「一億総中流」という国民意識はあれ、1999年(平成11年)以降は年収299万円以下の層と1500万円以上の層が増加する一方で300-1499万円の層は減少しており、格差が拡大傾向を見せた[17]
当初所得のジニ係数の上昇傾向は長期に続いた。1990年度(平成2年度)調査では0.4334であったが、2005年度(平成17年度)調査では0.5263に上昇した。当初所得とは、所得税や社会保険料を支払う前の雇用者所得・事業所得などの合計である。また、公的年金などの社会保障給付は含まれない。
再分配所得のジニ係数は、1990年度調査から2005年度調査では、0.3643から0.3873へと0.023程度上昇。再配分所得とは、実際に個人の手元に入る金額であると考えてよく、当初所得から税金等を差し引き、社会保障給付を加えたもの[18]。比較のために、2000年時点の他国のジニ係数を掲載しておく。アメリカ0.368、イタリア0.333、カナダ0.302、フランス0.278、ベルギー0.277、ドイツ0.264、スウェーデン0.252[19]。
年間等価可処分所得は、1994年(平成6年)が0.265、2004年(平成16年)が0.278と上昇した。 2008年にはリーマン・ショックが起こり、世界的不況に見舞われ、日本でも多くの非正規労働者が派遣切りにあった。しかし、内閣府が実施する「国民生活に関する世論調査」では、その資産や収入、教育程度や居住地域は問わず、2008年以降も大多数の国民が自らの生活程度について「中の上」、「中の中」、「中の下」のいずれかであると回答しており、その割合もリーマン・ショック以前とほとんど変わらなかった。また、2013年6月に実施された同調査でも、9割以上の国民が自らの生活程度を「中」であると感じると答えており、リーマン・ショックから数年経っても、国民意識としての「一億総中流」は続いているといえる。この結果は、周囲と似た生活をしていると考える人が多く、社会から疎外されていると感じている人、自分の身の回りで今にも社会への不満から大規模な暴動や革命が起こるかも知れないと心配している日本人が少ないことを示しており、日本社会の安定をもたらしてきた大きな要因となり続けている[2]。
リーマン・ショック後
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 1960年代半ば頃と比較すると、2013年の方が逆に自己を「中の下」と思う割合が3割程度から2割強に低下しており、「中の上」であるが6?7%から13%近くに上昇している。
出典^ 図録▽中流意識の国際比較
^ a b c ⇒“所得格差の拡大は経済の長期停滞を招く”. 東洋経済オンライン. (2014年8月10日). ⇒http://toyokeizai.net/articles/-/44935 2014年11月25日閲覧。
^ ⇒あのとき!(朝日新聞 2008年7月5日)
^ a b c d ⇒時系列データ(総務省統計局)
^ 質問-C.戦後(島根県)
^ 国勢調査とは(MBS 田丸一男アナウンサーのブログ「田丸一男のことばエッセイ」 2015年9月15日)
^ ⇒外地における内地人、現地人、外国人別人口(帝国書院)
^ 世界の課題 同胞遂に一億? 注目される国勢調査(報知新聞 1935年8月24日 … 神戸大学附属図書館デジタルアーカイブ 新聞記事文庫)
^ 帝國推計人口一億に達す 『地学雑誌』 1938年 50巻 3号 p.142, doi:10.5026/jgeography.50.142
^ 第2部 主要統計表 (PDF) (総務省統計局「平成27年国勢調査 人口等基本集計結果」 2016年10月26日)
^ ⇒国民生活に関する世論調査(内閣府)
^ ⇒第25回 日本家族社会学大会 報告要旨 (PDF) (2015年9月5日・6日)
^ a b c d ⇒流転の中流論 (PDF) (社団法人新情報センター)
^ https://www8.cao.go.jp/survey/h20/h20-life/images/z31.gif
^ a b 一人当たり県民所得のジニ係数・上位5県平均と下位5県平均の比 (PDF) (国土交通省国土計画局総合計画課)
^ a b 地域間格差の推移とその背景 (PDF) (国立国会図書館)
^ 総務省『就業構造基本調査』
^ 厚生労働省『所得再分配調査』
^ 総務省『全国消費実態調査』
関連項目
中産階級
三種の神器 (電化製品)
格差社会
55年体制
国の所得格差順リスト
富の再分配/累進課税
物品税
プラウト主義経済
小ブルジョア
レイク・ウォビゴン効果
外部リンク
全国消費実態調査トピックス -日本の所得格差について?(総務省統計局)
国民生活に関する世論調査(内閣府)
『一億総中流』 - コトバンク