ヴェニスの商人
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しかしながら作中で、シャイロックが肉の抵当を取ることを頑として譲らない場面で叫ぶ「ユダヤ人には目が無いと言うのか?(Hath not a Jew eyes?)」から続く一連の台詞は、ユダヤ人に向けられた偏見に対しての憤りを如実に表した台詞とも取られることがあり、シャイロックを単なるステレオタイプの悪役ではなく“虐げられた民族の代表者”として捉える論者も少なからず存在する[4]。こうしたことを踏まえて日本の演劇界では、本作を喜劇ではなくシャイロックを主人公とした悲劇として上演する場合が多く、平幹二朗市川猿之助など大物役者をシャイロック役に迎えている。
学問上の問題

『ヴェニスの商人』を法学的見地から検証する試みは、古くは1872年に著されたルドルフ・フォン・イェーリングの『権利のための闘争』にも見られ、今日でも学問の場で法意識の正当性を学ぶ題材として用いられる事がある[3]

イェーリングは、裁判官は契約内容自体を公序良俗に反するものとして無効と判断するべきところを、契約を有効とした時点でシャイロックの持つ権利を正当と認めているのに、裁判官自らが後からその権利を覆し法制度を破壊していると指摘している。

経済学でも「貨幣」をめぐる議論として使われることがある[5]
関連作品

映画

「ベニスの商人」(1959年、橋克雄


テレビ朝日開局時(当時は日本教育テレビ)に初めてフィルム映画として放映された人形劇


ヴェニスの商人」(2004年):マイケル・ラドフォード監督、アル・パチーノ出演。

シャイロックの子供たち」(2023年):池井戸潤原作、本木克英監督、阿部サダヲ主演。


テレビドラマ

未来世紀シェイクスピア」(2008年): AAA(トリプル・エー)主演ドラマ。(関西テレビ

シャイロックの子供たち」(2022年):(WOWOWプライム


小説

シャイロックの子供たち」(池井戸潤、2006年)



漫画

「ベニスの商人」(畠山一夫、1957年)[6]

「ベニスの商人」(手塚治虫、1959年)[7]

「ベニスの商人/まんがで読破」(バラエティ・アートワークス、イースト・プレス、2009年)[8][9]

「新解 ヴェニスの商人」(横井三歩、2016年)[10][11][12]


オペラ

「ヴェニスの商人」(レイナルド・アーン作曲、1935年初演)


劇付随音楽

「シャイロック」(ガブリエル・フォーレ


その他の音楽作品

音楽へのセレナード」(レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ


テーマパーク

千葉県浦安市にある東京ディズニーシーにはこの作品のタイトルが元になったショップ「マーチャント・オブ・ヴェニス・コンフェクション」がある。


日本語訳

宇田川文海歌舞伎台本翻案「何桜彼桜銭世中(さくらどきぜにのよのなか)」大阪朝日新聞 1885年

井上勤訳『西洋珍説 人肉質入裁判』1886

戸沢姑射,浅野和三郎大日本図書 c1905

坪内逍遥早稲田大学出版部 1914

高原延雄訳「世界文豪代表作全集」世界文豪代表作全集刊行会 1927

小山内薫訳「世界戯曲全集」近代社世界戯曲全集刊行部, 1927-1930

横山有策訳「世界文学全集」新潮社、1929

沢村寅二郎研究社 1933

中野好夫訳「シェイクスピア選集」筑摩書房 1948 のち岩波文庫

福田恆存訳 新潮社 1960 のち文庫

鈴木幸夫訳「世界名作全集 第2 (シェイクスピア名作集)」平凡社 1960

菅泰男訳「世界古典文学全集 第42巻 (シェークスピア 第2)筑摩書房 1964

大山敏子旺文社文庫 1966

小津次郎訳「世界文学全集 4 (シェイクスピア) 」集英社 1973


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