ワシントンD.C.
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

なおD.C.は民主党への支持が圧倒的に強固な土地柄である[注 7]

様々な世論調査によれば、アメリカ人の61%ないし82%が、D.C.は連邦議会での投票権付き代表を認められるべきだと考えている[165][168]。にもかかわらず、D.C.に投票権付き代表を与えようとする試みは成功していない。その中には、D.C.州昇格運動もあり、またD.C.に上下両院選挙の投票権を付与する憲法修正案も提出されたが、いずれも成功を見ていない。1978年には州なみの上下両院議員の選出権を付与する改憲案が7年以内の批准を条件として連邦議会を通過したが、1985年までに批准した州は16州にとどまり、改憲に必要な.mw-parser-output .sfrac{white-space:nowrap}.mw-parser-output .sfrac.tion,.mw-parser-output .sfrac .tion{display:inline-block;vertical-align:-0.5em;font-size:85%;text-align:center}.mw-parser-output .sfrac .num,.mw-parser-output .sfrac .den{display:block;line-height:1em;margin:0 0.1em}.mw-parser-output .sfrac .den{border-top:1px solid}.mw-parser-output .sr-only{border:0;clip:rect(0,0,0,0);height:1px;margin:-1px;overflow:hidden;padding:0;position:absolute;width:1px}3/4の州(38州)に遠く及ばず成立しなかった。

D.C.に投票権を与えることに対する反対論者は、アメリカ合衆国建国の父たちはD.C.の住民が連邦議会での投票権を持つことを全く意図していなかった、なぜなら憲法は代表は各州の出身でなければならないと明確に規定しているからだと主張している。また、D.C.を州に昇格させることに対する反対論者は、そのような運動は、州から切り離された国の首都という概念を破壊することになる、州とすることは一つの市に上院の代表権を与えることになり不公平であると主張している[169]
住民投票と合衆国加入法案(HR 51)

画像外部リンク
提案された州の範囲
(英語版ウィキペディアへのリンク)

2016年4月15日、ミュリエル・バウザー(英語版)市長は州への昇格を問う住民投票の実施を提案し[170]、29日に州憲法草案を発表した[171]。特別区議会は7月10日に満場一致で住民投票の実施を決定した[172]。新州名は最初「ニューコロンビア州 (State of New Columbia)」となっていたが、投票直前となって「ワシントンD.C.州 (State of Washington, D.C.)」に変更された[173]。新州名のD.C.は従来の「コロンビア特別区 (District of Columbia)」ではなく、「ダグラス・コモンウェルス (Douglass Commonwealth)」の略称である。D.C.を略さず「ワシントン・ダグラス・コモンウェルス州 (Washington Douglass Commonwealth)」とも表記される[174][175]。ダグラスは奴隷制度廃止運動家のフレデリック・ダグラスに由来する。コモンウェルスは合衆国において4つの州が州名に使用している表現である(コモンウェルス (米国州)を参照)。州域はナショナル・モールやホワイトハウスといった連邦政府機関を除いた特別区全域とされ[176]、新州に含まれない地域は連邦直轄領に残留する。これは合衆国憲法第1章第8条で「連邦政府の所在地は連邦政府の直轄地であること」と定めているための措置である[177]。住民投票は11月8日の大統領選挙と同時に実施され、結果は賛成票が約8割を占めた[178]

2017年に特別区の投票権のない代議員であるエレノア・ホルムズ・ノートンとデラウェア州選出のトム・カーパー(英語版)がそれぞれ下院に法案を提出するも、当時は昇格に反対的な共和党が多数派であったこともあり失敗に終わった。2018年の下院選挙(英語版)で昇格に同調的な民主党が過半数を獲得すると、2019年1月に可決した「2019年人民法 (HR 1)」において特別区の州昇格を支持する文言を取り入れた[179]。同法案には拘束力はなく、また大統領および上院の過半数は共和党員であるため成立する可能性は低いものの、合衆国議院が初めて州昇格を承認した歴史的瞬間となった[180]。また同時期に、特別区の合衆国加入を規定した「ワシントンD.C.合衆国加入法(英語版) (HR 51)」が提出された。

2020年5月に始まったジョージ・フロイド抗議運動では、特別区で起きた抗議運動(英語版)に対してときの大統領ドナルド・トランプは特別区州兵に鎮圧を要請。更に合衆国軍や連邦警察といった連邦機関も投入し、睡眠ガスやゴム弾を用いて議者を徹底的に排除した[181]。過剰な対応に住民や市長は反発し、州昇格への機運が高まった。特別区州兵は連邦政府の指揮下にあり、市長には一切の指揮権がない。州であれば州兵の指揮権は州知事にあるため、大統領の一存で抗議者を強制排除するようなことが起こらないと考えられた。HR 51は6月26日に下院を通過するも[182]、共和党党員で上院多数党院内総務を務めるミッチ・マコーネルは上院の投票の放棄を示唆[183]。またトランプは同法案を「非常に、非常に愚か (very, very stupid)」と評した[184]。結局HR 51は会期中に成立せず、次期に再び下院からやり直すこととなった。同年11月の大統領選挙では、HR 51を推進しているジョー・バイデン民主党候補が勝利した。また同時に実施された連邦議会選挙では、下院(英語版)は民主党が過半数を維持した一方、上院(英語版)はジョージア州の通常選挙と特別選挙がともに決選投票となり、民主党と共和党のどちらが主導権を握るかは年明けに持ち越された。

2021年1月3日、新会期が始まりHR 51は下院に再び提出された[185]。6日、ジョージア州上院選挙の決選投票が実施され、両選挙とも民主党候補が勝利したことで民主党が上院の主導権を握り、法案可決が現実味を帯びるようになった[186]。7日、トランプ支持者による議会襲撃事件が発生した。事件当日の13時ごろ、支持者は議事堂の敷地内へ入り建物を取り囲んだ。一部は暴徒化しており、危機感を感じた市長は国防総省へ州軍の派遣要請を行った。しかし派遣が決定したのは15時で、暴徒らは既に議事堂内に侵入していた。トランプは州兵投入について自らが直ちに行ったと主張しているがその痕跡は確認されておらず、逆に襲撃を扇動したとして批判された[187][188]。前年とは正反対となる今回の対応によって、特別区州軍が大統領個人の制御下にあると広く考えられるようになり、特別区の地位の見直す動きは国内に広がった。27日、HR 51は上院に提出された[189]。4月20日、下院の投票を前にバイデン大統領はHR 51の支持を表明した[190][191]。23日、HR 51は下院を通過した[175]
教育ジョージタウン大学

コロンビア特別区パブリックスクールズ (DCPS) が、市の公立学校システムを運営しており、これは167の学校と学習センターから成る。2007年度では、4万9076人の生徒が公立学校システムに登録されている。DCPS への登録は一貫して減少しており、次の年までに全登録生徒数が4万7700人にまで減少するだろうと市では予測している[192]。DCPS は、インフラの面でも、生徒の成績の面でも、国内でコストが最も高い割に成果が最も乏しい学校システムの一つであることは否めない[193]。市議会は、2007年に市の学校システムの大改革を行うに当たり、市長に対し公立学校についてのほぼ完全な権限を与えた。フェンティ市長が指名した DCPS の新しい最高責任者であるミシェル・リー長官 (Michelle Rhee) は、一部の学校を民間経営会社に委ねたり、校長を解任したり、教師を入れ替えたりするなど、徹底的な改革を行った[194]

公立学校システムの問題点から、公立のチャーター・スクールの登録数が、2001年以来、年々13%の割合で増加している[195]。コロンビア特別区公立チャーター・スクール委員会は、市内の56校の公立チャーター・スクールを監督している。2007年秋の時点で、D.C.のチャーター・スクールには全部で2万1859人が登録している[196]。ワシントンD.C.には、有名な私立高校もいくつかある。多くの著名人やその子弟が、シドウェル・フレンズ校のような私立高校に通ってきた。チェルシー・クリントンもその一人で、父ビル・クリントンの大統領在職期間中、シドウェル校に通っていた[197]ハワード大学図書館

ワシントンD.C.には、多くの著名大学がある。ジョージタウン大学ジョージ・ワシントン大学アメリカン大学ハワード大学ギャローデット大学、アメリカカトリック大学 (CUA)、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際関係大学院(SAIS) などがある。コーコラン美術デザイン大学 (Corcoran College of Art and Design) では専門的な美術の授業を行っているほか、他の高等教育機関でも、継続教育(英語版)}、遠隔教育、社会人向け教育を提供している。コロンビア特別区大学 (UDC) は国によるランドグラント大学で、どこの州にも属さないために州立大学というものを持たないこのワシントンD.C.において、公的な高等教育の機会を与えている。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:277 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef