不倫
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近親相姦は、いくつかの社会でそれにまつわるタブー(インセスト・タブー)が存在する。

既婚者が不貞行為に及ぶ理由としては、セックスレス状態に陥っていたり、家庭からの現実逃避などが挙げられる[4]
語源

江戸時代では「姦通」のほか、「密通」「不貞」「不義」という表現が使われ、日常的には「浮気」も用いられた[5]

「不倫」という言葉は元々、倫理から外れたこと、の道から外れたことを意味した[5]。近年では特に、近代的な結婚制度(一夫一婦制)から逸脱した男女関係、すなわち配偶者のあるが配偶者以外の異性と行う恋愛性行為を指して用いられる[5]。1930年代の雑誌記事では「姦通」、1960年代以後は「浮気」の表現が多い[5]。TBSのテレビドラマ『金曜日の妻たちへ』(1983年)により「不倫」という言葉が広まったと考えられている[6][5]

本来は、不倫(ふりん)・不義密通も同じ意味であるが、現代日本語では、既婚者が配偶者以外の者と性交渉を持つ行為を主に不倫(ふりん)と呼ぶようになった。
日本江戸時代、不義密通により公衆にさらされる男女『日本の礼儀と習慣のスケッチ』より、1867年出版[7]

不義密通というのは、要するに他人の保護下にある女性に対して保護者の許可無く(不義)、密かに性交渉を持つ(密通)ことであり、他人の妻、妾または娘が対象となる。男が未婚の場合、未婚の娘に結婚を申し込むことは可能であるが、家同士の関係で結婚が決まる時代においては、身分や貧富の差があった場合、許可されないことが多く、駆け落ち心中といった悲劇につながった。

古代日本においては、一夫多妻制の上に招婿婚(妻問婚)という社会制度のため、夫が妻(正室)の家にいつもいるわけではないこともあり、夫が他の女性の家へと行っている時には別の男性が来ることもあったらしく、また男性が恋人の女性の家へと行くと、すでに他の男性が来ていたということもあった(『古今和歌集』に収録されている歌にも、多くその時に歌われたと思われるものがある)。ただし、その夫や恋人がそのことに対して声高に訴えたり、ましてや公にすることは、面子もあって滅多に無かったようだ。

平安時代では、やはり男は多くの女の元へ通うのが常識であり、一人の女性しか愛さない男は真面目人間として軽く見られた。しかし人の妻を奪うことは非常識とされ、世間の非難を浴びた。

鎌倉時代には、武家法である御成敗式目第34条において不倫密懐に関する処罰が規定され[8]、不倫密懐は所領半分没収の上職務罷免とされ、武家文化の中で厳しく処罰される端緒となった。御成敗式目は戦国・江戸時代を通じて各家法に強い影響を与え、武家法の基礎となった(「密懐法」を参照)。

江戸時代の寛保2年の公事方御定書47条[注釈 1]には不義密通を死罪とする重罰規定が見られる[注釈 2]

しかし、御成敗式目、公事方御定書とも既婚男性が未婚女性と関係に及ぶ件に関しては規定がない。御成敗式目は戦国・江戸時代を通じて各家法に強い影響を与え、武家法の基礎となった(「密懐法」を参照)。

これに対し、庶民の性風俗に関わる明確な取り決めは見られず、近世(江戸時代)以前には配偶者以外との性交渉は珍しいことではなく、近代に入っても戦前では特に農村などではその風潮が一部に残っていた。

近代に入ってからも、「浮気は男の甲斐性」などと既婚男性が未婚女性と関係にいたる限り、容認する風潮が長く続いていた。

近代以降、戦前戦中まで、既婚男性が未婚女性を愛人に持つことは容認されても既婚女性が未婚男性と浮気をすることは容認されないとされており、既婚女性が関係に及んだ場合、後述の姦通罪廃止までは、相手の男性から男女とも刑事告訴されることがあった。1947年昭和22年)施行の日本国憲法下における刑法改正により、同年10月26日をもって姦通罪は廃止され、それ以降現在まで、日本の法律では刑罰を受けることはなくなっている。

公事に基づく処罰や刑事罰が科されなくとも、不貞を働いた者には村落や島嶼、鉱山などの共同体の中で私刑が課せられることがあった。長崎県高島炭鉱では、不貞を働いた女性(姦婦)を見せしめのために全裸にしてはりつけ、人目の多い場所で拷問する私刑が行われていた[9]
現代日本

前述の日本国憲法下の1947年(昭和22年)刑法改正に際し、既婚女性と関係を持った者や既婚女性のみ姦通罪が適用されるのは憲法違反ではないかと議論になり、既婚男性と既婚男性と関係を持った者にも適用範囲を拡大するか、姦通行為への刑事罰自体を廃止してしまうのか議論になり、最終的には姦通罪は廃止された[10]。「不貞行為」も参照

戦後の法制度下では、婚姻関係にある男女への他人の性的な介入は、不貞行為として、婚姻下にある配偶者としての貞操義務違反行為に該当するとされており、法的にも現在まで確立している。

不貞行為は、民法770条の離婚事由の一つとしてあげられ、配偶者に不貞な行為があったとき、離婚の訴えを提起することができる場合(離婚原因)と規定している。なお、離婚の事由となる「不貞行為」とは、婚姻関係にある者が婚姻相手以外と性交渉をすることであり、前者が後者を強姦した場合[11]売春の枠内での性交渉[12]も含まれる。ただし、短期間の一時的な関係だった場合には離婚事由に至らないとして離婚の訴えが退けられる場合もある。また、性的関係に至らない、単純な交際(デートやキスなど)だけでは、不貞行為に当たらないとするのが通説である[13]。婚姻関係にある男女の一方が他人と異性愛でなく同性愛の関係を持った場合は、判決で不貞行為に当たらないとされていたが、近年、女性同性愛による他人との関係も不貞行為とし損害賠償を命じる判例が出てきている[14]

@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}つまり、民法制度上は、不貞行為の相手方や、相手となった夫または妻に対して、貞操義務に違反した精神的苦痛を理由とした不法行為(民法709条)に基づく損害賠償請求、さらに不貞行為を原因として、別居状態に至ったり、あるいは離婚の訴えによる裁判離婚または不貞行為を理由とする協議離婚が成立した場合、不貞行為の相手方や、相手となった夫または妻は、精神的苦痛に加えて、別居状態になったこと、または婚姻関係が破綻したことを原因とする逸失利益および精神的苦痛を理由とした不法行為(民法709条)に基づく損害賠償請求を重ねて負う事になる。


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