住友信託銀行は、金融ビッグバン以降の都市銀行および信託銀行間の経営統合による金融再編に参加していなかった銀行である。2004年5月に当時経営難であったUFJホールディングスからUFJ信託銀行の売却を打診され、経営統合の方向で基本合意するも、UFJグループは同年7月に三菱東京フィナンシャル・グループとの統合を選択し、一方的に契約が破棄された事により合併は実現しなかった。その後、住友信託と(中央)三井トラスト・ホールディングスが経営統合を検討し、2005年2月には合意寸前まで至ったが、人事や合併比率等で合意できずに破談に終わっている[13]。
一方、国内の金融業界では、金融ビッグバンの影響で業種間の垣根が撤廃・緩和され、2000年代は商業銀行・信託銀行・証券会社で構成される一大金融グループを形成する動きが加速した時代であった。信託部門ではみずほFGがみずほ信託銀行を、三菱UFJFGが三菱UFJ信託銀行を擁する中、(老舗系)信託銀行を持たない三井住友FGから住信・中央三井の両行に対し統合圧力が高まるのは、想像に難くない[13]。このような情勢の中で、メガ傘下入りを嫌い独立志向を貫く両行の思惑は合致しており、業界内でも両行の合流は“既定路線”とされていたが、多角化路線を進む住友信託と個人営業重視の中央三井といった経営方針の違いもあり、再編劇は当時社長であった高橋温(住友信託)と田辺和夫(中央三井)の退任以降と見られていた[13]。
しかし、折からの金融危機の影響で公的資金の返済が予定通りに進まず実質国有化されていた中央三井と、大口融資先アイフルの業績悪化の影響を受けた住友信託は、規模拡大による業務効率化が急務となり[13]、2009年は両グループで再び経営統合の交渉についた。両行の経営統合が正式に発表されたのは、同年11月6日の事だった[14]。また、当初は大和銀行(現:りそな銀行)と住友信託の合弁会社であった日本トラスティ・サービス信託銀行に2002年に(中央)三井トラストが資本参加した。 三井住友信託銀行は国内唯一のメガ信託となったものの、それでもメガバンクとの差は歴然であり、今後の経営戦略を描くのは容易ではない。統合発表会見の際に田辺和夫社長は「(三井住友FG傘下入りは)今のところ全くない」と述べているものの、現実問題として傘下入りのメリットを指摘する声があるのも事実である[14]。統合に際し旧行の幹部も「三井住友FGに吸収されるなら統合で体力を付けてから」と本音を漏らしており[13]、他のメガバンク幹部からも「結局は三井住友FGに合流せざるを得なくなる」という見方がある[14]。 など 2020年9月24日に三井住友信託銀行が公表したプレスリリースによると、当社及び連結子会社の東京証券代行と日本証券代行が受託した株主総会の議決権行使集計業務について、三井住友トラストTAソリューションを通じて再委託した日本株主データサービスにおいて、2020年5月から7月に開催された株主総会のうち当社が受託した891社、東京証券代行が受託した38社、日本証券代行が受託した46社の合計975社で株主総会の議決権行使を巡り、期限当日に届いた議決権行使書を集計から外すといった不適切処理が行われていた。[15]この不適切処理は約20年間にわたり行われていたという報道もある。[16]
合併後
関連会社
三井住友トラスト不動産
三井住友トラスト・アセットマネジメント
日興アセットマネジメント
三井住友トラストクラブ
三井住友トラスト・カード
三井住友トラスト・パナソニックファイナンス
三井住友トラスト・ローン&ファイナンス
東京証券代行
日本証券代行
三井住友トラストTAソリューション
日本株主データサービス
スカイオーシャン・アセットマネジメント
不祥事
株主総会の議決権行使書の不適切処理
脚注[脚注の使い方]
注釈^ このため、旧:住友信託銀行の届出番号を引き継いで宅地建物取引業の届出番号は国土交通大臣届出第1号となる。
^ 本店を東京へ移転した事に伴う改称は三井住友銀行(旧:住友銀行)と同様。
^ 大阪本店営業部(住友ビル本館内:旧住信本店営業部)は、SMBC大阪本店営業部である住友ビルディングの隣にある。
^ SMTBが行う証券代行業務はみずほ信託銀行と業務提携している。
^ 一方でりそな銀行とは日本トラスティ・サービス信託銀行(現在の日本カストディ銀行)を共同で設立するなど、親密な関係とされている。
出典^ 組織図
^ “三井住友信託銀が発足 3行合併、最大メガ信託”