こうしたことから、仕事と生活のアンバランスが原因で引き起こされる多くの悲劇を抑えようと、「仕事と生活の調和」、ワーク・ライフ・バランスが叫ばれるようになった。 OECD各国においては、フルタイム労働者は一日あたり14-16.5時間の休息を取っており、これにはレジャーや個人ケア、睡眠などが含まれる[6]。最長はイタリアの16.5時間、最短は日本の14時間であった[6] 。また、女性よりも男性のほうが平均して30分長かった[6]。 カナダでは首相のジャスティン・トルドーが国家に仕えるためにはワーク・ライフ・バランスが必要であると強調している[7] 大韓民国では、2018年から政府による長時間労働の是正や最低賃金の引き上げが行われた。しかしながら、労働時間の短縮で少なくなった給料を補うために仕事を掛け持ちする労働者が増加したほか、時給アップに耐えられないとして労働者が解雇されるなど弊害が見られた[8][9]。「仕事と生活の調和推進プロジェクト」に参画しワーク・ライフ・バランスを訴える日産自動車元社長カルロス・ゴーン 日本では少子化対策・男女共同参画の文脈で語られることが多いが、出生率向上・男女均等政策のみならず、労働時間政策、非正規労働者政策など働き方の全般的な改革に関わる。 2007年(平成19年)12月18日、政府、地方公共団体、経済界、労働界の合意により、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」が策定され[10]、政府は、ワーク・ライフ・バランス推進のため、国民運動「カエル!ジャパン キャンペーン」を開始した[11]。 日本は国際労働機関の労働時間に関する条約(1号、30号、47号、153号[12]など)を1つも批准しておらず、時間外労働の要請条件さえ満たせば労働時間の上限はなくすことができる(労働基準法第33条第1項、第33条第3項、第36条第1項)。日本では時間外労働の条件として残業代(割増賃金)を支払うことが法律上必須(労働基準法第37条第1項)とされ、これを支払わない使用者に適用される罰則も規定されている(労働基準法第119条)が、サービス残業が横行する事業所もあり[13][14][15]、さらには休暇日数も少なめで、年次有給休暇の取得率が他先進国よりも著しく低い[13][16](有給休暇に関する条約(132号)も日本は批准していない[17])。 日本特有の長時間労働はしばしば貿易摩擦の原因となり、日本と欧米諸国を比較した際の労働時間水準の差が不公平競争として欧米諸国より批判された。そのため、政府が1987年の労働基準法改正より10年をかけて原則週40時間制(2012年現在も例外有:労働基準法第36条、131条など)とした。よって、この労働時間短縮そのものはワーク・ライフ・バランスの取り組みとは関係がない[18]。 HSBCホールディングスの国際バンキング部門、HSBC EXPAT調べによる「海外勤務にベストな国ランキング」2016年版において、日本は調査対象45の国と地域の中で20位であったが、この「ワーク・ライフ・バランス」においては最下位であった[19]。
各国の状況
労働環境の実態とワークライフバランス
関連文献・記事
CiNii>ワーク・ライフ・バランス
出典・脚注^ Dictionary.com
^ Collins
^ a b c d “仕事と生活の調和とは”. 内閣府. 2012年10月18日閲覧。