翌年の夏。ボビークに部屋を譲り、同室となったイリーナとオリガの部屋。深夜2時。ソファにはマーシャ。窓の外では火事騒ぎが起こっている。オリガは焼け出された人たちのために自分の衣服をかき集める。ヴェルシーニン中佐一家もプローゾロフ家の1室に避難している。ナターリヤは金持ちの義務として被災者支援を口にする一方で、年老いたアンフィーサを役立たずとして追い出すようオリガに迫り、悲しませる。断酒していたチェプトゥイキン軍医は患者を死なせた失意から再び酒に手を出し、老いぼれた欺瞞だらけの自分を罵る。イリーナ、トゥーゼンバッハ男爵、ヴェルシーニン中佐が現れ、軍が町から移動になるという噂話をする。マーシャと中佐の心が通じ合っていることを知りながらも、夫クルイギンはマーシャへの愛と賛辞を繰り返し、満たされていると力説する。アンドレイが自宅を抵当に借りた金をナターリヤが握っていることがわかり、兄を理想化していたイリーナは失意に暮れ、モスクワ行きももはや叶わないことを悟り泣き崩れる。オリガは「結婚は愛でするものではなく、義務でするものだ」とイリーナを諭して男爵との結婚を勧め、マーシャはヴェルシーニン中佐を愛していることをオリガとイリーナに告白する。アンドレイが現れ、姉妹が妻のナターリヤに批判的であることを非難し、自分の現職に誇りを持っていること、姉妹のような恩給がない自分が借金を返済するには自宅を抵当に入れるしかなかったことを告げる。ついにイリーナは男爵との結婚を決意する。 プローゾロフ家の庭。イリーナとトゥーゼンバッハ男爵は翌日結婚して町を離れる予定である。軍隊はポーランドに従軍することになり、軍人たちがプローゾロフ家に別れの挨拶に来る。前夜、ソリョーヌイと揉めて決闘することになった男爵は、立ち会いのチェプトゥイキン軍医とともに決闘の場に向かう。オリガは老乳母のアンフィーサとともにすでに家を出て学校の寮で暮らしている。アンドレイとナターリアには新しい子供も増え、ナターリアはプローゾロフ家を完全に支配している。マーシャは旅立つヴェルシーニン中佐と最後の別れを交わし人目もはばからず涙するが、夫クルイギンは昔の静かな生活にまた戻れることを喜んでいる。決闘で男爵が殺されたことをイリーナは知るが、予定通り明日家を出て教師として新生活に踏み出す決心をする。三姉妹は肩を寄せ合い、これからも生きていかなくてはならない覚悟を確認し合う。 1990年代以降の訳書を挙げる。 リヨン歌劇場の委託で、ハンガリーの作曲家エトヴェシュ・ペーテルによりオペラ
第4幕
日本語訳
浦雅春訳 『ワーニャ伯父さん/三人姉妹』 光文社古典新訳文庫、2009年
松下裕訳 『チェーホフ戯曲選』(水声社、2004年)。全14篇旧版は『チェーホフ全集』(筑摩書房(12)/ちくま文庫(11))
神西清訳 『桜の園・三人姉妹』 新潮文庫、再改版2011年。解説池田健太郎(弟子)
安達紀子訳 『三人姉妹 四幕のドラマ』 群像社<ロシア名作ライブラリー>、2004年
小田島雄志訳 『三人姉妹 ベスト・オブ・チェーホフ』 白水社<白水Uブックス>、1999年
福田逸訳 『三人姉妹』 而立書房、1999年?※小田島・福田訳は、英訳版を底本にした上演用の邦訳
オペラ化
主な映画化
1970年:三人姉妹
1988年:三人姉妹
永井愛、白水社、2000年。翌年に読売文学賞(戯曲)及び読売演劇大賞(優秀賞)を受賞。 2004年4月24日から5月2日まで東京芸術劇場小ホール2で、「劇団たいしゅう小説家第4回公演」として同年5月7日から5月8日まで大阪メルパルクホールで公演された。2094年の日本を舞台とし、内容も大幅に改案されている。 2094年12月、日本。敵国も目的もわからない戦争が100年も続くある日、ソビエト連邦との国境であるサハリンを防衛するために、東京から北海道の稚内に第六陸軍隊が来た。これが野田家の三姉妹、織江・正江・入江と、桜井中佐・綾小路中尉との出会いであった。
世紀末三人姉妹
あらすじ