万有引力
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第3法則
惑星が太陽を一周する時間(周期)の2乗は、惑星と太陽との平均距離の3乗に比例する

また、クリスティアーン・ホイヘンスによる振り子の研究と1659年ごろの円運動の研究が結び付いた結果、中心の引力は半径に比例し周期の2乗に反比例するということが判り、これが1673年の『振子時計』で公表された。この研究成果をケプラーの第3法則を結びつければ、引力は半径の2乗に反比例する、ということはたやすく算出できるようになっていた。

ここで、なぜ惑星はケプラーの法則に従って動くのかが論点となった。当時の自然哲学者たちは、ガリレイたちが作り上げてきた、外力が働かなければ地上の物体は等速直線運動をつづけるとする地上の動力学を使うことを考えるようになっていた。ところが、惑星が直線ではなく楕円を描くということは、太陽の方向に働く引力があることを意味する。

1679年11月24日、フックからアイザック・ニュートンに「惑星の運動に関する私の仮説について、あなたの意見を学会機関紙に投稿してほしい」という手紙が送られた。フックが意見を求めたのは、楕円運動を作り出す太陽に引き寄せる力、すなわち引力の性質についてである。
『自然哲学の諸原理』における、万有引力という考え方の公表ニュートン自身が所有していたプリンキピアの初版。

ニュートンは、1679年にフックから手紙を送られた当時、光学の研究に忙しく、フックがその5年前に惑星の運動を説明するための仮説を学会に提出していたことも知らなかった。この手紙を見たニュートンは、13年ほど前にウールソープ(ニュートンの家)で試していた地上の重力がにまで及んでいると想定した計算をやり直すことにした。それは、次のようなものであった。.mw-parser-output .templatequote{overflow:hidden;margin:1em 0;padding:0 40px}.mw-parser-output .templatequote .templatequotecite{line-height:1.5em;text-align:left;padding-left:1.6em;margin-top:0}まず、に対して何の力も働かなければ、月はガリレオの慣性の考え方によれば直線方向にAからBまで1分間に37.4km進む、と計算される。(月を円軌道とし、地球一周に27日7時間43分かかることから算出)。だが、月はBではなくB´の位置にいる。つまり1分間にBB´だけ「落下する」と考えることができる。その長さは直角三角形AOBにピタゴラスの定理を用い計算でき、毎分4.9mの落下、となる。毎秒ならば、その3600分の1、4.9/3600となる。ところで地上の落下は、ガリレイが見出した法則により、毎秒4.9mである。月の位置で働く引力は、地球上の3600分の1まで弱まっている、ということになる。月までの距離は地球半径の60倍だから、結局、この引力というのは距離の2乗に反比例しているということになる(逆2乗の法則)。

1684年1月のある水曜日、ロンドンのコーヒーハウスにあつまったフック、天文学者エドモンド・ハレー、王立学会会長兼建築家クリストファー・レンは、残る問題となった、逆2乗の引力をもとにして、いかにケプラーの第1法則と第2法則を導くことができるかを話題にした。同年8月、ニュートンを大学で訪問したハレーは、ニュートンがすでに独自にこの問題を解決していたことを知り、11月に、それを出版することをすすめ、『自然哲学の数学的諸原理』(プリンキピア)の核心部分が出来てゆくことになった。しかし、フックは引力については自分がニュートンに教えたのだとし、二人の間で対立が生じることになった。その後、ハリーの資金面での援助やフックとの先取権をめぐるいざこざの仲裁などといった支援もあり、ニュートンは『自然哲学の数学的諸原理』の刊行にこぎつけた。エドモンド・ハレー

『自然哲学の数学的諸原理』は、1687年に刊行された。同書は三篇で構成されており、第三篇の「世界体系について」で惑星の運動が主として扱われている。例えば、「月は地球に向かって重力で引かれる」という、ニュートンがウールスソープ時代に思いついた命題は、第三篇の命題4において提示されており、逆2乗の引力が木星とその衛星、5つの惑星と太陽の間でも働くことを、ケプラーの第2法則と第3法則からこの引力を逆に導き出しつつ主張した。さらに命題7で重力は物の量(質量)に比例することを述べ、第三篇の命題8において、この宇宙ではどこでも物質には互いに物質の量のに比例する逆二乗の引力が働いている、すなわち万有引力の法則を主張した。
ニュートン力学と重力

古典力学
F = d d t ( m v ) {\displaystyle {\boldsymbol {F}}={\frac {\mathrm {d} }{\mathrm {d} t}}(m{\boldsymbol {v}})}
運動の第2法則
歴史(英語版)

分野

静力学  · 動力学 / 物理学における動力学  · 運動学  · 応用力学  · 天体力学  · 連続体力学  · 統計力学

定式化


ニュートン力学

解析力学:

ラグランジュ力学

ハミルトン力学


基本概念

空間 · 時間 · 速度 · 速さ · 質量 · 加速度 · 重力 ·  · 力積 · トルク / モーメント / 偶力 · 運動量 · 角運動量 · 慣性 · 慣性モーメント · 基準系 · エネルギー · 運動エネルギー · 位置エネルギー · 仕事 · 仮想仕事 · ダランベールの原理

主要項目

剛体 · 運動 · ニュートン力学 · 万有引力 · 運動方程式 · 慣性系 · 非慣性系 · 回転座標系 · 慣性力 · 平面粒子運動力学 · 変位 · 相対速度 · 摩擦 · 単振動 · 調和振動子 · 短周期振動 · 減衰 · 減衰比 · 自転 · 回転 · 円運動 · 非等速円運動 · 向心力 · 遠心力 · 遠心力 (回転座標系) · 反応遠心力 · コリオリの力 · 振り子 · 回転速度 · 角加速度 · 角速度 · 角周波数 · 偏位角度


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