ヴェネツィア
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古来はラテン語でウェネティ人の土地を意味し、ウェネティ人が住んでいたアドリア海の奥に広がる土地をウェネティア (Venetia) と呼んだことにちなむ。この綴りをイタリアでのラテン語の読み方に従うと、ヴェネツィアとなる。英語でヴェニス (Venice)、フランス語でヴニーズ (Venise)、ドイツ語でヴェネーディヒ (Venedig) と呼ばれる。ヴェネツィア方言では、古語は Venexia、現代語では Venessia(まれに Venezsia)と表記され、ヴェネーシアとヴェネースィアの中間に近い音で発音される。

日本語では、イタリア語由来のヴェネーツィアをはじめ、ヴェネチア、ベネチア、ベネツィアなどとも表記される。英語由来では、ヴェニス、ベニスなどがある[注釈 1]
地理
位置・広がり

都市としてのヴェネツィアは、ヴェネタ潟上の島(ヴェネツィア本島、5.17平方キロメートル)に築かれている。

自治体(コムーネ)としてのヴェネツィア市 (Comune di Venezia) は、ヴェネタ潟の島々や、メストレなどの本土側も市域に含んでおり、面積は412.54平方キロメートルにおよぶ。

市域に含まれる島として、本島のすぐ南にはサン・ジョルジョ・マッジョーレ島ジュデッカ島、さらに南に下ると映画『ベニスに死す』で有名なリード島がある。また、本島のすぐ北には、墓地となっているサン・ミケーレ島、さらに北にはヴェネツィアン・グラスで有名なムラーノ島レース編み産業の地であるブラーノ島、そして、もっとも古い時代に栄えたトルチェッロ島がある。ヴェネタ潟内の島々の位置関係
隣接コムーネ

隣接するコムーネは以下の通り。括弧内のTVはトレヴィーゾ県所属を示す。

カンパーニャ・ルーピア

カヴァッリーノ=トレポルティ

キオッジャ

マルコーン

マルテッラーゴ

ミーラ

モリアーノ・ヴェーネト (TV)

ムジーレ・ディ・ピアーヴェ

クアルト・ダルティーノ

スコルツェ

スピネーア

ヴェネツィア市街

都市としてのヴェネツィアは、アドリア海の最深部、ヴェネツィア湾にできたラグーナ(Laguna di Venezia または Laguna Veneta)」の上に築かれた、運河が縦横に走る水の都である。

ヴェネツィア本島は大きなのような形をしており、本島全体が小さな島々からできている。その真ん中を全長約3キロにおよぶ逆S字形の「カナル・グランデ(Canal Grande、大運河)」がヴェネツィアの北西から南東へ、市街を2つに分けながら湾曲して流れる。鉄道路線と土手を走る車道が島々と本土を結び、ラグーナの外側の長い砂州や海岸の防波堤がこの町を海から守っている。150を超える運河が177の島々を分け、運河には400におよぶ橋がかかる。また市街地と南端のジュデッカ島の間には幅約400メートルのジュデッカ運河がある。

地上では、迷路のように狭くて曲がりくねった路地や通りに自動車は入れず、も歩行者専用である。何世紀もの間市内の輸送をになったのは、ゴンドラ (gondola) と呼ばれる手漕ぎボートであった。今は水上バスフェリー市民や貨物を運んでいるが、ゴンドラも観光に利用されている[6]

ヴェネツィアは、6区を意味するセスティエーレ (sestiere) からなり、ドルソドゥーロ (Dorsoduro)、サンタ・クローチェ (Santa Croce)、サン・ポーロ (San Polo)、サン・マルコ (San Marco)、カンナレージョ (Cannaregio)、カステッロ (Castello) の6つの地区に分かれている。

かつては海上に浮かぶ孤島であったが、オーストリア帝国治世下の1846年にイタリア本土との間に鉄道が敷かれ、のちに自動車用道路の「リベルタ橋」も架けられ、イタリア本土との往来は容易である。ただし、ヴェネツィア本島内は自動車での移動は不可能であり、自転車の使用も禁止されている(乳母車車椅子は可。また、カンメB(campo) と呼ばれる広場では子供用自転車の乗り回しは可)ため、車はリベルタ橋を渡ってすぐのところにある「ローマ広場」の駐車場に置いて、島内を徒歩か船舶で移動することになる。

車が入れず、一方で運河が発達していることもあり、おもな交通機関は必然的にになる[6]。水上タクシー、水上バス、渡し船などが運河を用いて頻繁に運行されている(詳細は後述)。なおゴンドラと呼ばれる手漕ぎの舟がヴェネツィアでは有名だが、現在では一部の渡し船を除き観光用途で運航されている。

交通に運河を用いた水上交通が頻繁に用いられることから、運河に面した玄関を持つ建物も多い。また警察や消防、救急輸送も車に代わり、船舶を用いてその業務を行っている。
地盤沈下2007年の高潮で水没したサン・マルコ広場

現代のヴェネツィアは、他地域への人口流出、水害地盤沈下大気汚染、建造物の老朽化など多くの問題に直面している。1966年の大水害の後には、歴史的な町を守るための国際的な運動がユネスコの主唱で組織された。

大潮、低気圧、そしてアドリア海の東南から吹く風「シロッコ (scirocco)」の3つの要因が重なると、「アックア・アルタ(acqua alta、高水の意)」と呼ばれる異常潮位を起こす高潮がヴェネツィア湾で起こる。このとき、ヴェネツィアの街中まで水が入り込み、特に一番低い「サン・マルコ広場」は水没する(広場や道路には臨時の高床が組まれ、通行を確保する)。過去に北の対岸の本土マルゲーラ地区で工業用の地下水のくみ上げが行われたことにより地盤沈下が起こり、アックア・アルタによる浸水の水位が1メートル以上になったこともある。建造物の沈下は、地下の帯水層の流出が原因とされるため、地下水使用の制限やアルプスからの水道の導入などで対処している。さらに今後の地球温暖化によって海面上昇が加速されることとなれば、将来ヴェネツィアの街全体がアドリア海に水没してしまうことが懸念されている。
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出典検索?: "ヴェネツィア" ? ニュース ・ 書籍 ・ スカラー ・ CiNii ・ J-STAGE ・ NDL ・ dlib.jp ・ ジャパンサーチ ・ TWL(2021年11月)


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