本作品の世界において、15年前に起きた地球規模の大災害。その傷跡として、地球に巨大なクレーター状の穴が存在している描写がある。爆心地付近には4本の十字架状の物体が存在していることが軌道上から確認できる。海の色も赤に染まっているが、これを科学技術により本来の青色に戻そうという試みが、海洋生態系保存研究機構で行われている。加えて、シンジたちセカンドインパクト以後に生まれた世代が、海が本来青いことや潮の匂いや海洋生物について、「知識」でしか知らない、知識に乏しいという描写がなされた。
ミサトが遭遇したセカンドインパクト当時の描写では、4体の光の巨人(コアらしき球体や頭部に光の輪をもつ)と黒い球体と4本の槍(旧世紀版の「ロンギヌスの槍」と同じ形状)が描写されている。月面にある血痕は、セカンドインパクト発生時に南極点から噴出した血糊が付着した物であることが全記録全集付属絵コンテ(欠番カットナンバー402I改)で明らかになっている。 本作品は、『新世紀エヴァンゲリオン』テレビシリーズの第八話「アスカ、来日」から第拾九話「男の戰い」までを描くものとして制作が開始された[16]。しかし、前作『序』がテレビシリーズ第壱話から第六話までのストーリーをほぼ踏襲していたのに対し、本作品ではテレビシリーズや旧劇場版には登場しない新たな登場人物、エヴァンゲリオンや使徒が登場。さらには新たな謎も加わり、『新劇場版』独自のストーリーを展開していく。本作品のストーリーも、当初はただの「総集編」[17]で、監督の鶴巻和哉によれば「別に言うほど『破』じゃない」[18]ものであったが、前作『序』が公開(2007年9月)された後に、総監督庵野秀明の意向によりシナリオが見直され[18]、当初は「声も出さなくていいというくらい」であった、新キャラクターの真希波・マリ・イラストリアスの出番が増えるなどの変更がなされた[18]。また、アスカとレイがNERV本部内のエレベーターで乗り合わせる場面(ただし会話の内容などはテレビシリーズと異なる)など、第弐拾話以降のエピソードも取り入れられた形となっている。 作画に関しても、『序』では大半がテレビシリーズから原画やタイムシートなどの素材を使用していたのに対し、本作品ではほぼ全編にわたって新規に描き下ろされている。そのため、『序』では「リビルド」を強調していたのに対し、本作品ではあまり使われていない。これは、『序』制作時に、実質的な新作にもかかわらずテレビ版の再現に拘り過ぎたという反省から、素材の流用を念頭に置いた当初の脚本を見直し、新作として制作し直されたためである[19]。 庵野は、自身がこれまで作り上げてきたエヴァの世界を自分では破壊しきれないとして[20]、『破』というサブタイトルを象徴する[21]新キャラクター・マリを演じる坂本真綾との打ち合わせの際も、マリに関するより詳しいディレクションは監督の鶴巻に任せている[20]。 本編開始前のスタジオカラーのクレジット表示時に円谷プロダクション制作『帰ってきたウルトラマン』の変身シーンの効果音が使用され、ミサトの携帯の着信音も『ウルトラマン』における科学特捜隊本部の無線着信音(=東宝制作『ゴジラ』シリーズのキングギドラの鳴き声の流用)が使われている。
製作
旧作からの変化
過去の作品との関連
円谷プロ作品