下水道
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埋設する管路が汚水管と雨水管の2本である分、合流式より施工費が大きい。

合流管に比べて汚水管は小さいため、人が入れず清掃や点検等が行いにくい事が多い。

原理上、降水による汚水の希釈が生じないため、流量水質の変動がなく、浄化処理を安定的に行える。

逆に、大雨による管内堆積物の自然除去が期待しにくく、清掃が必要になる。

ただし、実際には降水や地下水がある程度混入し(侵入水、不明水と称す)、水処理に影響を与えるケースが少なくない。原因として、汚水管への雨水管の誤接合、損傷した汚水管・汚水ますへの地下水の侵入、マンホール・ますふたの密閉度不足などがある。


雨水管に誤って汚水を接続された場合、汚水が河川に流出する可能性があり、適切な工事と検査が必要となる[注 1]

下水処理の設備
構成

下水道は下水渠と下水処分の過程で構成される[9]。下水渠は、下水をできるだけ速やかに排除して、処理し、または処分場に送るための渠である[9]。下水処分は自然作用に任せるものを(狭義の)処分というのに対し、物理学や化学、生物学などの原理を応用してある程度まで安定無害化することを処理といい、あわせて広義の処分という[9]

近代下水道は19世紀のヨーロッパでコレラ、ペストの大流行をきっかけとして整備されるようになった施設で、在来の雑排水路とは異なり、汚水を発生源から速やかに排除することによっての発生を抑制し、病原性微生物による伝染病の予防、悪臭の排除や視覚的な環境整備の役割をもつものをいう[11]。処理施設については「下水処理場」を参照
配置方式

都市の地形と最後処理施設との位置関係によって以下の種類に分けられる[12]
直角式
河川または海岸に直角に下水渠を設ける方式で、最短となるため最も経済的な方法である[12]
遮集式
河川または海岸に沿って遮集渠を設ける方式[12]
扇状式
規則正しく一方向に傾斜している地形で採用される[12]
帯状式、平行式
高低差が大きい場合に、高区、中区、低区に分けて系統別に処理する方式[12]
放射式
都市の中央が高いか四方が水域の場合に、放射状に下水幹線を設ける方式[12]
管種

下水道の管路の管種には陶管、コンクリート管、塩化ビニル管などがある[13][14]

陶管 - 耐酸性、耐アルカリ性で腐食や摩滅のおそれが少ない長所がある[13]。一方で脆く、大径のものは製作が困難などの欠点がある[13]。下水道の普及に貢献した管材であるが、新設整備量は少なくなっている[14]。国土技術政策総合研究所の調査では日本での管路に起因する道路陥没の約半数が陶管であるが、陶管規格の変遷が関わっており、1975年(昭和50年)頃以降に施工された陶管の管路については耐荷力や止水性能等の向上もあり陥没件数は少なくなっている[14]

コンクリート管 - 敷設や施工が容易という長所がある[13]。剛性管であり、たわみはほとんど生じないが、破損やクラックが生じやすい[14]。また、耐酸性に乏しく[13]、管路内で発生する硫化水素の影響で腐食することもある[14]

鉄筋コンクリート管

下水道用鉄筋コンクリート管 - 一般に開削工法による埋設で用いられるヒューム管[15]

下水道小口径管推進工法用鉄筋コンクリート管 - 小口径管推進工法用のヒューム管[15]

下水道推進工法用鉄筋コンクリート管 - 推進工法用のヒューム管[15]


下水道用硬質塩化ビニル管(塩化ビニル管)[15] - 耐薬品性に優れており硫化水素による腐食の影響を受けにくい[14]。しかし、可とう管であるため、構造上たわみを生じやすい[14]

下水道用ダクタイル鋳鉄管 - 耐圧性及び耐食性に優れた強度の高い可とう管である[15]

敷設工法

下水道管の敷設は地下鉄の建設などと同じく地下トンネル技術が応用され、開削工法と非開削工法に分けられる[16]。このうち非開削工法には、シールド工法、推進工法、山岳工法などがある[16]。なお、山岳工法は山地部などで発電用導水路トンネルなどを設置するのに用いられている工法であるため[16]、説明を割愛する。
開削工法

開削工法は所定の深度まで地表面から掘削していき、トンネルを構築した後に上部を埋め戻す方法である[16]
シールド工法

シールド工法はシ?ルド(シールドマシン)と呼ばれる円筒状の掘進機を先端に付けた掘進用のジャッキで掘削を行うもので、掘削を行いながら後方部で断面を支保する覆工(セグメント組立)を行い、トンネルを掘り進めるものである[16]
推進工法

推進工法は立坑を設けて推進力の反力受けを設置し、そこからジャッキで推進管を地中に圧入し、刃口部で土砂の掘削と搬出を行い、後方部から推進管を継ぎ足しながら管渠を敷設するものである[16]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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