花期は春(3 - 5月)[11]。根茎の頂から長さ20 - 30 cmくらいの地上茎が直立し、柄の短い小型の葉を互生して、茎頂や上部の葉腋に、白色の十字型で花径3ミリメートル (mm) ほどの小さな4弁花を総状につける[17][16][11]。花は上から順に数個から十数個が開く[16]。
ワサビ田(長野県 9月)
ワサビの蕾
自生ワサビ
自生ワサビの花
産地安曇野 大王わさび農場(2008年5月12日撮影)
日本の主要な産地は静岡県、長野県、東京都(奥多摩)、島根県、山梨県、岩手県、奈良県などである。また、ワサビの産地である伊豆市や安曇野市では市の花に指定されている。
日本国外では台湾南部、ニュージーランド、中国雲南省、韓国江原特別自治道鉄原郡[19]などでも栽培されている。
イギリスでは、クレソンを栽培している会社が2010年にワサビ栽培を提案されて、南部のドーセット州で試行錯誤を経て成功させ、2012年に欧州の料理店向けに販売を開始した[10]。汲み上げた地下水で日本と同様の栽培環境を再現している[10]。欧州で初めての商業ベースのワサビ栽培の事例となった。価格は100グラム30ポンド(2012年時点で約4200円)[20]。欧州では、日本産ワサビにこだわり採用を渋ったシェフもいたが、鮮度を評価して購入する料理店や個人もおり、ウオッカやマヨネーズなど加工品の製造にも展開している[10]。 江戸時代から栽培が本格化した[7]。江戸時代初期、静岡県有東木において、当地に自生していたワサビを圃場へ移植し、栽培を試みたのが最初とされている。寿司の流行により急激に広まったと言われている[12]。 冷涼なところを好む性質で、栽培方法を大別すると、水栽培で渓流や湧水で育てられる通称水ワサビ(谷ワサビ、沢ワサビ)と、畑栽培で育てられる通称畑ワサビ(陸ワサビ)がある[17]。水栽培は、山間部の北斜面で、水が濁らない湧水地がよいとされる[17]。また、畑栽培は落葉樹下の夏は日陰で、冬は日が当たる場所が選ばれる[17]。増殖は、種子を莢のまま砂に埋めておいて秋に播く[17]。春に芽が揃ったら定植する[17]。 深山幽谷の清冽な渓流に沿い自生していたものが、その利便から人里近辺の清流栽培へと根分けされて広がり、日本の食文化に合う国内需要により農業生産されるに至る。
栽培
歴史
飛鳥時代の遺跡である飛鳥京跡苑池遺構(現・奈良県明日香村)から出土した木簡に「委佐俾三升(わさびさんしょう)」と書かれていた、これがワサビについて記された最古の史料とされる[21]。
718年(奈良時代)に出された賦役令(現代の法人税法施行令に相当)の中に「山葵」(わさび)の名前が見られる。