不眠
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不眠症の治療を決定する前に、医学的、心理学的な原因を特定したり除外することが重要である[10][58][14]。不眠症への初回の治療アプローチには、不眠症に対する認知行動療法(CBT-I)が推奨され、それが利用できない場合はその他の非薬物療法が第一に推奨される[58]。認知行動療法(CBT)は、慢性の不眠症の短期治療として医薬品と同様の有効性があり、薬とは異なり、治療を終えても有益な効果があることが分かっている[25]

薬理学的な治療は急性の不眠症における症状を減少させるために主に用いられてきた;慢性の不眠症の管理における役割は不明である[9]。いくつかの異なる種類の医薬品は不眠症の治療に効果的であるが、多くの医師は処方睡眠薬の長期的な使用を推奨しない。うつ病、呼吸の問題、慢性的な痛みのような不眠症の原因となることがある他の医学的な状態を特定し治療することが重要である(「うつ病#治療」なども参照)[59]。不眠と精神疾患とが併存する場合、治療はその双方を標的にする必要がある(「精神疾患#治療」も参照)[60]

睡眠薬の処方は、第一に非薬物療法を行い、それが効果を示さない場合の最終手段である[10][58][19][21]。また睡眠薬を処方されていても、非薬物療法は6-8週間は続けなければならない[58]。これらの治療セットが効果を示した場合には、非薬物療法を続けながら、睡眠薬は徐々に減薬することができるであろう[58]。非薬物療法を平行して行わず、単独の薬物療法を長期間行うことは最適な治療戦略ではない[58]

小児・青年期では、自閉症スペクトラム障害に対するメラトニンの使用を除いて、ほかの障害また、ほかの薬物の有効性と忍容性についての証拠はほとんどなく、このため非薬物療法が優先される[61]
非薬物療法昼寝をやめる夜間の明るすぎる環境(光害

非薬理学的な手法は、睡眠薬に比較しても同様の効果があり、また継続的な効果がある。睡眠薬は、短期的な使用にだけ推奨されており、中止時の反跳性離脱作用を伴う依存症耐性の形成となるためである[62]

非薬理学的な手法は、一次選択として、また不眠症の管理における長期的な方法として推奨されており長期的な改善をもたらす。そのような手法には、睡眠衛生への注意、刺激制御(英語版)、行動的な介入、睡眠制限療法、患者教育リラクゼーション法がある[63]。脳に流れる血液の温度を下げると、脳の代謝速度を下げることで不眠症を軽減する[64]。いくつかの例では、睡眠日誌をつけたり、ベッドで起きたまま費やす時間を制限したり、リラクゼーション法の実施や、規則的な睡眠習慣と起床時間の維持である[10][59]。行動療法は睡眠の質と統合を改善するために新しい睡眠行動を促すよう患者を支援することができ、それには睡眠時のリラックスのための健康的な睡眠習慣の学習や、光療法によって体内時計を規則化させたり心配軽減法を併用するといったものがある[59]。システマティックレビューはアロマテラピーが睡眠の質を改善することを見出している[65]

脳波フィードバックは、不眠症の睡眠時間の改善と、睡眠の質にも有効性を実証している[66]

刺激制御法はベッドや睡眠一般に関連した患者の否定的な反応に対する治療である。刺激制御法はよく睡眠衛生の考えと交互に用いられ、睡眠環境の管理の手順を含んでいる。このような環境改善には以下のようなものがあり、ベッドを睡眠とセックスにのみ用い、読書やテレビを見るといった活動には用いない。また、週末においても毎朝同じ時間に起きる。また眠気が生じてきて眠れそうな時にのみベッドに行く。またベッドに入ってから合理的な時間(-20分)で睡眠にならないなら、ベッドを離れて他の場所で活動する。そして、眠りに落ちるための主観的な試みと労力を減少させる。また夜間の明るい光への暴露を避け、そして昼寝をなくす[67][58]

昼間に運動[注 2]をすると夜に寝つきが良くなることがある。


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