初期から1960年代後期までの民間放送では一社提供が原則で、内容的・形式的に番組内容と強く結びついているものの方が多く、タイムCMも1分の長編かつ本編の一部として扱われていた[2]。この頃の子供向けに作られたドラマやアニメといったフィクション番組も製菓・清涼飲料水・文房具・ふりかけといった子供向け業界企業の一社提供であり、本編映像への挿入や、メディアミックスへの関与も一般的であった。スポンサーが専属契約したアナウンサー・タレント・番組出演者が、スタジオの隅や舞台上で商品の実演を行う「生コマーシャル」が代表的な手法だった[2]。
しかし、制作費の高騰に伴う予算の増大により、1970年代以降からは複数社提供が一般化してタイムCMは30秒単位の契約かつ15秒および30秒に製作された短編の映像を機械的に挿入する形式へと移行した[2]。さらにバブル崩壊による平成不況以降は一社単独での提供番組は減少傾向にある。最近はゴールデンタイム以外の30分枠でのバラエティ番組、もしくは5分から15分までの視聴率調査対象外のミニ番組[注 1]で多くみられる。放送時間に関しても、プライムタイム直前ながら殆どが全国ネットとしている土日18時台および深夜番組ながら全国ネットが一般的な土日23時台における地上波のバラエティ番組や、特定のスポーツ大会を題材としたスポーツニュース番組などの期間限定番組は、一社提供が非常に多いのが特徴となっている。
更に、番組内容にクレーマーが腹を立て会社への電凸、不買運動等に発展してしまうのを避けるため現在では一般的なバラエティ番組における一社提供は無くなり、教養番組、対談番組、ドキュメンタリー、テレビドラマに絞られている。
電力会社やガス会社など、営業エリアが限られる業界の提供番組では、準キー局の製作番組を中心に番組販売という形で関東地方の独立テレビ局や区域外の同一系列局を中心に非提供でネットしているところもある。
紳士協定上、酒造会社のようにテレビ番組での単独提供がミニ番組に限られているものや、製薬会社のように単独提供が前半の30分までとなっているものもある。実際、前者ではその会社が筆頭の複数社提供としているところ[注 2]もあれば、系列の清涼飲料水メーカーの共同提供[注 3]としているところもある。後者が提供する懸賞金が支給されるクイズ番組では、最大10万円[注 4]までであり、それ以上の賞金は製作局が預かることになっている[注 5]。
一社提供の弊害として、スポンサーの意向により、出演者やゲストの人選に制約が発生するケースがある。一例として、競合する同業他社のコマーシャルに出演している芸能人[注 6]やスポンサーの商品にそぐわないと判断された芸能人が出演できない事が挙げられる。仮に出演する場合は出演する日のみスポンサーを降板し、ACジャパンなどの公共広告CMに差し替えられる事になる[注 7][3]。これは複数社提供でも起こり得る事だが、一社提供の方がリスクが大きいためこのような例は稀なケースである。
また、提供スポンサーに何らかの不祥事が起こったか、あるいは一時的にスポンサーがCMを引き上げた場合、CMは全てACジャパンや各社が制作するお詫びCM、各局の他番組宣伝に差し替えられる事となる。他にも、スポンサーの意向がダイレクトに影響され、視聴率関係なく親会社の事情や胸先三寸で打ち切りにさせたり、反対に社のイメージを壊さない内容であれば目標を達成していなくても番組を継続してくれる[注 8]などである。
なお、全国ネットの一社提供番組は基本的にネットワークセールス番組であり、一部系列局でネットされていない場合は、ローカルセールスではなく地域限定ネットワークセールスであり、一社提供スポンサーの推薦を受けないとネット出来ないという制約がある[注 9]。
長寿番組になると、スポンサーの撤退や複数社の提供となり、発展的に一社提供が無くなるという話題は、新聞やニュースに取り上げられるほどのものになる[注 10]。
関連項目
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