三酸化硫黄
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脱水: 2 NaHSO 4 ⟶ Na 2 S 2 O 7   + H 2 O {\displaystyle {\ce {2NaHSO4 -> Na2S2O7\ + H2O}}} @ 315°C

熱分解: Na 2 S 2 O 7 ⟶ Na 2 SO 4   + SO 3 {\displaystyle {\ce {Na2S2O7 -> Na2SO4\ + SO3}}} @ 460°C

他の金属の硫酸水素塩を用いても反応は進行する。この場合、反応条件は中間体の安定性に依存する。

工業的には三酸化硫黄は接触法により製造されている。まず硫黄もしくは黄鉄鉱の燃焼により二酸化硫黄(亜硫酸ガス)を合成し、電気集塵により精製する。その後二酸化硫黄酸素及び五酸化バナジウムの存在下で400?600℃に加熱し酸化すると得られる。 S   + O 2 ⟶ SO 2 {\displaystyle {\ce {S\ + O2 -> SO2}}} 2 SO 2   + O 2 ⟶ 2 SO 3 {\displaystyle {\ce {2SO2\ + O2 -> 2SO3}}}

また、硝酸法(鉛室法)の過程で二酸化硫黄が二酸化窒素と反応してもできる[1]

   SO 2   + NO 2 ⟶ SO 3   + NO {\displaystyle {\ce {SO2\ + NO2 -> SO3\ + NO}}}

接触法及び鉛室法については記事硫酸#工業的製法に詳しいので、そちらも参照のこと。
固体の構造γ-SO3分子

固体のSO3は微量の水に依存した複雑な挙動を示す[2]。気体が凝集すると、純粋な三酸化硫黄がγ-SO3と呼ばれる三量体を形成する。この固体は無色で融点は16.8℃である。この環状構造は[S(=O)2(μ-O)]3と表記されている[3]

SO3が27℃以上で凝集してできる相は融点が62.3℃であり、α-"SO3と呼ばれている。α-"SO3の見た目はアスベストのような繊維状である。[S(=O)2(μ-O)]n型の高分子であり、末端はヒドロキシル基になっている。β-SO3と呼ばれる相もα型と同じく針状であるが分子量と融点が異なり、融点は32.5℃である。γ相とβ相は準安定相であり、時間の経過に伴い安定なα相へと徐々に相転移する。この相転移には微量の水が関わっている[4]

固体の蒸気圧は同一温度ではα < β < γの順に大きくなる。また液体の蒸気圧はγ相の値とほぼ同じである。このためα-SO3の結晶を加熱すると、ガラス容器を粉砕するに十分な程の蒸気圧の急増が見られる。この現象はα爆発と呼ばれている[4]

SO3は高い吸湿性を持つ。熱濃硫酸に木や綿を浸すと発火するが、これは SO3が木や綿の炭水化物に含まれている水分を脱水してしまい、炭水化物が燃えやすくなるためである[4]
外部リンク

NIST Standard Reference Database

European Chemicals Bureau

関連項目

超原子価分子

硫黄酸化物

二酸化硫黄

硫酸

参考文献[脚注の使い方]^ 『日本大百科全書(ニッポニカ)』小学館、2014年。


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