ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破
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本作品のストーリーも、当初はただの「総集編」[17]で、監督の鶴巻和哉によれば「別に言うほど『破』じゃない」[18]ものであったが、前作『序』が公開(2007年9月)された後に、総監督庵野秀明の意向によりシナリオが見直され[18]、当初は「声も出さなくていいというくらい」であった、新キャラクターの真希波・マリ・イラストリアスの出番が増えるなどの変更がなされた[18]。また、アスカとレイがNERV本部内のエレベーターで乗り合わせる場面(ただし会話の内容などはテレビシリーズと異なる)など、第弐拾話以降のエピソードも取り入れられた形となっている。

作画に関しても、『序』では大半がテレビシリーズから原画やタイムシートなどの素材を使用していたのに対し、本作品ではほぼ全編にわたって新規に描き下ろされている。そのため、『序』では「リビルド」を強調していたのに対し、本作品ではあまり使われていない。これは、『序』制作時に、実質的な新作にもかかわらずテレビ版の再現に拘り過ぎたという反省から、素材の流用を念頭に置いた当初の脚本を見直し、新作として制作し直されたためである[19]

庵野は、自身がこれまで作り上げてきたエヴァの世界を自分では破壊しきれないとして[20]、『破』というサブタイトルを象徴する[21]新キャラクター・マリを演じる坂本真綾との打ち合わせの際も、マリに関するより詳しいディレクションは監督の鶴巻に任せている[20]
過去の作品との関連
円谷プロ作品

本編開始前のスタジオカラーのクレジット表示時に円谷プロダクション制作『帰ってきたウルトラマン』の変身シーンの効果音が使用され、ミサトの携帯の着信音も『ウルトラマン』における科学特捜隊本部の無線着信音(=東宝制作『ゴジラ』シリーズのキングギドラの鳴き声の流用)が使われている。また、ミサトの愛車アルピーヌ・ルノーA310の替わりにMAT専用車「マット・ビハイクル」こと初代マツダ・コスモ・スポーツが登場している。その他、セカンドインパクトの回想シーンの四体の巨人に『ウルトラマンA』の第13話・第26話におけるウルトラ4兄弟(ゾフィーウルトラマンウルトラセブンウルトラマンジャック)の意匠が組み込まれており、次回作「Q」の予告にウルトラマンA、ウルトラマン、ウルトラセブン、ウルトラマンジャックのウルトラサインが使われている。庵野秀明が敬愛する[注 1]円谷プロ作品へのオマージュとみられ、MAT本部の無線着信音を作品中に利用したことからエンドロールには円谷プロと『帰ってきたウルトラマン』が名を連ねる。
ジェリー&シルヴィア・アンダーソン製作 東北新社配給作品

碇ゲンドウ・冬月コウゾウ両名が月で用いる月面移動用の乗り物は、ジェリー&シルヴィア・アンダーソン夫妻製作の2作、『謎の円盤UFO』と『スペース1999』にそれぞれ登場する、ムーンモービルとイーグルを足したような形状をしており、赤白のカラーリングは、そのイーグル機のなかでも医療支援仕様のレスキューイーグルのものが採用されている。さらに『UFO』に登場したコンピューター衛星SIDも確認できる。エンドロールには「株式会社東北新社」および『謎の円盤UFO』の名が表示される。
安野モヨコ作品

教室でシンジがレイに弁当を渡す際、添えられていた箸箱には安野モヨコ庵野秀明の妻)の漫画『オチビサン』に登場するオチビサンの顔が描かれている。
本編の音楽・挿入歌

本編の音楽に庵野が監督し、鷺巣が作曲した
テレビアニメ彼氏彼女の事情』からの転用楽曲(新録音)も使用された。

朝の街のシーンで、1979年の邦画『太陽を盗んだ男』のBGM「YAMASHITA」(井上尭之作曲)が使用されている。この作品は以前より、絵コンテで参加している樋口真嗣が、敬愛する作品だと公言している。

挿入歌として「今日の日はさようなら」「翼をください」(以上 船山基紀鷺巣詩郎編曲、林原めぐみ歌唱)「ふりむかないで」「恋の季節」(以上原曲)が使われており、マリがエヴァ仮設5号機の操縦時に「三百六十五歩のマーチ」を口ずさんでいる[22]など、昭和歌謡曲が随所に使用されている。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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