ワクチン
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これらのワクチンは、脳腫瘍の治療でいくつかの肯定的な予備的結果を示しており[37]、悪性黒色腫でも試験が行われている[38]

DNAワクチン - 提案されている機構は、ヒトまたは動物の細胞にウイルスや細菌のDNAを挿入(英語版)し、発現させ(エレクトロポレーションの使用により増強)、免疫系の認識を誘発する。発現したタンパク質を認識する免疫系の一部の細胞は、これらのタンパク質およびそれを発現している細胞に対して攻撃する。これらの細胞は非常に長い間生きているので、通常、これらのタンパク質を発現している病原体に後で遭遇すると、免疫系によって即座に攻撃される。DNAワクチンの潜在的な利点の1つは、製造と保存が非常に簡単なことである。

組換えベクター - ある微生物の生理機能と別の微生物のDNAを組み合わせることで、複雑な感染プロセスを持つ病気に対する免疫を作ることができる。例としては、2018年にコンゴのエボラ出血熱(英語版)対策として使用されているメルク社にライセンス供与されたrVSV-ZEBOVワクチン(英語版)がある[39]


T細胞受容体ペプチドワクチンは、コクシジオイデス症(渓谷熱)、口内炎、およびアトピー性皮膚炎のモデルを使用して、いくつかの疾患に対して開発中である。これらのペプチドは、サイトカイン産生を調節し、細胞性免疫を改善することが示されている。

補体阻害に関与する特定の細菌タンパク質を標的にすれば、細菌の重要な病原性機構を無効にすることができる[40]

プラスミドの使用は、がんや感染症の予防ワクチン戦略として前臨床試験で検証されている。しかし、ヒトの研究では、この方法で臨床的に妥当な効果は得られなかった。プラスミドDNA免疫法の全体的な有効性は、プラスミドの免疫原性を高めると同時に、免疫エフェクター細胞の特異的な活性化に関与する因子を補正することに依存する[41]

ほとんどのワクチンは、微生物を不活化または弱毒化させた化合物を用いて作られているが、合成ワクチンは主成分または全体が、合成ペプチド、糖質、または抗原などで構成されている。
接種方法ガーダシルの注射状況

皮下注射筋肉内注射が多いが、経口生ポリオワクチン(OPV)やロタウイルスワクチンの様に、直接に飲む(経口ワクチン)ものも存在し、またにワクチンを吹き付ける経鼻ワクチンも開発されているほか[42]BCGのようなスタンプ式の製品もある。強力なワクチンの場合は1回で接種を済ませられることもあるが、ほとんどのワクチンは2回以上の接種が必要となる。これは1回の接種ではそれほど得られる免疫が強くないうえ、多くの場合複数回接種では得られる免疫力が大幅に増大する、いわゆるブースター効果が起きるためである[43]
接種間隔

日本では、生ワクチン接種後は27日以上あけ、不活化ワクチンの後は6日以上あけることが規定されているが、医師の判断で必要と認められた場合には、同日複数接種も可能である[44]。同日接種を行うことによって、安全性・効果(免疫応答)が変化・相乗することはなく、また害や懸念事項も存在しないため、迅速な免疫獲得や来院回数の減少などのメリットが大きい同日接種は推奨されている[45]。一度に接種できるワクチンの数に制限はない。また、同日接種の際、ワクチン同士は2.5センチメートル以上の間隔を開けることが求められる。現場で勝手に複数のワクチンを混合して接種することはできない[43]

WHOやアメリカ疾病予防管理センターは、原則として以下のような標準を定めている。

生ワクチン同士は同日、または27日以上あける[46]

生ワクチンと不活化ワクチンは、どちらが先であっても、接種間隔に規制はない[46]

不活化ワクチン同士もまた、同時でも、いつでも接種可能である[46]。ただし、同一のワクチンには指定された間隔がある。

免疫グロブリンと一部の生ワクチン(グロブリン製剤に含まれる抗体に依存する)には特定の間隔が個別に存在することがある。

その他に、メーカーが追加のルールを指定することがあり、たとえば、経口生チフスと経口不活化コレラワクチンは8時間の間隔を開けるというルールがある。
接種部位

皮下注射:上腕伸側を中心とする領域。ただし橈骨神経が走行する中央1/3は避け、下側1/3あるいは上側1/3に接種する。

筋肉内注射:満4歳未満は三角筋の発達が未熟なので、大腿四頭筋外側頭中程。それ以上の年齢では、同部位よりも三角筋が選択される。なお、臀部への筋注は吸収率や免疫応答がよくないので、接種してはいけない。

皮内注射:狂犬病ワクチンの変則的投与では、指定箇所がある。その他に関しても、添付文書を参照すること。

1肢1本接種は、上記免疫応答理論や接種本数の制限を受けるため、受診者・海外渡航者の立場からは現実的ではない。

日本以外で使用されているワクチンは、世界で生活されている在外日本人も東洋人も通常接種されている。日本人に外国製ワクチン(WHO認定ワクチンに限定して)と接種用法などを敬遠する医学的根拠は、何も提示されていない。
副反応詳細は「副反応」を参照

弱いとはいえ病原体を接種するため、望まれない反応も起こすことがある。軽微なものとしては、投与部位の発赤・腫脹・疼痛・感冒様症状などがある。重大なものとしては無菌性髄膜炎、血小板減少性紫斑、膵炎などが知られる(詳細は個別のワクチンを参照)。

ワクチン接種後の自己免疫疾患はまれに報告され、ウイルスなどの感染が引き金となるまれな重篤なこれらの疾患はワクチンの接種によっても起こりうる[47]全身性エリテマトーデス関節リウマチ炎症性ミオパチー多発性硬化症ギラン・バレー症候群などがあり、ギラン・バレー症候群では報告のあったワクチンはほかと比較して多様である[47]


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