小説や映画で人気が出たため、現在ではマティーニの定番の一つとなっているが、ボンドはこれ以外にさまざまなマティーニを注文しているため、ヴェスパーのみが「ボンド・マティーニ」というわけではない[6]。たとえばボンドの有名な台詞(せりふ) "Vodka Martini. Shaken, not stirred". (「ウォッカ・マティーニを。ステアせずにシェィクで」)は[7]、ヴェスパーとは別物を指す[8]。2006年に公開された映画『007 カジノ・ロワイヤル』の人気でリレ・ブランに注文が殺到して品薄となり、入手が困難となっているという話もささやかれている[9]。
作家の東理夫は英米仏とソ連が対立する冷戦時代に、もしかしたらフレミングが「世界平和の願いをこめ」て発案したのかもしれない、と推理している[10]。 原作『007 カジノ・ロワイヤル』では、ゴードンズのジンを3オンス[11]、ウォッカを一オンス、キナ・リレ半オンスに氷を加え、単に混ぜるだけではなく、氷で冷たくなるまでよくシェイクし、大きめに薄く削いだレモンの皮を入れる。 一般的な作り方は上述したように、キナ・リレの代わりにリレ・ブランを用いてシェイクし、深めのシャンパン・グラスに注ぎ、ラセン状に剥(む)いたレモンの皮を入れる[12][13]。 リレ・ブランを製造するリレ社は、従業員七名という小さな会社である(2006年12月現在)[14]ため、出荷量に限度があり、入手できない場合はベルモットで代用せざるを得ないが、当然、味わいは異なる。また、キナ・リレを用いたヴェスパーの苦みを再現する試みとして、リレ・ブランを用いてキニーネ粉末を加えるレシピもある[15]。
レシピ
概要
ドライ・ジン = 90ml
ウォッカ = 30ml
キナ・リレ (リレ・ブラン) = 15ml
レモンの果皮 (飾り用)
詳細
関連項目
カクテル - マティーニ - ゴードンズ - ウォッカ・マティーニ
ジェームズ・ボンド - 『007 カジノ・ロワイヤル』
en:Ian Fleming
en:Cocktail - en:Martini (cocktail) - en:Gordon's Gin - fr:Lillet - en:Vodka Martini
文献
イアン・フレミング(井上一夫訳)『カジノ・ロワイヤル 秘密情報部〇〇七号』(創元推理文庫)東京創元新社、1963年6月、ISBN 4488138012
イアン・フレミング(井上一夫訳)『007 / カジノ・ロワイヤル』(新版。創元推理文庫)東京創元社、2006年6月、ISBN 4488138063 [16]
脚注[脚注の使い方]^ The James Bond Dossier: Kina Lillet ⇒[1]。ラベルの絵が見られる。
^ en:Shaken, not stirred (Revision as of 00:54, 11 January 2007 by Zanimum, UTC)
^ Lillet, l’aperitif de Bordeaux ⇒[2]: リレ社公式サイト。
^ カクテルタイプ - カクテルレシピサイト -: 「カクテルタイプ リレ・ブラン」 ⇒[3](リレ・ブランの簡単な説明と、リンク先にリレ・ブランを使ったレシピがあり、その中にヴェスパーが「ジェームス・ボンド・マティーニ (James Bond Martini)」と表示されて出てくる ⇒[4])
^ サントリー: ニュースリリース「パリやニューヨークの一流レストランで人気の アペリティフワイン『リレ』新発売」 ⇒[5](1999年3月23日)は、サントリーが同年4月7日から全国でリレ・ブランを扱っていることを示す。
^ たとえばブログ『R ’s Bar『癒し系バーの威圧系バーテンダーのつぶやき』』: スミノフ ×007 Casino Royale Campaign ⇒[6](2006年11月11日)は、ヴェスパー以外のボンド・マティーニについてもレシピを紹介しているが、ヴェスパーの素材や混合の割合は原作と異なっている。また、ヴェスパーのみが「ボンド・マティーニ」だとする誤解も少なくない。(MI6.co.uk: Drink Like 007 ⇒[7])
^ Vodka Martini, Shaken, Not Stirred - YouTube(投稿日: 2008年3月16日)