弾倉を入れスライドを引いて第一弾を薬室に装填した状態でコッキングされている撃鉄は、安全装置を下げてセーフティーポジションにすることでコッキング解除(デコッキング)される。この時、ファイアリングピンはシアと連動したファイアリングピンブロックとセーフティーレバーでロックされ、安全にデコッキングが行える。この状態では、引き金は後退した位置で保持される。
セーフティーレバーを上に押し上げてセーフティーOFFの状態にすると引き金が前進し、ダブルアクションによる射撃が可能になる。オートマチックファイアリングピンブロック(AFB)により、この状態で持ち歩いても危険は無いが、大戦中に作られた粗悪なP38の中には、この一連の安全装置の精度が悪いものも存在した。
初弾はダブルアクションになるが、この状態から撃鉄を起こせばシングルアクションで初弾を撃つこともできる。薬室に弾丸が装填されている場合は撃鉄上のシグナルピンがスライド後端から飛び出すので装填状態が確認できる。弾倉交換を行う場合、グリップ下のマガジンキャッチを後方に押しながら弾倉を引き抜く。 スライド上部のカバーは、プレス加工で作られた板バネ状のラッチで引っかける簡単なものであり、連続で射撃を行うと反動で外れてしまうことがあった。その際、リアサイトも外れることがあり、射手を傷つける恐れもあった。この点は、戦後に生産されたP1の改良型であるP4では改良されている。部品点数はソ連のトカレフ拳銃の倍で、ルガーP08に比べて簡略化されたとはいえ、軍用拳銃としては多い。しかし、射撃後の通常分解ではスライド、銃身、フレームの大きな3つの部品に分かれるのみである。 また、本銃固有の問題ではないが、戦後の西ドイツ連邦軍では設計が古い点、また、老朽化によって「威嚇射撃8発、必中投擲1発(acht Warnschusse, ein gezielter Freiwurf)」というジョークが生まれた。全弾撃ち尽くしても命中せず、最後には銃を投げつけてようやく当たるという意味である。
欠点
登場作品詳細は「ワルサーP38に関連する作品の一覧」を参照
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 「Pistole 38 (38年式拳銃)」の略称であるため、銃本体の表記は厳格に省略記号としての終止符を付した「P. 38」となっているが、付属品の刻印や軍の文書上では、省略記号を省いた表記例も見受けられる。
出典^ a b “A Look Back at the Walther P38
^ a b “P.38 Masterpiece or misfit? Part II--The postwar era.