ワラビ
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ワラビにはビタミンB1を破壊する酵素[30]、灰汁には発癌性のあるプタキロサイド (ptaquiloside)[32]が約0.05-0.06%含まれる[33]。灰汁抜きすることでそれらの物質は減少するが、甚だしい多食は避けた方が良いという意見や[30][10]、発がん物質の影響が懸念されるには毎日大量に食べ続けることを仮定したものという指摘もある[16]。また、ワラビに含まれる発がん性物質は熱を加えると完全に分解することが確かめられているともいわれ、茹でて灰汁に浸けるという日本古来の調理法は、無毒化する方法でもあったという説もある[15]

1940年代に牛の慢性血尿症がワラビの多い牧場で発生することが報告され、1960年代に牛にワラビを与えると急性ワラビ中毒症として白血球血小板の減少や出血などの骨髄障害、再生不能性貧血、あるいは血尿症が発生し、その牛の膀胱腫瘍が発見された[34][35]。これが現在のワラビによる発癌研究の契機となった。主にプタキロサイドはアクの部位に多いが、アク抜きしても発ガン性は残存する。ラットの発ガン率は、処理なし78.5%に対し、灰処理25%、重曹処理10%、塩蔵処理4.7%と低下はするものの残存した[36]
文化

奈良時代末期に成立したといわれる日本現存最古の和歌集『万葉集』でよく知られた歌に、「石走る 垂水の上の さわらびの 萌え出づる春に なりにけるかも」(『万葉集』巻八 1418 志貴皇子)という、ワラビの芽生えと思しき「春の雑歌 志貴皇子の懽(よろこび)の御歌(みうた)一首」がある[15]。しかし、ワラビは雪解け水がしたたるような場所には生えないことから、この歌の「さわらび」はワラビではなくシダ類一般を指した言葉ではないかという指摘もなされている[15]

「.mw-parser-output ruby.large{font-size:250%}.mw-parser-output ruby.large>rt,.mw-parser-output ruby.large>rtc{font-size:.3em}.mw-parser-output ruby>rt,.mw-parser-output ruby>rtc{font-feature-settings:"ruby"1}.mw-parser-output ruby.yomigana>rt{font-feature-settings:"ruby"0}早蕨(さわらび)の 握り拳(こぶし)を 振り上げて 山の横面(よこつら) はる風ぞ吹く」は、江戸時代の狂歌師四方赤良の作で、春風にそよぐワラビの若芽の様子を、握りこぶしで山の斜面をひっぱたいていると例えた風情ある歌である[15]

ワラビは日本全国の各地に仏教にまつわる伝説も多く、古くからワラビと庶民との結びつきは深かったとみられる[19]
脚注^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “ ⇒Pteridium aquilinum (L.) Kuhn subsp. japonicum (Nakai) A. et D.Love ワラビ(標準)”. ⇒BG Plants 和名?学名インデックス(YList). 2023年3月19日閲覧。
^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “ ⇒Pteridium aquilinum (L.) Kuhn ワラビ(広義)”. ⇒BG Plants 和名?学名インデックス(YList). 2022年4月17日閲覧。
^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “ ⇒Pteridium aquilinum (L.) Kuhn subsp. latiusculum auct. non (Desv.) Hulten ワラビ(シノニム)”. ⇒BG Plants 和名?学名インデックス(YList). 2023年3月19日閲覧。
^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “ ⇒Pteridium aquilinum (L.) Kuhn var. japonicum Nakai ワラビ(シノニム)”. ⇒BG Plants 和名?学名インデックス(YList). 2023年3月19日閲覧。
^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “ ⇒Pteridium aquilinum (L.) Kuhn var. latiusculum auct. non (Desv.) Undrew. ex A.Heller ワラビ(シノニム)”. ⇒BG Plants 和名?学名インデックス(YList). 2023年3月19日閲覧。
^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “ ⇒Pteridium latiusculum auct. non (Desv.) Hieron. ex Fr. ワラビ(シノニム)”. ⇒BG Plants 和名?学名インデックス(YList). 2023年3月19日閲覧。
^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “ ⇒Pteridium japonicum (Nakai) Tardieu et C.Chr. ワラビ(シノニム)”. ⇒BG Plants 和名?学名インデックス(YList). 2023年3月19日閲覧。
^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “ ⇒Pteridium latiusculum (Desv.) R.E.Fr. subsp. japonicum (Nakai) Fraser-Jenk. ワラビ(シノニム)”. ⇒BG Plants 和名?学名インデックス(YList). 2023年3月19日閲覧。
^ a b c d e f g h i j 高橋秀男監修 学習研究社編 2003, p. 72.
^ a b c d e f g h i j 金田初代 2010, p. 28.
^ “素材の旅vol.5「本わらび粉はなぜ希少?」|京都祇園きな粉スイーツ 吉祥菓寮”. shopping.geocities.jp. 2023年1月23日閲覧。
^ “蕨餅 奈良県”. 農林水産省Webサイト. うちの郷土料理. 農林水産省. 2023年1月22日閲覧。
^ “ ⇒アイヌ語地名リスト ル?ワ P141-145”. ⇒アイヌ語地名リスト. 北海道 環境生活部 アイヌ政策推進室 (2007年). 2017年11月17日閲覧。
^ a b c 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 155.
^ a b c d e f g h 吉村衞 2007, p. 60.
^ a b c d e f 高野昭人監修 世界文化社編 2006, p. 32.
^ 金田初代 2010, pp. 28?29.
^ a b c d 講談社編 2013, p. 29.


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