不正競争防止法
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2001年に一部が改正され(平成13年法律第81号)、ドメイン名の不正取得や利用などの形態が不正競争行為に追加されることになった[4][5]
平成15年度改正(第4次改正)

2003年に一部が改正され、定義の一部がより弾力的に規定されると共に、営業秘密の刑事的保護の強化が図られることになった[6][7]
平成16年度改正(第5次改正)

2004年に一部が改正され、外国公務員贈賄罪に対する日本国籍国外犯処罰が導入された[8][9]
平成16年度改正

知的財産高等裁判所の設置計画に伴い、2004年裁判所法が改正され法律上の「工業所有権」の文言が「知的財産」と改められると同時に、裁判所の命令に意匠法商標法特許法実用新案法著作権法に関する営業秘密に対する秘密保持命令が加えられたことに伴う改正(裁判所法等の一部を改正する法律(平成16年法律第120号)8条による改正)。
平成17年度改正

2005年に一部が改正され、営業秘密の刑事的保護を強化し(主に情報窃盗に関する規定などが追加された)、模倣品・海賊版商品の販売、輸入等に刑事罰を科するなど、保護強化が図られることになった[10][11]
平成18年度改正

営業秘密、秘密保持命令違反罪の罰則強化[12]
平成21年度改正(第6次改正)

営業秘密侵害罪における処罰対象範囲の拡大等[13]
平成23年度改正(第7次改正)

マジコンに関する刑事罰導入、刑事訴訟手続の措置等[14]
平成27年度改正(第8次改正)

ポスコSKハイニックスによる度重なる機密漏洩事件を受け、不正競争防止法の改正案が第189回国会に提出された[15]。法案は、2015年6月11日に、衆議院で可決、2015年7月3日参議院で可決、成立[16]。2015年7月10日に公布[17]。2016年1月1日から施行(平成27年10月15日政令第362号)。

技術上の営業秘密侵害品の譲渡・輸出入等が、不正競争の類型として追加された。

罰金額の大幅引き上げ、いわゆる三次取得者以降の者、営業秘密の侵害の未遂、国外での営業秘密の取得も処罰対象に含め、犯罪で得た収益の没収などを厳罰化

改正前は、罰金上限が個人で1,000万円、法人で3億円だったが、個人で2,000万円、法人は5億円とし、海外企業への漏洩は3,000万円、10億円にそれぞれ改定[16][18]

不正競争防止法による営業秘密侵害罪の摘発は、被害者側が告訴する親告罪だったが、非親告罪に変更された[16][18]

親告罪の場合、刑事告訴の難易度から、被害者が泣き寝入りするケースも多く、不正競争防止法違反の犯罪行為の悪質化・件数の急増を背景に、犯罪抑止の観点から、非親告罪へと踏み切る要因となった[19][20][21]

民事訴訟における、原告による技術上の営業秘密の使用の挙証責任は、被告に転換された[16]。また、営業秘密に係る不正競争行為の差止めの除斥期間が延長。
平成30年度改正(第9次改正)

データの利活用を促進するための環境を整備するため、ID・パスワードにより管理しつつ、相手方を限定して提供するデータを不正取得等する行為を、新たに不正競争行為に位置づけ、これに対する差止請求権等の民事上の救済措置を設ける(施行日 令和元年7月1日)。限定提供データについては、営業秘密と同様に不正入手、不正使用及び不正開示について問われるが、営業秘密と異なって刑罰は規定されていない。

さらに、技術的制限手段を回避するサービスの提供等を不正競争行為に位置づけるなど、技術的制限手段に係る不正競争行為の対象を拡大(施行日 平成30年11月29日)[22]
不正競争の類型

第二条に定義される「不正競争」は、たとえば以下のように類型化される。以下で『商品等表示』とは、人の業務に係る氏名・商号・商標・標章・商品の容器もしくは包装・営業表示等のことを言う。また、『特定商品等表示』とは、人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は役務(サービス)を表示するものをいう。『商品等表示を使用』には、商品等表示を直接使用する行為のほか、その商品等表示を使用した商品の譲渡・引き渡し・譲渡や引き渡しのための展示・輸出・輸入・電気通信回線を通じた提供を含む。

類型形態例
周知表示混同惹起行為(第1号)需要者の間に広く認識されている他人の商品等表示と同一または類似の商品等表示を使用し、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為「カニ道楽」と「動くカニ看板」、「札幌ラーメンどさん子」と「文字及び北海道の図形を利用した看板」、「McDonald's」と「マック」など
著名表示冒用行為(第2号)他人の著名な商品等表示と同一または類似のものを自己の商品等表示として使用する行為。ただ乗り(フリーライド)、希釈化(ダイリューション)、汚染(ポリューション)がある。雑誌「VOGUE」の名称を使い、大衆向けのベルト・バッグ等のファッション関連商品を扱った例、「シャネル」の名称で飲食店を経営した行為など
商品形態模倣行為(第3号)最初に販売された日から3年以内の他人の商品の形態を模倣した商品の譲渡・貸し渡し・譲渡や貸渡しのための展示・輸出・輸入を行う行為。デッド・コピー。形態の模倣には、同種の商品(または機能及び効用が同一又は類似の商品)が通常有する形態は含まれない。先行商品のマイナスイオンブラシの形態を真似て商品を製造販売した行為など
営業秘密(第4?10号)「営業秘密」(企業の内部において、秘密として管理されている(秘匿性)製造技術上のノウハウ、顧客リスト、販売マニュアル等の有用な情報(有用性)であって、公然と知られていない(非公知性)もの)を、

不正な手段で入手する行為、または不正な手段で入手した情報を自ら使用または開示する行為(4号)

4号で取得された情報を第三者が取得し、第三者が使用または開示する行為(最初から知っていた場合は5号、後から知った場合は6号)

保有者から正当に取得した情報を、不正の利益を得る目的、損害を与える目的で自ら使用または開示する行為(7号)

7号で取得された情報を第三者が使用または開示する行為(最初から知っていた場合は8号、後から知った場合は9号)

知らずまたは重過失ではない過失によって、知らずに4?9号までに掲げる行為(営業秘密のうち、技術上の情報であるものを使用する行為に限る)により生じた物を譲渡し、引き渡し、譲渡もしくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、または電気通信回線を通じて提供する行為(10号)
会社の秘密管理された顧客名簿を複写して持ち出して、独立・転職・転売した場合や、不正に入手されたライバル会社の営業情報や顧客リストなどを取得した場合の他、ソフトウェア受託開発企業が、顧客から預かった情報を、自ら使用したり、第三者へ開示する場合
限定提供データ(第11?16号)「限定提供データ」(業として特定の者に提供する(限定提供性)情報として電磁的方法により相当量蓄積され(相当蓄積性)、及び管理されている(電磁的管理性)技術上または営業上の情報)を、

不正な手段で入手する行為、または不正な手段で入手した情報を自ら使用または開示する行為(11号)

11号で取得された情報を第三者が取得し、第三者が使用または開示する行為(最初から知っていた場合は12号、後から知った場合は13号)

保有者から正当に取得した情報を、不正の利益を得る目的、損害を与える目的で自ら使用または開示する行為(14号)

14号で取得された情報を第三者が使用または開示する行為(最初から知っていた場合は15号、後から知った場合は16号)

技術的制限手段に対する不正競争行為(第17・18号)デジタルコンテンツのコピー管理技術やアクセス管理技術を無効にすることを目的とする機器やプログラムを提供する行為CDに納められたゲームソフトのコピープロテクト信号を無効化してコピーされたものを利用可能にする「チップ」を提供する行為

コピープロテクト信号が記録された地上・衛星放送、CD・DVD・BDやインターネット上のストリーミング配信および音楽・映像ダウンロードサービスのプロテクトを解除する機器・ソフトウエアを提供する行為
不正にドメインを使用する行為(第19号)不正の利益を得る目的または他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示と同一または類似のドメイン名を使用する権利を取得・保有し、又はそのドメイン名を使用する行為大手サイトと類似する紛らわしい名称で、類似のサイトを開設する行為
原産地等誤認惹起行為(第20号)商品・役務(サービス)やその広告・取引用の書類・通信に、その商品の原産地・品質・内容・製造方法・用途・数量や、役務の質・内容・用途・数量について誤認させるような表示を使用したり、その表示をして役務を提供する行為国産洋服生地に「マンチェスター」と押捺した行為、「MADE IN KOREA」の表示を外して服を販売した行為、「みりん風調味料」を「本みりん」のように紛らわしい表示をして商品を販売した行為等
競争者営業誹謗行為(第21号)自己と何らかの競争関係にある他人の営業上の信用を害するような虚偽の事実を他人に告げたり流布したりする行為ライバル会社の商品が特許侵害品であると虚偽の事実を流布し、営業誹謗を行った行為
代理人等商標無断使用行為(第22号)外国(条約で保護された国)における商標について、商標権者の承諾無しに、その代理人がその商標と同一または類似する商標を同種の商品、役務に使用し、その商品の譲渡若しくは輸入等を行い、その類似商標を使用して役務を提供する行為外国製品の輸入代理店が、その外国メーカーの許諾を得ずに勝手にその商標を類似の商品に使用するような行為


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