2023年の改正で強制わいせつ罪が不同意わいせつ罪に改正されたが、構成要件のわいせつな行為の部分は改正がないので、上記の議論は改正後も変更はないと考えられる。 「暴行・脅迫」、「アルコールや薬物を摂取させる」「経済的・社会的地位に基づく影響力によって不利益を心配させる」など8つの行為によって、困難な状態にさせ若しくはその状態にあることに乗じてわいせつな行為をしたした者は、6ヶ月以上10年以下の懲役に処する。 状況にかかわらず16歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も同様とする(刑法第176条)。 未遂はこれを罰する(刑法第180条)。 2023年の改正で従前の準強制わいせつ罪が不同意わいせつ罪に統合された。 18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第176条の例による(刑法第179条1項)。 未遂はこれを罰する(刑法第180条)。 2017年(平成29年)7月13日施行改正刑法により新設。立法趣旨については「不同意性交等罪」を参照のこと。 不同意わいせつ若しくは監護者わいせつ罪又はそれらの未遂罪を犯し、よって人を死傷させる罪で、不同意わいせつ罪の結果的加重犯である(刑法第181条1項)。法定刑は無期又は3年以上の懲役である。 2023年改正前では、「強制わいせつ罪」として、13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者、また13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者を6ヶ月以上10年以下の懲役に処すると規定していた(刑法旧第176条)。 さらに「準強制わいせつ罪」として、人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、強制わいせつ罪と同様の法定刑を適用する規定していた(刑法旧第178条1項)。いずれも未遂処罰規定あり(刑法第180条)。 2023年改正により両罪とも「不同意わいせつ罪」へ移行した。 また上記2つの罪、監護者わいせつ罪のいずれかの罪またはそれらの未遂罪を犯し、よって人を死傷させた場合は、無期又は3年以上の懲役に処するという結果的加重犯が規定されていた(刑法旧第181条1項、「強制わいせつ致死傷罪」、「準強制わいせつ致死傷罪」「監護者わいせつ致死傷罪」)。 2023年改正により、強制わいせつ致死傷罪、準強制わいせつ致死傷罪については、不同意わいせつ致死傷罪へ移行した。
犯罪類型
不同意わいせつ罪
監護者わいせつ罪
不同意わいせつ致死傷罪、監護者わいせつ致死傷罪
過去の類型
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 「強制性交等罪」は、「強姦罪」を平成29年に構成要件を拡大し改正されたものであり、改正前、強姦罪を構成する行為は「姦淫」とされ、結果、強姦罪の客体は女性に限られるのに対して、強制わいせつ罪の客体は性別の制限はないと解されていた。
^ 強姦罪を強制わいせつ罪の特別法と見る、あるいは姦淫は本来わいせつ行為にあたるが、177条があるので176条のわいせつ行為からは除かれるとするものとして古くは、牧野英一『重訂日本刑法下巻各論』(1934年)230頁、滝川幸辰『刑法各論』(1938年)77頁、小野清一カ『新訂刑法講義各論第3版』(1950年)139頁、柏木千秋『刑法各論』(1965年)312頁、佐伯千仭『刑法各論〔訂正版〕』(1981年)71頁、福田平『全訂刑法各論〔第3版増補版〕』(2002年)183頁。最近では、中森喜彦『刑法各論 第4版』(2015年)67頁、山中敬一『刑法各論第3版』(2015年)146頁、井田良『講義刑法学各論』(2016年)106頁。[3]
出典^ 西田典之 『刑法各論』 弘文堂(1999年)84頁
^ 林幹人 『刑法各論 第二版』 東京大学出版会(1999年)91頁
^ 葛原力三「性刑法の改正について
^ 団藤重光 『刑法綱要各論 第三版』 創文社(1990年)490頁
関連項目
性犯罪
わいせつ、強制性交等及び重婚の罪
痴漢
接吻
合意
関連法令
心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(医療観察法)
迷惑防止条例
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