不当景品類及び不当表示防止法
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内容物誤認とは、産地を誤認させるような表示、その他内容物を誤認させるような文字、絵、写真その他の表示を指す。
一方、景品表示法の優良誤認は、食品に限らず、すべての商品・サービスが対象である。
有利誤認(5条2号)

商品・サービスの価格が、事実と相違して、
実際よりも有利である(安い)と誤認させる

他社の商品・サービスよりも有利である(安い)と誤認させる

ことを規制する。

例:

チラシで「通常価格3000円を1500円」と表示していたが、過去に3000円で販売したことがなかった。(
二重価格表示) 注)定価・小売希望価格のない商品

通販商品で「会員になるとお得」と表示していたが、5個以上購入の場合という条件を表示していなかった。

外貨預金で「大型利息」と表示していたが、手数料がかかることを表示していなかった。


不実証広告規制(7条2項、8条3項)

従来、表示が優良誤認にあたるかどうかは、消費者庁(2009年8月以前は公正取引委員会)が調査して実証しなければならず、判断がくだされるまでに時間がかかっていた。表示に対する消費者意識の高まりを受け、立証責任を事業者に課したのが、2003年11月23日に施行された不実証広告規制である。

不実証広告規制のもとでは、表示が優良誤認にあたらないことを事業者が立証しなければならない。具体的には、消費者庁は事業者に対し、表示の「合理的な根拠」となる資料の提出を求めることができる。事業者は資料を15日以内に提出しなければならない。15日以内に提出しない場合、または提出された資料に合理的な根拠がないとされた場合は、不当表示と見なされる。

公正取引委員会は運用の透明性と事業者の予見可能性を確保するため、「不当景品類及び不当表示防止法第7条第2項の運用指針」(不実証広告ガイドライン)を公表(2003年11月23日)した。それによると、「合理的な根拠」の判断基準は次の2点となっている。
提出資料が客観的に実証された内容のものであること。

表示された効果、性能と提出資料によって実証された内容が適切に対応していること。


例:

ダイエット食品による体重減少の体験談が事実に基づいていない。

害虫駆除機に表示されている電磁波の効果に根拠となるデータがない。


打ち消し表示

商品・サービスの表示において、強調表示(文字を大きく目立たせた表示)の例外を示したものを打ち消し表示という。打ち消し表示は、注意書きとして、強調表示よりも目立たないように表示されることが多い。

例:

清涼飲料水の表示で「
ミネラル補給」と表示し、「この商品でのミネラルとは、カリウムリンマンガンのことです」と打ち消し表示。

携帯電話の広告で「通話料0円」と表示し、「午後9時から午前1時までは通話料がかかります」と打ち消し表示。

結婚紹介所の広告で「成婚数1万件」と表示し、「会員外成婚を含む」と打ち消し表示。

不動産(マンションなど)の広告で「東京駅まで電車で1時間」と表示し、「乗換え時間を含みません」と打ち消し表示。

打ち消し表示は消費者に見やすく、わかりやすくなければならない。公正取引委員会は2008年6月13日に、次のとおり、打ち消し表示の考え方を示した。
打消し表示を行わずに済むように訴求対象を明確にするなど強調表示の方法を工夫することが原則

やむを得ず、打消し表示が必要な場合には、強調表示に近接した箇所、強調表示の文字の大きさとのバランス、消費者が手に取って見る表示物の場合、表示スペースが小さくても、最低でも8ポイント以上の文字、十分な文字間余白、行間余白、背景の色との対照性の点に留意

比較広告詳細は「比較広告」を参照

景品表示法は、事業者による商品・サービスの比較そのものは禁止していない。公正取引委員会は「比較広告に関する景品表示法上の考え方」(比較広告ガイドライン)を公表(1987年4月21日)している。それによると、「適正な比較広告の要件」として、次の3点を満たすこととしている。
比較広告で主張する内容が客観的に実証されていること

実証されている数値や事実を正確かつ適正に引用すること

比較の方法が公正であること

ただし、日本では商慣習として、比較広告は消費者の理解を得られにくいとされ、見かけることは少ない(例外が、1992年の「ペプシチャレンジ」、1990年前後の当時設立されて間もない後発電話会社(いわゆる新電電)の広告で、ある地域にかける電話料金について、NTTの料金と比較した優位性をアピールするものや、2006年頃にAppleが行ったMacWindowsとの「Get a Mac」比較広告)。
措置命令(7条1項)

内閣総理大臣は、第四条の規定による制限若しくは禁止又は第五条の規定に違反する行為があるときは、当該事業者に対し、その行為の差止め若しくはその行為が再び行われることを防止するために必要な事項又はこれらの実施に関連する公示その他必要な事項を命ずることができる。その命令は、当該違反行為が既になくなつている場合においてもすることができる。

措置命令を行う権限は、景品表示法第33条第1項の規定により消費者庁長官に委任されている。
公正競争規約(31条)

景品表示法では、不当な表示と過大な景品類を防止するため、商品・サービスの業界ごとに自主ルールを定めることができるとしている。この業界自主規制のルールが公正競争規約であり、2009年9月現在、表示67件、景品類41件が定められている(公正競争規約一覧は外部リンクを参照)。

表示規約では、どのような表示が不当(虚偽・誇大)な表示にあたるのか、業界ごとに判断基準が定められている。

例:

果実飲料の表示において、果実のスライス・しずくのイラストは、ジュース(果汁100 %のもの)のみに表示できること[6]

不動産広告の徒歩による所要時間は、80 mにつき1分の換算で表示すること[7]

食品表示ではJAS法でも同様に、「品質表示基準」がカテゴリーごとに定められている(品質表示基準一覧は外部リンクを参照)。公正競争規約と品質表示基準は内容が重複するものもあれば、一方にしか定められていないものもあり、事業者にとってわかりにくいものになっているとの意見がある。消費者庁での議論のなかで、公正競争規約と品質表示基準の統合が検討される可能性もある。
行政措置の手順と件数

消費者庁は、消費者からの申告などを受けて、不当な表示や過大な景品類のおそれのあるときは、調査をする。事業者には、弁明、資料提出などの機会が与えられる。

違反がある場合は「措置命令」(2009年8月以前は「排除命令」)、違反のおそれがある場合は「指導」の措置がとられる。一般からの申告・職権による探知等→調査→弁明の機会の付与→措置命令・警告・注意→(不服申立て・訴訟)→ 確定

例えば、薬事法と食品表示・食品広告の規制は、都道府県の薬事規制担当部署と警察が行う。


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