協定(附属書一A)には、WTOの機関としての個別の委員会設置規定はない。第4条の規定により、船積み前検査の機関及び輸出者の紛争を解決するための独立の審査を運用するため、船積み前検査の機関を代表する団体(International Federation of Inspection Agencies (IFIA) 国際検査機関連盟)及び輸出者を代表する団体(International Chamber of Commerce (ICC)国際商工会議所)が共同で設置する独立の機関が設置されている[35]。
原産地規則に関する委員会(Committee on Rules of Origin)原産地規則に関する協定第4条1。
原産地規則に関する技術委員会(Technical Committee on Rules of Origin)[注 7]原産地規則に関する協定第4条2。協定第4部及び附属書1に定める技術的作業を実施する。[注 8]
輸入許可に関する委員会(Committee on Import Licensing)輸入許可手続に関する協定第4条。
補助金及び相殺措置に関する委員会(Committee on Subsidies and Countervailing Measures)補助金及び相殺措置に関する協定第24条1。
漁業補助金に関する委員会(Committee on Fisheries Subsidies)(協定発効時に設置)漁業補助金に関する協定第9条1。
セーフガードに関する委員会(Committee on Safeguards)セーフガードに関する協定第13条。附属書一Aの協定の委員会のなかでこの委員会のみ「物品の貿易に関する理事会の権限の下」(under the authority of the Council for Trade in Goods)と規定されている。
貿易の円滑化に関する委員会(Committee on Trade Facilitation)貿易円滑化に関する協定第23条1。
一般理事会の決定に基づく委員会
貿易と環境委員会(Committee on Trade and Environment)一般理事会の決定[36]により設置。貿易と環境に関する国際的な議論の中心的なフォーラムであり、「多国間環境協定に規定される貿易措置とWTOの下での多角的自由貿易体制との関係」等の項目についての検討を担当。
市場アクセス委員会(Committee on Market Access)一般理事会の決定[37]により設置。関税及び非関税措置に関する譲許の実施を監督(他のWTO機関の所管に属する場合を除く)。
地域貿易協定委員会(Committee on Regional Trade Agreements)一般理事会の決定[38]により設置。地域貿易協定(FTA,EPA)の審査を担当。
以上の機関の名称は、WTO協定に直接規定のあるものは、官報で公布されたWTO設立協定の条文に基づく
その他の機関
貿易交渉委員会「Trade Negotiations Committee」(一般に貿易交渉委員会と訳される。略称:TNC)は、ドーハ開発ラウンドの開始にあたって、ドーハ閣僚宣言において設置が決定された。TNCは一般理事会の下に置かれている。
加盟作業部会(Working Party on the Accession)[注 9]WTO加盟申請があった場合に設置される。加入審査を行い、加入議定書を作成する。部会のメンバーはなることを希望する加盟国である[注 10]。
附属書4の複数国間貿易協定に関する委員会 協定の原文は Director-General。1965年3月までは書記局長 (Executive Secretary)。ここではGATTからの歴代を表示する[39]。国名は出身国。 ロベルト・アゼベドは2020年8月末までに任期を1年残して辞任した。2020年5月に早期辞任すると発表した後、新事務局長の選任手続が開始され、現在8名が新事務局長に名乗りを上げている[40][41]。9月以降に候補者の絞り込みが行われ、新事務局長の選出までWTOの4人の副事務局長(DDG)のうちの1人は、事務局長代理となるが、4名のうち誰を事務局長代理にするか、加盟国の間でコンセンサスが得られなかったため、4つの副事務局長はすべて、新しい事務局長が就任するまで、引き続きそれぞれの担当の責任を果たすとされた[42]。 2020年9月18日、事務局長選出の第一段階の選考が行われ、メキシコのヘスス・セアデ、エジプトのアブドゥル・ハミード・マムドゥ、モルドバのトゥドル・ウリアノブスキの3人が候補から除外され、ナイジェリアのンゴジ・オコンジョ=イウェアラ、韓国の兪明希、ケニアのアミナ・モハメド、サウジアラビアのムハンマド・アル=トワイジリ、イギリスのリアム・フォックスの5人が第二段階に進出した[43]。第二段階の選考は9月24日から10月6日まで行われ、候補者の数を5人から2人まで絞り込まれる。最終段階の日程は、その後決定される[43]。 2020年10月8日、9月24日から10月6日まで行われていた事務局長選出の第二段階の選考結果が公表され、ナイジェリアのンゴジ・オコンジョ=イウェアラ、韓国の兪明希の2人が最終段階の選考に進出した[44]。これにより、WTO史上初めての女性事務局長が誕生することが確実となった[44]。最終段階の選考は、10月19日に始まり、10月27日まで行われる[44]。 2020年10月28日、最終段階の選考でオコンジョ=イウェアラが加盟国のコンセンサスが得られるもっとも高い候補者であると発表された[45]。これに対して米国が異議を唱えており[46]、11月9日の一般理事会で決着しない場合は、事務局長不在が長期化する可能性が指摘された[47]。WTOの事務局長選考規定[48]のパラ20は、コンセンサス方式による決定を行うことができない場合には、その時に決定される手続による最後の解決手段として投票に訴えることができるとしているものの、採決を行った場合の混乱を考慮すると採決を行うことが支持されない可能性もあり、米国大統領選後に決着を持ち越すと見られた[49]。
政府調達に関する委員会(Committee on Government Procurement)政府調達に関する協定の実施を所管。
民間航空機貿易に関する委員会(Committee on Government Procurement)民間航空機貿易に関する協定の実施を所管。
事務局長
エリック・ウィンダム・ホワイト(Eric Wyndham White)(英国) 1948年?1968年
オリビエ・ロング(Olivier Long)(スイス) 1968年?1980年
アーサー・ダンケル(Arthur Dunkel)(スイス) 1980年?1993年
ピーター・サザーランド(Peter Sutherland(アイルランド) 1993年?1995年
レナート・ルジェロ(Renato Ruggiero)(イタリア) 1995年?1999年
マイク・ムーア(Mike Moore)(ニュージーランド) 1999年?2002年
スパチャイ・パニチャパック(Supachai Panitchpakdi)(タイ) 2002年?2005年
パスカル・ラミー(Pascal Lamy)(フランス) 2005年?2013年
ロベルト・アゼベド(Roberto Azevedo)(ブラジル) 2013年?2020年
ンゴジ・オコンジョ・イウェアラ(Ngozi Okonjo-Iweala)(ナイジェリア) 2021年3月1日-2025年
2020-21年の事務局長選考