世界貿易機関
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

当初、総会を開催する予定であったカザフスタンと共催とされ、議長もカザフスタンが務めた[19]。閣僚会議は、過剰な食料輸出制限の抑制や、乱獲につながる漁業補助金の規制で合意し、17日に閣僚宣言を含む「ジュネーブ・パッケージ」を採択した[18][20]。なお、日本はこの会議に閣僚を派遣せず、細田経済産業副大臣、武部農林水産副大臣、三宅外務大臣政務官が出席するにとどまった[21]

2022年12月19日の一般理事会は、アラブ首長国連邦及びカメルーンの閣僚会議の開催を承認した。第13回閣僚会議は、2024年2月24日の週にアラブ首長国連邦のアブダビにおいて、第14回閣僚会議は、今後決定される日程によりカメルーンにおいて開催される[22]

第13回閣僚会議は、2024年2月26日から3月1日までアラブ首長国連邦のアブダビにおいて開催された。当初の予定では2月26日までであったが、3月1日まで延長され[23]更に最終的な合意は3月2日となった[18]。閣僚会議は、1998年以降、WTOにおいて継続して延長されてきた、電子的送信に対する関税不賦課モラトリアムについても、第13回閣僚会議まで延長することを決定し、アブダビ閣僚宣言を採択した[24]

その他の課題については、
紛争解決制度改革については、2024年までに全ての加盟国が利用できる完全なかつよく機能する紛争解決制度の実現を目的として、議論を加速することに一致[25]

農業分野の今後の作業計画や漁業補助金のルールについて合意には至らず、議論が継続[26]

投資円滑化に資する投資措置の透明性、投資手続の簡素化等を規定する開発のための投資円滑化協定を世界貿易機関協定付属書4の複数国間協定にすることについて、インド及び南アフリカの反対[27]のため決定にいたらず、交渉参加国・地域の閣僚及び関連国際機関が参加し、投資円滑化協定の交渉終了を宣言し、協定文を公表する旨の閣僚宣言が発出されるにとどまった。

なお、日本はこの会議に閣僚を派遣せず、辻?清人外務副大臣、武村展英農林水産副大臣及び上月良祐経済産業副大臣が出席するにとどまった[25]。更に、辻?清人外務副大臣は、会議2日目の27日に、アラブ首長国連邦を離れており[28]、上月経済産業副大臣も、2月26日(月曜日)から29日(木曜日)まで第13回WTO閣僚会議に出席と発表されている[29]
一般理事会

一般理事会(General Council)は、WTOのすべての加盟国の代表によって構成される[注 1]組織で、閣僚会議と並列して存在する実務組織であり、閣僚会議の会合から会合の間、閣僚会議の任務を遂行する(WTO設立協定第4条2)。この下に各種組織が存在する。

紛争解決機関(Dispute Settlement Body、DSB)                                                  WTO設立協定附属書二(紛争解決に係る規則及び手続に関する了解)第2条1に「この了解に定める規則及び手続並びに対象協定の協議及び紛争解決に関する規定を運用するため、この了解により紛争解決機関を設置する。」と規定されている。加盟国・地域同士の貿易上の紛争を解決するための準司法的な制度。[30]WTO設立協定第4条3では「一般理事会は、紛争解決了解に定める紛争解決機関としての任務を遂行するため、適当な場合に会合する。」と規定されており、一般理がDSBとしての機能を果たすこととなっている。「紛争解決委員会」とも呼ばれる。附属書二は、さらに以下の2機関の設置を定めている。

小委員会(Panel) - 第6条で規定。「パネル」とも呼ばれる。紛争事件についての実質的な判断を行う(ただし、WTO協定上は、勧告又は裁定はDSB自体が行うとされている)。紛争事件の都度、3名(紛争当事国が合意する場合は5名)の委員が選出される(第8条5)。

上級委員会(Appellate Body) - 第17条で規定。小委員会の上級審にあたる。7名の委員で構成されるが、事案の処理は事案毎に指定された3名で行う。任期は4年で1回に限り再任できる。
裁判の原告に当たる国・地域と、被告に当たる国・地域による協議で解決せずに小委員会(パネル)が設置されると、国際通商法の専門家らが「裁判官」となり審理を行う。「二審制」となっており、パネルの法律判断に異議がある場合は、上級委員会に上訴できる。パネル設置からパネル又は上級委員会の報告の採択までの平均期間は19ヶ月(最短7ヶ月、最長74ヶ月)である[31]


貿易政策検討機関(Trade Policy Review Body、TPRB)WTO設立協定附属書書三(貿易政策検討制度)C(i)において「貿易政策に関する検討を実施するため、貿易政策検討機関を設置する。」と規定されている。WTO設立協定第4条4では「一般理事会は、貿易政策検討制度に定める貿易政策検討機関としての任務を遂行するため、適当な場合に会合する。」とされており、一般理がTPRBとしての機能を果たすこととなっている。「貿易政策検討委員会」とも呼ばれる。

WTO設立協定第4条5に基づく理事会

WTO設立協定第4条5[注 2]に基づく理事会。これらの理事会の構成員の地位は、すべての加盟国の代表に開放されている[注 3]

物品の貿易に関する理事会(Council for Trade in Goods)物品の貿易に関する多角的協定(附属書一A)の実施を所管。「物品理事会」と略称される。

サービスの貿易に関する理事会(Council for Trade in Services)サービスの貿易に関する一般協定(GATS、附属書一B)の実施を所管。「サービス理事会」と略称される。

知的所有権の貿易関連の側面に関する理事会(Council for Trade-Related Aspects of Intellectual Property Rights)知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定、附属書一C)の実施を所管。「TRIPS理事会」と略称される。

WTO設立協定第4条7に基づく委員会

WTO設立協定第4条7[注 4]に基づく委員会。さらに一般理事会の決定を経て設置されている。これらの委員会の構成員の地位は、すべての加盟国の代表に開放されている。

貿易及び開発に関する委員会(Committee on Trade and Development)一般理事会の決定[32]により設置。開発途上国の経済発展と貿易との関連等の項目についての検討を担当。

国際収支上の目的のための制限に関する委員会(Committee on Balance-of-Payments Restrictions)一般理事会の決定[33]により設置。

予算、財政及び運営に関する委員会(Committee on Budget, Finance and Administration)一般理事会の決定[34]により設置。

WTO協定附属書一Aの協定の実施を所管する委員会

以下、特に特記すべき場合以外、各協定における設置規定のみ掲げる。これらの委員会の構成は、次のとおりである。
構成員の規定が協定にないもの農業に関する委員会、衛生植物検疫措置に関する委員会

各加盟国の代表で構成貿易の技術的障害に関する委員会、ダンピング防止措置に関する委員会、関税評価に関する委員会、原産地規則に関する委員会、輸入許可に関する委員会、補助金及び相殺措置に関する委員会、漁業補助金に関する委員会

すべての加盟国に開放されているもの貿易に関連する投資措置に関する委員会、セーフガードに関する委員会、貿易円滑化に関する協定

各加盟国は、代表を出す権利を有すると規定されているもの関税評価に関する技術委員会、原産地規則に関する技術委員会

特別な構成繊維・繊維製品監視機関は、議長1名と10名の構成員で構成される。構成員は、物品の貿易に関する理事会によって指名される加盟国によって、任命され、個人の資格で任務を遂行する。


農業に関する委員会(Committee on Agriculture)農業に関する協定第17条。

衛生植物検疫措置に関する委員会(Committee on Sanitary and Phytosanitary Measures)衛生植物検疫措置の適用に関する協定第12条1。

繊維・繊維製品監視機関(「TMB」)(Textiles Monitoring Body (“TMB”))繊維及び繊維製品(衣類を含む。)に関する協定第8条1。繊維及び繊維製品(衣類を含む。)に関する協定が2005年1月1日に終了したことに伴い廃止。

貿易の技術的障害に関する委員会(Committee on Technical Barriers to Trade)貿易の技術的障害に関する協定第13条。

貿易に関連する投資措置に関する委員会(Committee on Trade-Related Investment Measures)貿易に関連する投資措置に関する協定第17条。

ダンピング防止措置に関する委員会(Committee on Anti-Dumping Practices)千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定第六条の実施に関する協定(アンチダンピング協定)第16条。

関税評価に関する委員会(Committee on Trade-Related Investment Measures)千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定第七条の実施に関する協定(関税評価協定)第18条1。

関税評価に関する技術委員会(Technical Committee on Customs Valuation)[注 5]千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定第七条の実施に関する協定(関税評価協定)第18条2。[注 6]

船積み前検査に関する協定(附属書一A)には、WTOの機関としての個別の委員会設置規定はない。第4条の規定により、船積み前検査の機関及び輸出者の紛争を解決するための独立の審査を運用するため、船積み前検査の機関を代表する団体(International Federation of Inspection Agencies (IFIA) 国際検査機関連盟)及び輸出者を代表する団体(International Chamber of Commerce (ICC)国際商工会議所)が共同で設置する独立の機関が設置されている[35]

原産地規則に関する委員会(Committee on Rules of Origin)原産地規則に関する協定第4条1。

原産地規則に関する技術委員会(Technical Committee on Rules of Origin)[注 7]原産地規則に関する協定第4条2。協定第4部及び附属書1に定める技術的作業を実施する。[注 8]

輸入許可に関する委員会(Committee on Import Licensing)輸入許可手続に関する協定第4条。

補助金及び相殺措置に関する委員会(Committee on Subsidies and Countervailing Measures)補助金及び相殺措置に関する協定第24条1。

漁業補助金に関する委員会(Committee on Fisheries Subsidies)(協定発効時に設置)漁業補助金に関する協定第9条1。

セーフガードに関する委員会(Committee on Safeguards)セーフガードに関する協定第13条。附属書一Aの協定の委員会のなかでこの委員会のみ「物品の貿易に関する理事会の権限の下」(under the authority of the Council for Trade in Goods)と規定されている。

貿易の円滑化に関する委員会(Committee on Trade Facilitation)貿易円滑化に関する協定第23条1。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:177 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef