不動産登記
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登記事項としては、登記年月日等のほか(27条)、土地の場合は「土地の所在」「地番」「地目」「地積」に関して登記がなされ(法34条)、建物の場合には「建物の所在」「家屋番号」「種類」「構造」「床面積」などが登記されている(法44条)[4]

表示に関する登記には、次のようなものがある。

表題登記[4]
当該不動産について、表題部に最初にされる登記をいう(法2条20号)。建物を新築した場合、登記が存在しないので、所有権保存登記の前提として建物の表題登記の申請がされることになる(法47条)。埋立て等によって新たに土地が生じた場合にも土地の表題登記がされる(法36条)。いずれも所有権の取得の日から1か月以内に登記の申請をしなければならない。

変更の登記[4]
登記事項に変更があった場合にされる登記をいう(法2条15号)。土地の地目・地積に変更があったとき、建物の種類・構造・床面積等に変更があったときは、変更の登記がされる(法37条、法51条)。いずれも当該変更があった日から1か月以内に登記の申請をしなければならない。

更正の登記[4]
登記事項に「錯誤又は遺漏」があった場合に、当該登記事項を訂正する登記をいう(法2条16号)。変更登記が、登記事項が事後的に変動した場合に行われるのに対し、登記事項が当初から誤っていた場合に行われる点で異なる。土地の地目・地積等が誤っていたとき、建物の種類・構造・床面積等が誤っていたときは、更正登記がされる(法38条、法53条)。

滅失の登記[4]
土地又は建物が滅失したときにされる登記をいう(法42条、法57条)。いずれも滅失した日から1か月以内に登記の申請をしなければならない。

分筆の登記・合筆の登記[4]
土地を分筆・合筆するために行われる登記である(法39条)。土地の分筆・合筆は所有者の意思に基づいて行われるものであるから、表題部所有者または登記名義人のみが申請でき、原則として登記官が職権によって登記することはできない。地目が相互に異なる土地や、相互に持分を異にする土地について合筆の登記を申請することはできない。

建物の合体による登記等(法49条)[4]
数戸の建物が、工事等をして構造上一個の建物となった時に行う登記で、合体から1か月以内に、合体後の建物についての建物の表題登記及び合体前の建物についての建物の表題部の登記の抹消を申請をしなければならない。両者をあわせて「合体による登記等」と称する。

建物の分割の登記・建物の区分の登記・建物の合併の登記(法54条1項1号ないし3号)[4]

建物の分割とは、附属の建物として登記されている建物を新たな登記記録に記録することをいう(法54条1項1号)。

建物の区分とは、一棟の建物の内部に数個の区分建物としての要件を満たす建物があるときに、それぞれを区分建物の登記記録に記録する登記をいう(法54条1項2号)。一般には、賃貸用のマンションを、分譲用のマンションに登記したいときに行う。

建物の合併とは、主たる建物とその附属の建物の関係にある登記記録上別の建物にあるものを1つの登記記録に記録することをいう(法54条1項3号)。建物の合体とは違い建物の現状に変更がないものについて、登記上ひとつにまとめるものである。ただし建物の所有者が異なる場合や、所有権登記のある建物と所有権登記がない建物の合併など、一定の条件下では合併の登記をすることができない(法56条各号)。

これらは、所有者の意思によって登記される。

区分建物について区分所有法第22条の定めにより敷地利用権と専有部分の権利との分離処分が禁止される旨の登記については、「敷地権」として建物の表示に関する登記の一部事項としてなされる(法44条9号)。

権利に関する登記

権利に関する登記は、不動産についての権利の保存、設定、移転、変更、処分の制限又は消滅を公示するための登記である(法2条4号、法3条)[4]。権利に関する登記は第三者対抗要件である(民法177条)。不動産についての権利の優先関係が問題となるときは、登記の有無、先後が基準となる。一般に登記といえば、権利に関する登記のことをいうことが多い。

法59条から法118条に主要な規定があり、各種法令・通達が実務のため規定・発令されている。

登記事項には、登記の目的、受付年月日・受付番号、登記原因及びその日付、権利者の住所・氏名等がある(法59条)。
所有権に関する登記

権利に関する登記のうち、所有権に関する登記は、権利部の甲区に記録される(規則4条4項)。所有権に関する登記には、次のようなものがある。

所有権の保存の登記
新築などで、初めて甲区に記録される場合に、所有権の保存の登記がされる。登記の目的に「所有権保存」と記録され、所有者の住所・氏名が記録される。登記原因及びその日付は登記されない(法76条1項)。所有権保存登記の申請をすることができる者は、以下の者に限定されている(法74条)。
表題部所有者またはその相続人その他の一般承継人。

所有権を有することが確定判決によって確認された者。

収用により所有権を取得した者。

区分建物の場合で、表題部所有者から所有権を所得した者。なお、その建物が敷地権付き区分建物の場合、敷地権の登記名義人の承諾が必要である。


所有権の移転の登記
所有権保存登記又は前の所有権の移転の登記の名義人から所有権の移転を受ける場合にされる。登記の目的には「所有権移転」と、登記原因及びその日付には「平成○年○月○日売買(又は贈与、相続等)」と記録され、権利者として新しい所有者の住所・氏名が記録される。所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から3年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。遺贈により所有権を取得した者も、同様の扱いとなる(法76の2条)。

処分の制限の登記
差押え仮差押え及び処分禁止の登記が具体例である。これらの登記はすべて公署の嘱託によりなされ、当事者は申請をすることはできない(民事執行法48条1項、民事保全法47条3項・53条3項、法16条1項)。

登記されている所有権の登記事項に変更等があったときは、次のような登記がされる。

変更の登記
既存の登記の権利の内容が変更されたとき(共有物分割禁止の定めなど)や、登記名義人の表示が変更されたとき(改姓、住所移転、行政区画の変更等)には、変更の登記がされる(法2条15号、法64条、法66条)。

更正の登記
登記事項に誤りがあった場合には、更正の登記がされる(法2条16号、法67条)。

登記の抹消
権利に関わる登記において、登記された権利が最初から存在しなかったか、事後的に消滅した場合には、登記の抹消がされる(法68条、法69条)。

登記の回復
抹消された登記を、利害関係のある第三者の承諾を経てもとの順位で復活させる登記である(法72条)。なお、不動産登記法附則3条1項の指定を受けていない登記所(コンピューター化未移行庁)において旧登記簿が火災等により滅失したため登記がない状態になった場合、旧不動産登記法19条・23条及び69条ないし75条に規定される滅失登記の回復がなされる(規則附則6条1項)。
所有権以外の権利に関する登記

権利に関する登記のうち、所有権以外の権利に関する登記は、権利部の乙区に記録される(規則4条4項)。所有権以外の権利で登記されるのは、用益物権地上権永小作権地役権)、担保物権先取特権質権抵当権)、賃借権採石権である(法3条)。不動産に関する権利であっても、同三条に列挙されていない占有権や留置権などは登記できない。また甲区のない登記簿に乙区のみを登記することはできない。なお敷地権は建物の表示に関する登記事項である。

抵当権の設定の登記
甲区の所有者が抵当権を設定したときにされる。登記の目的には「抵当権設定」、登記原因及びその日付には「平成○年○月○日金銭消費貸借同日設定」などと記録され、抵当権者の住所・氏名のほか、債権額、債務者の住所・氏名等が記録される(法83条、法88条)。

登記名義人の氏名等の変更の登記等
名義人の氏名・名称・住所について変更があった場合になされる。なお更正についても同様である。

抵当権の変更の登記
抵当権の登記事項に変更があった場合にする。

抵当権の移転の登記
抵当権者が抵当権を譲渡したときにされる。既に存在する抵当権の設定の登記に対する付記登記として登記される(法4条2項)。

抵当権の処分の登記
抵当権の処分(民法376条)があった場合にする。

抵当権の順位の変更の登記
登記された担保物権の順位を変更する場合にする。

根抵当権の設定の登記
当事者が根抵当権を設定した場合にする。

根抵当権の変更の登記
根抵当権の登記事項に変更があった場合にする。

根抵当権の処分の登記
根抵当権につき根抵当権の処分・譲渡・分割譲渡・一部譲渡・共有者の権利移転があった場合にする。

民法第398条の14第1項ただし書の定めの登記
根抵当権の準共有者が、弁済を受ける割合や、優先弁済を定めた場合にする。

根抵当権の移転の登記
根抵当権の承継があった場合にする。

買戻しに関する登記


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