ヴァンゲリス
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レコード会社との契約を果たすため1972年[注 5]に一時的に再結成し、兵役を終えたコロリス (Anargyros Koulouris) も復帰して4人編成で『新約聖書』の「ヨハネの黙示録」を題材にした[7] 2枚組アルバム『666』を制作した。

以後、ソロ活動を始めてパリを本拠に映画音楽やオリジナル作品を発表し、1973年にオリジナルアルバム『アース』をヨーロッパで発売する。1974年にイギリスへ渡りロンドンで個人スタジオNEMOを開設し、RCAレコードと契約を結び、1975年の『天国と地獄』を初め、作品群を各国で発売する。

1975年にギリシャのハードロックバンドであるen:Socrates Drank the Coniumのアルバム『Phos』にプロデューサーキーボード奏者として参加し、ハードロック色を廃して地中海音楽を導入した本作は1976年に発売された。

1974年リック・ウェイクマン(キーボード)の後任としてロックバンドのイエスへ加入を打診されたが、創作活動が制限されることを懸念し[7] 、ほかに当時のイギリス音楽業界組合は外国人を厳しく排除する方針であった[3]ことから、加入を断る。この時からジョン・アンダーソン (Jon Anderson) と交遊が始まり、以後は相互のアルバムにゲスト参加するなど交流して1979年以降はジョン・アンド・ヴァンゲリス名義でアルバムを共同で制作して発売している。

1980年代に映画『炎のランナー』(1981年)や『ブレードランナー』(1982年)、日本で『南極物語』(1983年)などのサウンドトラックを手がけて話題となる。

1980年代半ばに拠点を再度パリに移すも、1989年にギリシャへ帰国して以後アテネに居を定めて創作活動を続けた。

2022年5月17日に、新型コロナウイルス感染症の治療を受けていたフランスの病院で他界する。享年79歳であった[8]
音楽性

おもな音楽特性を下記する。本節は国内盤アルバムのライナーノーツや雑誌の評論などを参考に特記は都度注釈した。
メロディ

メロディはシンプルで美しく[9]、強く印象に残るものが多い[10]。ギリシャおよび地中海東部地域に古くから伝わる5音階旋法にもとづくメロディを用いる事があり、『炎のランナー』序奏の「C」から「G」など完全5度の飛躍を好む。
構成

シンフォニーの様に複数楽章で構成されてアルバム全体がひとつのコンセプトに貫かれているものが多い。『大地の祭礼』や『マスク』『エル・グレコ』などは各パートに固有の題名をつけず、単にムーブメント+番号の構成としている。
作曲と編曲

ヴァンゲリスは楽譜の読み書きができないと発言している[6]。作曲はマルチ・キーボード形式で各種楽器を周囲に配置し[11]、それらを即興的に演奏しながらスタジオで多重録音して楽曲を造形する。編曲シンセサイザーや各楽器を縦横に駆使した多彩で重厚な仕上げが多く、アナログ時代は「ヤマハ・CS-80」や各ポリフォニックシンセサイザーオーケストラのような厚みや広がりを得ることを得意とした。さまざまな民族楽器打楽器類で独特の色彩や香りを盛り込むアレンジも多い。ジャズの様なインプロヴィゼーション現代音楽などの実験的アプローチも得意で、1970年代のライヴ公演もほとんどが即興演奏であった。この作編曲方法をヴァンゲリス自身は「自然発生的音楽 (Spontaneous Music)」と称する。
ジャンル

ジャンルを超越する場合が多い。オリジナルアルバム作品[注 6] に対するレコードレーベルの分類[注 7] も、所属会社や時期により相違がある。

RCAレコード = ロック(『反射率0.39』他)

ポリドール = シンセサイザー(『チャイナ』)/ロック(『マスク』)

east west = ポップス(『オセアニック』)

ユニバーサルミュージック = ポップス(『オデッセイ-ザ・ベスト・コレクション』)

ジャズ奏者

シンセサイザーと出会うまでは主にピアノとオルガン、ヴァイブ、パーカッションなどを演奏していた。


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