ワルシャワ大学
[Wikipedia|▼Menu]
加えて外国で亡命生活を送っていた多くの教授たちも帰国し大学の近代化に尽力した甲斐もあり1920年代後半には西欧諸国の水準にまで大学を発展させることに成功した。そして1930年代初頭には開講講座数250科目以上、学生数10,000人を数えるポーランドで最も大きな大学へと成長した。しかし、新国家体制を樹立したばかりということもあり、教育費を全て国費で賄うことは困難であった。そのため学生達は多額の授業料を納入する必要があり、奨学金が受けられる学生は全体の3%程度にすぎなかった。財政的な問題を抱えつつもワルシャワ大学はキャンパスの拡張や学部の新設などを行い大学の規模を拡大した。国家元首のユゼフ・ピウスツキが死去した後、ワルシャワ大学はUniwersytet Warszawski im. Jozefa Pi?sudskiego(ワルシャワ・ユゼフ・ピウスツキ大学)と改称した。集団指導体制をとっていたポーランド政府が大学の自治権に制約を加えるようになると受難の時代が始まり、国家主義的な右派は反ユダヤ主義の元ユダヤ人排斥運動を展開し始めた。ピウスツキがヤギェウォ理念のもと多民族国家を目指していたが彼の死により反ユダヤ主義を抑えることが出来なくなったことが深く関係している。この反ユダヤ主義運動により、ゲットーベンチ(Ghetto benches)というユダヤ人学生とそれ以外の民族の学生とが別々に座る習慣的な差別行為が半ば公然と行われるようになった(注:ただし差別を制度化するような政策はなかった)。これはアメリカ合衆国における公民権運動以前の時代と同様、当時のポーランドでもこういったマイノリティーに対する差別を禁止する法制度や大学内の制度が未整備だったからである。

1939年ポーランド分割によりナチス・ドイツの支配下に入ると、ナチスはポーランド国内の全ての高等教育機関の閉鎖を命じ、ワルシャワ大学の研究設備はドイツの大学に分配され、大学施設はドイツ軍の兵舎として接収された。この閉鎖はポーランド人に高等教育は不要であるというナチスの差別思想に基づくものである。大学を閉鎖するだけに止まらず、ナチス軍政はポーランド国内における高等教育そのものを禁止し、これに反する者は死刑に処せられた。このような厳しい規制の下でも元教授らの多くはTajny Uniwersytet Warszawski(ワルシャワ秘密大学)と呼ばれる地下組織を結成し死の危険を覚悟でアパートの一室などに少人数で集まり講義を行った。この地下組織は急速に広がり秘密大学における講義は300講座、学生数は3500人にものぼった。学生の多くは国内軍等の組織の一員としてワルシャワ蜂起に参加した。

大学のキャンパスではワルシャワ蜂起の初日から激しい戦闘が繰り広げられたが、ドイツ軍のワルシャワ駐屯地が大学の付近にあったこともあり大学のキャンパスは機関銃等で重武装されていたため結局大学の敷地は終戦まで奪還できなかった。ワルシャワ蜂起または教育禁止令により63人の教授が犠牲となった。1944年の戦闘で大学施設の60%が損壊し、大学が所蔵していた資料の80%が破壊もしくはドイツへ持ち去られ戻ってくることはなかった。
学部

応用語学・東スラブ言語学

応用社会科学

生物学

化学

経済学

教育学

地理学

地学

史学

ジャーナリズム・政治学

法学・行政学

経営学

数学・情報処理・工学

現代言語学

東洋文化

哲学・社会学

物理学

国文学

心理学

著名な卒業生
職業別


ヴウォヂミェシュ・チモシェヴィチ (en
) - 政治家

レフ・カチンスキ - 政治家

メナヘム・ベギン - イスラエルの政治家・ノーベル平和賞受賞者

イツハク・シャミル - イスラエルの政治家

アルファ・ウマル・コナレ - マリ共和国の政治家

ジョセフ・ロートブラット - 物理学者・ノーベル平和賞受賞者

ボフダン・パチンスキ - 天文学者

レオニード・ハーヴィッツ - 数学者・経済学者ノーベル経済学賞受賞者

アルフレト・タルスキ - 数学者・論理学者

ヴァツワフ・シェルピニスキ - 数学者

梅田良忠 - 歴史学者、関西学院大学教授

梅田芳穂 - 社会運動家、ポーランド文化功労章、ポーランド十字勲章受章

ドロタ・オシンスカ - 歌手

オルガ・トカルチュク - 小説家・ノーベル文学賞受賞者

ユリアン・トゥヴィム (en) - 詩人

フレデリック・ショパン - 作曲家

イグナツィ・パデレフスキ - 作曲家・政治家

ミェチスワフ・カルウォーヴィチ - 作曲家・指揮者


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:30 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef