上場投資信託
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2000年代から世界のETFは残高を本格的に拡大した。同年5月にバークレイズ・グローバル・インベスターズ(2009年からブラックロック)が一挙に50ファンドを設定した。世界の残高は2001年に1000億ドルを超えて、2011年末現在では1兆3475億ドルに達した。世界の全投信残高に対するETF残高の比率は1999年の0.3%から2010年末に5.3%へ拡大した。[2]

2002-6年に合成指数型がシェアを急拡大し多様化を象徴した[2]。2009年3月、ドイツのxetraに、db x-trackers db Hedge Fund Index ETF (ISIN: LU0328476337) が上場された[注釈 8]。世界で初めてヘッジファンドに投資するETFが登場した[7]
日本

日本では、1995年5月29日に全国8証券取引所に日経300株価指数連動型上場投資信託(300投信)が日本国内で初めて上場された。2001年7月13日東証大証に合計5銘柄が日本国内上場された。現在では日経平均株価TOPIXといった株価指数に連動する株価指数連動型の上場投資信託が一般的に取引できる。また、金の価格に連動する金価格連動型ETFや不動産価格に連動するREIT指数連動型ETFなどもある。2008年6月6日金融商品取引法の改正により商品現物交換型ETFが認可された[8]

海外の主要な株価指数に連動する海外ETFなどは外国株式を取引できる日本の証券会社各社で売買できる。S&P 500など外国の株価指数のETFのいくつかは東京証券取引所にも上場している。

日米ではETFの残高が増えたことによりマーケットメイクの在り方が試行錯誤されている。2018年7月2日に東京証券取引所がETF市場でマーケットメイク制度を導入した[9]

2021年2月には東京証券取引所が、主に機関投資家向けの市場活性化を狙い、RFQプラットフォーム CONNEQTOR を稼働させた[10][11]
マネージド・アカウントでの組入れ

ETF保有者層は欧州で8割が機関投資家なのに対し、アメリカでは個人投資家の割合が高めである[2]。後者の要因としてマネージド・アカウント(Managed account)を紹介する。

マネージド・アカウントは、金融機関の営業担当者と個人投資家が投資一任契約をむすび、顧客の運用資産総額に応じて運用手数料が生じる仕組みである。1995年、証券取引委員会がフィナンシャル・アドバイザーの報酬制度が個別銘柄の売買によるコミッションを基準としていることを問題として、メリルリンチ社長(Daniel P. Tully)を長に、ウォーレン・バフェットまで招いて委員会を発足した[12]。このタリー委員会が総額基準を提言したのである。1995年にスミス・バーニーがマルチ・ディシプリン・アカウント (MDA) を開発した。MDAは異なる組み入れ資産および運用スタイルを組み合わせた商品である(複数の資産運用会社が運用を担当する)。MDAの最低投資金額は10万ドルに抑えられ、マネージド・アカウントの大衆化に貢献した。[13]

マネージド・アカウントのETF組入れは宿命であった。マネージド・アカウントの普及につれて、フィナンシャル・アドバイザーは手数料に飢えた。そこで、資産運用会社から販売会社へのキックバック料金が高いものを売り込んだり、手数料の高すぎる投信を組み入れたりしていた。マネージド・アカウントにかぎらず、当時の証券会社の取扱い商品は自社もしくはグループ傘下の資産運用会社の投信に偏っていた。これが2003-4年にアメリカの「投信・保険不正問題」として世論に攻撃された。2003年9月マネージド・アカウント最大手のモルガン・スタンレーが不当なキックバックを理由に当局から200万ドルの罰金を課され、業界はショックを受けた。マネージド・アカウントの組入れ資産は多様化し、フィナンシャル・アドバイザーは解雇されていった。世界金融危機でワイヤーハウスと呼ばれる個人向け証券業務を行っている4大証券会社(モルガン・スタンレー、メリルリンチ、ウェルズ・ファーゴ、UBSアメリカ)は全て銀行となった。2010年ドッド・フランク法が成立し、大銀行は自己資本の活用しない分野で収益をあげる必要に迫られた。2008年から2013年にかけて、マネージド・アカウントの組入れ資産に対するETFの割合は2.8%から9.5%に上がった。[13]
脚注
注釈^ 現物拠出によらず、店頭スワップ取引により対象指数連動をめざすETFについては、世界金融危機後の残高増大をみて、金融安定化理事会 (Financial Stability Board) が3点の懸念を表明している。@スワップ契約の相手銀行が破綻した場合スワップ契約が履行されない。A相手銀行がレポ市場に出せないような証券を担保にしていた場合で、もしもETFが予期せぬ大量解約にあったら困る。B大銀行とシャドー・バンキング・システムが同一の金融グループであるため、利益相反のおそれがある。[2]
^ 危機から資産担保証券の発行額はガタ落ちしている[3]。世界のETFについて、組み入れ資産の3/4以上が株式であり、設立地別でアメリカが69%を占める(2011年11月)[2]
^ ただし、上場されている株式の売買同様に株式購入の手数料がかかる。
^ ETF発行会社は、ETF運用報酬率が低いことから証券貸付によって収益を得ようとする。


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