下痢
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発症から2週間以内のものを急性下痢[5]、ウイルス性のものである可能性が高く、ほとんどの場合、自然に治癒する。

発症から2週間から4週間以下のものを持続性下痢[3][5]

発症から4週間以上のものを慢下痢[5]

便が非常に柔らかくなる際に合併する主な症状は、
下痢の原因に直接関係のある

腹痛悪心嘔吐


副次的に生じる

脱水症状、食欲減退、疲労、体力消耗

などが挙げられる。

特に水様便に伴う脱水症状により重篤な状態に陥ることもある。
便の状態

便の状態は、ブリストル・スケールにより評価する[6]

ブリストル・スケール状態解説

1 コロコロ便硬くてコロコロのウサギ糞状の便
2 硬い便ソーセージ状ではあるが硬い便
3 やや硬い便表面にひび割れのあるソーセージ状の便
4 普通便表面がなめらかで柔らかいソーセージ状、
あるいは蛇のようなとぐろを巻く便
5 やや柔らかい便はっきりとしたしわのある半分固形
6 泥状便境界がほぐれて、フニャフニャの不定形の小片便、泥状の便
7 水様便水様で、固形物を含まない液体状の便

疫学2004年の100,000人あたりの下痢の障害調整生命年(DALY)[7] body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper{margin-top:0.3em}body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper>ul,body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper>ol{margin-top:0}body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper--small-font{font-size:90%} .mw-parser-output .legend{page-break-inside:avoid;break-inside:avoid-column}.mw-parser-output .legend-color{display:inline-block;min-width:1.5em;height:1.5em;margin:1px 0;text-align:center;border:1px solid black;background-color:transparent;color:black}.mw-parser-output .legend-text{}  データなし   500未満   500-1000   1000-1500   1500-2000   2000-2500   2500-3000   3000-3500   3500-4000   4000-4500   4500-5000   5000-6000   6000以上

2004年には世界で約25億人が下痢に罹患し、150万人の5歳以下の子供が死んでいる[1]。これらの患者の半分以上がアフリカ及び南アジアに在住している[1]。20年前には500万人に1人が毎年死亡していたが現在では改善しつつある[1]。これらの年代では、下痢の死因は全体の16%を占め、肺炎の17%の死因に次いで第2位の死因となっている[1]
原因

通常、便は大腸内にて水分ミネラル吸収された上で排出されるが、何らかの原因で水分を多分に残したまま便意を催して排便されることがある。浸透圧により、腸壁から腸管内に水分が排出される。これが下痢である。

治療方針を決定するため原因鑑別を行う。

内的要因

吸収不良

乳糖不耐症、消化管機能低下、内分泌異常


消化管の器質的異常

消化管穿孔、炎症性腸疾患、悪性腫瘍


消化管の機能的異常

便の大腸から回腸部への逆流[8]



外的要因

食中毒

病原性、腐敗物の喫食

化学物質、薬剤

カフェイン[9]マグネシウムの過大摂取による浸透圧異常、人工甘味料[10]



生活習慣

飲酒、過食、冷熱刺激


ストレス

過敏性腸症候群


腹痛を伴わない、何らかの摂取物や疾病による症候としての下痢(機能性下痢)としては[9]

食物起因性、薬剤起因性、乳糖不耐性、胆汁酸吸収不良、セリアック病、ランブルべん毛虫症、慢性膵機能不全、クローン病、顕微鏡的大腸炎、小腸内細菌の異常増殖、全身疾患に伴う下痢、腸管スピロヘータ

下痢を伴う全身疾患の例[9]

内分泌疾患(糖尿病、甲状腺機能亢進症、アジソン病)

ホルモン.生理活性物質産生腫瘍(カルチノイド症候群、WDHA症候群、ゾリンジャー=エリソン症候群、甲状腺髄様癌)

免疫不全状態(AIDS、低ガンマグロブリン血症

心不全

食物アレルギー

吸収不良症候群

蛋白漏出性胃腸症


感染症「胃腸炎」も参照

感染性の下痢は、ウイルス、細菌、寄生虫など多くの原因がある[11]。感染性下痢はよく胃腸炎に関連づけられる[12]

成人の下痢で最も一般なのはノロウイルスであり[13]、5歳以下児童の下痢で最も一般なのはロタウイルスである[14]。さらにアデノウイルスタイプ40,41や[15]、アストロウイルスによる感染性下痢も一般的である[16]

また赤痢コレラ病原性大腸菌などによる感染症や、クリプトスポリジウムといった病原性原虫寄生虫の寄生でも発生し、最悪の場合はに至る。
吸収不良

小腸、膵臓の障害により、栄養分の吸収が十分にできないことによる。

慢性膵炎

ヘリコバクター・ピロリの感染による消化不良

外科手術などにより、腸を切除した場合

好酸球性消化管疾患(好酸球性胃腸炎)

炎症性腸疾患詳細は「炎症性腸疾患」を参照

潰瘍性大腸炎クローン病などの炎症性腸疾患

過敏性腸症候群

過敏性腸症候群 (IBS) 、機能性胃腸症 (FD) などに代表される体質

不安障害による心身症

神経性の消化不良

便意を我慢し過ぎることによる大腸の異常活動

そのほか

甲状腺機能亢進症糖尿病大腸癌

医薬品副作用...(プロトンポンプ阻害薬によるcollagenous colitisなど)

便が大腸(上行結腸、横行結腸)から盲腸・回腸部へ逆流すると、便中の短鎖脂肪酸が刺激源となって下痢を発生させる[8]

病態

脱水症状は特に細胞外液脱水になり、塩分などのミネラル分などの消耗も起きるので電解質代謝異常を来す。便は通常アルカリ性なので体液の酸アルカリ平衡酸性に向かいアシドーシスとなって、体液が酸性に傾きアシデミアになりやすい。これは嘔吐の際に、酸性の胃液を吐くため平衡がアルカリ性に向かいアルカローシスになって、体液がアルカリに傾くアルケミアになりやすいことと対比するとわかりやすい。また、脱水が高度になると循環血流量が減少するため、多臓器不全腎不全など)やショック意識障害を招くこともある。

小腸性下痢と大腸性下痢の比較小腸性下痢大腸性下痢
便量著しく増加正常?増加
粘液まれあり
メレナ小腸出血時に発生なし
血便出血性腸炎を除きなし時に存在
未消化物ありなし
腹痛軽いことが多い強い
渋り腹
(テネスムス)なし頻回
体重減少しばしばまれ
嘔吐しばしばまれ
発熱軽度(38℃未満)しばしば38℃以上の高熱が出る
原因となる主な病気ノロウイルスロタウイルスなどによる急性胃腸炎コレラ寄生虫病、


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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