なおアサヒビールは、1950年代半ばからビールの販売低迷が始まり、一時は市場占有率10%を切り、会社存続が危ぶまれたが、1987年(昭和62年)にアサヒスーパードライのヒットで、業績復活するまでの約30年間の経営を支えたのは、三ツ矢サイダーの利益だった[5]。
1967年に、柑橘系香味の透明炭酸飲料「三ツ矢レモラ」(二代目)を、1970年に200mlの入りびんを、1971年に透明炭酸飲料で業界初の缶入りをそれぞれ発売し、1973年に姉妹品として三ツ矢フルーツソーダ[注釈 8]を発売した。
この頃の容器は、ビールビンを細くした形で水色のビンに紙ラベルが貼付されていたが、すでに瓶に直接印刷が施されたプリント瓶に切り替えたキリンレモンに対抗して、1972年から水色の文字とマークが印刷されたプリント瓶に順次切り替えられた。なおこの切替えで不要となった330ミリリットル入りの旧型の瓶は、地方の中小企業に流れて、現在でも朝日サイダー・八戸製氷冷蔵などで使われている[6]。
アメリカ合衆国で人工甘味料ズルチンの安全性が疑われ始めたため、1961年に甘味料をチクロに切り替えた。しかし1969年にはチクロにも安全性が疑われ始めたことを機に、人工甘味料を使用していたすべての製品の製造を中止。砂糖を使用していた「全糖三ツ矢サイダー」に一本化することになった。また安全性をアピールするため、合成着色料の使用も中止し、現在のような透明色のサイダーになった[4]。
1980年には、前年(1979年)に放送を開始したテレビアニメ『ドラえもん』(第2作)とのタイアップを行い、缶入りにドラえもんのデザインを施したり、瓶入りには「ドラえもんグラス」がもらえるプレゼントを行った(バヤリースも同じ)。アニメとのタイアップはこの後も、1982年に『Dr.スランプ アラレちゃん』、『忍者ハットリくん』、1984年に『パーマン』(第2作)と続いた。
1984年に発売100周年を迎えて缶やペットボトル[注釈 9]に記されている「MITSUYA CIDER」が現在の書体で青色に変更されて現在に至る。1995年までは「Asahi」ロゴは側面部分に「by Asahi」と表示していたが、1996年のアサヒ飲料発足を機に「MITSUYA CIDER」の上に「Asahi」が表示された。
1988年に製造部門が分社化されてアサヒビール飲料製造株式会社となり、1996年に販売会社のアサヒビール飲料株式会社と合併してアサヒ飲料株式会社となる。
2004年に香料を天然原料のものに、水を天然水100%に変えて一層すっきりした味に仕上げて売上数量が増加し、業績不振から一転してV字回復した。近年流行の微炭酸へ移行することもなくキリンレモンと並び強炭酸を維持するなどして根強いファンを持つ。
2009年5月26日に「カロリーゼロ、糖質ゼロ、保存料ゼロ」の「三ツ矢サイダー オールゼロ」を全国で発売した。カロリーゼロ、糖質ゼロ商品は126年間で初めてである[注釈 10]。同商品はアルミ缶商品で250mlと300ml、ペットボトルで500mlと1,500mlの2タイプ計4種類を販売する。2015年3月24日のリニューアルで『三ツ矢サイダー ゼロ』に改名し、2016年3月22日のリニューアルで『三ツ矢サイダー ゼロストロング』に再改名した。
源泉の自噴量が少なくなったことにより、発祥の地である平野工場は1954年に閉鎖され、アサヒビール系列のホームセンター・サンシャイン平野店になったが2005年3月に閉店した[注釈 11]。1912年に建設された大正天皇御料品製造所はこのホームセンターの奥で三ツ矢資料館になっていたが、サンシャインの閉店とともに公開が中断された。
2016年、アサヒ飲料の環境方針の下、一部製品(1.5Lボトル4万箱)に植物由来の原料を使用したオールバイオペットボトルの採用を開始した[8]。
2017年6月15日、国際味覚審査機構(iTQi)による優秀味覚賞を受賞[9][10]。
2018年3月からは「カルピスウォーター」と共に、ダイドードリンコが管理する自動販売機への供給を開始している(自動販売機用の430mlペットボトルのみ)[11]。
2019年1月にプラスチック資源循環や海洋プラスチック問題の対策において、持続可能な容器包装の実現に向けた目標として「容器包装2030」を策定。プラスチック製容器包装の重量削減を目指している。[12]
沿革
1884年 - 「平野水」発売。
1899年 - 「三ツ矢印」を商標登録。
1905年 - 三ツ矢平野鉱泉合資会社設立。
1907年
2月20日 - 三ツ矢平野鉱泉合資会社と合資会社孔雀商会が合併し、帝国鉱泉株式会社設立。
6月 - 「三ツ矢印平野シャンペンサイダー」発売。
1909年 - 「三ツ矢シャンペンサイダー」発売。
1912年 - 皇室及び各宮家へ御料品を納品するため、御料品製造所建築。