三畳紀
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三葉虫や方解石サンゴ、紡錘虫類などは絶滅し、それまで繁栄していた単弓類などがのレベルではほとんどが絶滅して、大きく衰退した[7]軟体動物では、さまざまな二枚貝が死滅し、ゴニアタイトが絶滅するなどアンモナイト類を含む巻貝も大きな打撃を受け、腕足類もまたスピリファをのぞくすべてが滅んだ[4][7]棘皮動物においても同様の傾向がみられ、海生生物の多様性は著しく損なわれた[2][7]
三畳紀の自然環境

古生代末、ほとんど全ての大陸が合体し、三畳紀には北極から南極に至るパンゲア大陸と呼ばれる超大陸が形成された[2]。また、山地をくずして内陸部に広大な平野をつくる陸地の平原化現象がおおいに進行した。内陸部の平野には乾燥気候の影響で砂漠化の進行がいちじるしく、赤色のが堆積していった[8]。砂漠のところどころにはオアシスが点在した[8]

パンゲア大陸の周囲には、パンサラッサと称されるひとつながりの巨大な海洋と、大陸の東側にはテチス海と呼ばれる湾状の海が広がり、一部は珊瑚礁となっていた。

古生代終期に寒冷化した気候も、三畳紀を通じて気温は徐々に上昇していったものと推定される。ペルム紀に30パーセントほどあった酸素濃度も10パーセント程度まで低下し、ジュラ紀頃までの約1億年間、低酸素状態が続いた。

三畳紀は、広大な大テチス地向斜の発展がみられた時期と考えられている[4]。この地向斜から、2億もの年月を経たのち、アルプス・ヒマラヤ造山帯など新期造山帯と称される若い山脈が形成されていくものとみられている[4]
三畳紀の生物ベレムナイト(推定図)

ペルム紀末の大量絶滅の後、空席になったニッチ(生態的地位)を埋めるように、海生生物では、古生代型の海生動物にかわって、新しい分類群がつぎつぎに出現した。六放サンゴやさまざまな翼形(よくけい)二枚貝などが発展するようになり[2]、アンモナイトは、中生代まで生き残った数種をもとにセラタイト型が爆発的に増えた[7]。また、類縁するベレムナイトが著しく多数にわたって現れた[4]。棘皮動物のうちウニ類は古生代においてはまだ十分な発達をとげなかったが、中生代には急激に進化しはじめ、多くの種を生じた[3][注釈 3]。このような新しい種の出現によって、三畳紀後期にはいったん損なわれた生物多様性を再び回復した[2]

三畳紀の海成層の示準化石として重要なものとしては、セラタイト型アンモナイト、翼形二枚貝(ダオネラ、ハロビア、モノティス等)のほか、原生動物放散虫、貝蝦(エステリア)、ウミユリ(棘皮動物)の一種エンクリヌス・リリイフォルミス[注釈 4]があり、状の微化石コノドントは生物学上の位置づけが未解決の部分もあるが、層位学的にはきわめて重要である[2][3]。なお、ダオネラは、現在のホタテガイに近縁する絶滅種であり、ダオネラ頁岩は堆積学的見地からも重視される[3]三畳紀後期に生息していた原竜脚類テコドントサウルス最古のカメ、オドントケリスの化石実測図

これに対し陸上の動植物はペルム紀中に大変革を終えており、P-T境界においては海生生物におけるほどの劇的な変化をともなっていない[2][3]。ペルム紀においてすでに主竜類などをはじめとする爬虫類が水中のみならず陸上生活に適したものが増加し、三畳紀には体躯の大きなものも出現して繁栄した[3]。主竜類の中から三畳紀中期にはエオラプトルヘレラサウルスなどの恐竜翼竜ワニが出現、また主竜類に近い系統からカメ類が現れた[9]。爬虫類はまた、肺呼吸を完全にし、種類によっては皮膚ウロコや硬い甲羅でおおうことによって乾燥した陸地への生活に適応していった[8]

この時代の恐竜(初期恐竜)は、陸生脊椎動物のなかにあって特に大型であったわけではなく、初期恐竜と併存していた恐竜以外の爬虫類のなかに、それよりもはるかに大きく、個体数の多い種もあったと推定される[9]。中でもこの時代にワニ類を輩出したクルロタルシ類は繁栄の絶頂にあり、陸上生態系において支配的地位を占めていた。三畳紀の恐竜化石は特に南アメリカ大陸で多数検出されており、北米・アフリカヨーロッパなどでも確認されている[9]湿地帯などにのこされた爬虫類の足跡化石が多く発見されるようになるのも三畳紀に入ってからであり、これにより、肉食種が植物食種を捕食するシステムが成立していたことが推測される[3]。カメは、現存種には歯のある種はないものの、オドントケリスプロガノケリスなど初期のカメには顎に歯があったことが確認されている[4]。また、四肢は現在のゾウガメに類似しており、陸上生活者であると考えられている[9]。三畳紀のワニ類もまた陸上生活者であり、全長は1メートルにおよばなかった[9]

非哺乳類の単弓類が最後に繁栄したのも三畳紀だった。初頭には大型ディキノドン類リストロサウルスや最後の大型テロケファルス類モスコリヌスに加え、小型のトリナクソドンのようなキノドン類が多種多様な爬虫類と共存した。前期にはカンネメイエリアキノグナトゥスがさらなる大型化と多様化を達成し、中期?後期にかけても大型種では植物食のプラケリアス、雑食のエクサエレトドンやディアデモドン、肉食のトルシキノドンが変わらぬ繁栄を見せ、小型種ではトラベルソドン類やイクチドサウルス類が生態系の隙間を埋めた[10]

こうした三畳紀特有の生物相は、南米ロス・コロラドス層を見るに、三畳紀中盤から末期にかけて概ね維持されていた[11]。ただし竜脚形類新獣脚類の台頭など、留意すべき点もある。

なお最初の哺乳類が現れたのも三畳紀であった[4]。哺乳類は、中生代を通じて小型であり、大きくてもネコ小型犬ほどの大きさであり多くの種はドブネズミハツカネズミの大きさほどしかなかった[9]


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