ヴァンティヴァ
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トムソンCSFは同社に吸収合併されるが、対外的には独立した存在として扱われた[16][20][2]

1987年、トムソンはGEからRCAを含む同社の家電製品部門を獲得し、代わりに医療機器事業をGEに譲渡した。この時GEのブランドは10年間、RCAのブランドは永久使用を条件とした[21][22]。同年、トムソンCSFの半導体事業を担うトムソン・セミコンデュクトゥール社(Thomson Semiconducteurs)がイタリア・SGSミクロエレットロニカ社(SGS Microelettronica)と経営統合し、SGSトムソン・マイクロエレクトロニクス(SGS-Thomson Microelectronics)となった[23][19][24]

1988年には、トムソンの家電製品部門としてトムソン・コンシューマー・エレクトロニクス(Thomson Consumer Electronics、以下TCE)が設立[25][26]。1989年には航空機メーカー・アエロスパシアルの子会社3社とトムソンCSFの航空機部門が合併し、セクスタン・アヴィオニーク社(Sextant Avionique)が誕生。のちにアエロスパシアルによって売却され、トムソンCSF・セクスタン(Thomson-CSF Sextant)として子会社化した[2][27]

1990年には、トムソンCSFはオランダ企業フィリップスの軍事関連子会社であったオランダ信号機器(Hollandse Signaalapparaten BV、現タレス・ネーデルラント(英語版))の買収を機に、軍事用製品の部門を強化。電話、ランプ、放射線などの事業を他の企業に売却した[2][28]。この頃になると、トムソンは財務面において脆弱性を抱えるようになった。この年、TCEは27億フランの損失を計上し、その損失のほとんどをトムソンCSFの利益によって補填することで経営の安定を維持していた。1991年時点で、トムソンは防衛用電子機器の分野で世界第2位、家電分野においては日本の松下電器(現パナソニック)やソニー、フィリップスに次いで第4位、半導体分野では第12位のシェアを獲得していた[26]
1995年?2000年:政府による売却、そして民営化へ

1994年、TCEは営業利益を1993年時点の1億5500万フランから、6億400万フランと4倍にまで増やし、売上高は14%増の381億4600万スイスフランを計上していたが、120億フランもの負債が3年もの間残ったままだった[29][30]。翌1995年、TCEはトムソン・マルチメディア(Thomson Multimedia)と改称。光ディスク事業に参入し、東芝をはじめとする日本企業やJVCタイム・ワーナー、フィリップスなどが参加するDVDフォーラムの一員としてDVDや派生規格であるDVD-RAMの規格制定に携わった[31][32][33]。だが1995年末時点で、トムソンの負債額は238億フランにまで膨れ上がっており、経営状態は著しく悪化していた[34]

1996年、フランス政府はトムソンの民営化を決定し、トムソンCSFとトムソン・マルチメディアをそれぞれラガルデールグループと韓国企業の大宇電子に売却しようとした[35][36]。売却後について、トムソンCSFはラガルデールのミサイル製造部門(Matra Defense Espace)と合併することが発表され、これによりトムソンは「輸出において比類なき打撃力を持つ」ことになるとされた[37]。また、大宇電子はトムソン・マルチメディアの買収によりフランスで5000人の新規雇用を創出する予定であると報じられたが[37]、当時首相であったアラン・ジュペはトムソン・マルチメディアを「現状では何の価値もない」と判断しており[17][38]、政府が大宇電子に提示した売却額もわずか1フランという名目上の金額だった[17][39]

これに対し、トムソン・マルチメディアの従業員は売却に反対するデモを決行、フランス労働総同盟をはじめとする労働組合からはトムソンがRCAを獲得した後に「(政府が)資本増強を行えば、負債問題を解決できたはずだ」との声明を発表するなど、世論の反発を生んだ[40]。さらに当時野党だった社会党からは「民営化プロセスを停止するよう政府に厳粛に要請する」との意見が出た[41]ワシントン・ポスト紙は1996年12月6日付の記事にて、大宇に対する人種差別的な抗議が各地域で見られ、地元新聞のル・モンド紙が風刺画で「細い目に丸眼鏡をかけた」大宇の役員を描いた風刺画を掲載したり、労働者がデモの際「粗雑なアジア人の顔」を描いたTシャツを着ていたことを報じた[35]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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